第26話『NO.11&NO.12』
いくら倒してもキリがなく、倒しても倒しても敵が出てくる状態に手を焼いていたマルク、それは一緒に共闘していたアリシアも同じようだった。
そんな中、とある声が聞こえてきた。
「此処から先は私達が対応します!避難してください!」
そう、兵士団の方々だ。
「兵士団の方なら安心できますわ」
「そのようですね、ようやく持ち場を離れることができますね」
そうしてマルクは持ち場を兵士団に任せ、持ち場をようやく離れることができた。
「…はぐれてしまいましたか」
マルクはアリシアとはぐれてしまった。まさかはぐれるとは思っていなかった。
逃げても逃げても敵がいる…というわけでもなく、兵士団の活躍によって数は減りつつあった。ただ問題としてはアリシアとはぐれてしまったことだ。
「急がなければならないようですね」
「ぎゃぁぁぁぁぁ」
「誰か…誰かー!」
「こんな奴等しかいないのか、兵士の質も落ちたものだ」
走ってきたマルクの目に飛び込んできた光景は、数十人の兵士が、ただ一人の剣士によって倒されていた。
「…貴様は、我を楽しませてくれるか?」
勿論友好的ではないことは分かった。自分を敵とみなしているのはすぐに分かった。でも自分は、こんな状況だと言うのに、ワクワクしていたのだ。どんな敵なのか、どんな術を使うのか、楽しみでしょうがなかったのだ。
「倒せるというのであれば、やってみると良いですよ」
「…ほう?教えておこう、我はNO.11だ」
「コードネーム…?」
コードネームを名乗ることに疑問を感じながらも相手を見つめる。
「マルク殿は…どこでしょう…」
アリシアはマルクとはぐれてしまっていた。もう足は疲れてしまっていた。
「こういうときは…」
そうアリシアが自分の手を疲れ切っていた足に当てる。すると疲れていた足がみるみる回復していく。回復魔法だった。
「あら、そこのあなた、回復魔法を使ったのかしら」
「あなたは誰でしょうか」
少し怪しげな女性が自分に語りかけてくる。
「私?私はね、あなたのことに興味を抱いている、闇暗組織のNO.12よ」
「…闇暗組織?あなた達だったのね…」
「…あなたのこと、もっと知りたいわぁ♡」
(…困ったわね、私は回復魔法以外使えない…)
アリシアは回復魔法を基準としているため、戦闘に向いていない。パーティに属してヒーラーの役割を果たしたほうがいいだろう。だが今のこの状況はパーティに属しているわけでもなく、サポート役に回れるわけでもないのでアリシアが戦うほかないようだ。
こうしてNO.11対マルク、NO.12対アリシアの戦いが幕を開けることとなった。
「あれぇ?こっちじゃなかったっけなぁ、王都の場所、ちゃんと覚えておくべきだったなぁ」
道にちゃんと迷ってしまっているアウリスだった。