第24話『ルルージュ』
俺はルルージュというやつに腕を絡められて王都あたりを散策しているわけなのだが、女性とこの距離感で歩くのは前世を含めてもなかった。なのでドキドキしている。
「ちょっと近くないか?」
「こうやって歩くのが嫌なのですか?」
「嫌…というわけじゃないんだがな」
と頑なに離れてくれない。少しピンクがかっているその髪は俺の身体にすでに触れていた。桃みたいな香りがしていた。なんかこう考えるだけでもちょっとキモいな。
「ルルージュはなぜ今日王都に来ているんだ?」
「それはアーロン王の生誕祭が開かれるんです」
まじか、それは初耳だ。
「そんなもんがあるんだな」
「…あなたはそれが目的なのではないのですか?」
「暇だったんでたまたま王都を通りかかっただけだ」
これはまさか…みたいに驚くルルージュ、俺がそんなイベントを大事にするやつに見えるか?答えはノーだ。そんなんに時間使うよか趣味に時間使ったほうがいいからな!
…腹が、痛くなってきた
「…嫌な予感がする」
「どうしたの?」
「…何かとんでもないことが始まる気がする」
嫌な予感、それっぽいことを言ったが、結局はスリだ。
「何が起きるの?」
ルルージュは心配そうに尋ねる。いいか、スリっていうのは…
「何かが起きる、それはそういう絶好の機会だ…」
人混みの中だったら財布を盗まれる可能性は高い。スリの絶好の機会だ。やべえもう限界だ…
「…俺は行かせてもらう」
「ちょっ!どこへ行くの!?」
トイレにいかせてもらう!食いすぎたのかわからんがやべえ事になったのは分かる!はよトイレーーー!
ルルージュ
このキャラクターは主人公によって救われるか救われないかという選択肢が出され、救出するかしないかでかなり物語の展開としては変わる。
まず救出すると関係を築く事ができ、ヒロインとなる。だが救出に失敗したときがどうなるか、男たちに様々な改造を入れられたうえ、身体を弄ばれ、最後魔物と勘違いした勇者がルルージュを討伐してしまい、死んでしまうという運命だった。なかなかに酷い結果なため、このシーンが公開されたとき、軽く大炎上だった。
まぁ話はそれてしまったが、とにかくこのイベントは助けるのが正解なのだ。助けなくとも物語自体に影響はないのだが。アウリスは助けた。残酷な運命は避けられた。
ルルージュは最後意味深な発言をしたなと思っているが、本人はただトイレを見つけたいがための理由づくりをしていただけだった。