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第2話『魔法』

この世界に転生して、一週間が経った。どうやら俺は貴族らしい。絶対面倒くさいじゃん、やりたくない。どうやら俺の爵位は「侯爵こうしゃく」らしい。だからそれなりに偉いらしい、知らんがな。


「アウリス様、訓練のお時間です」


そんな事を考えていたら声をかけられた。


「ありがとな、今から行く」

「かしこまりました」


この人は俺のメイドのエルル、とても可愛らしい。態度は少しあれだけど。




訓練場に到着した俺は、早速戦うことにした。


「アウリス様、今から戦って大丈夫なんですか?」

「なに、問題ない、ただの準備運動だ」


と少し相手を舐めるような発言をしてしまう。


「いいのですね」


相手をしてくれる兵士は俺がけがをすることを心配してくれている。


「構わない」

「では行きます、魔力弾!」


(この世界、魔法があるのか、興味深い、後で兵士たちに質問しよ)


「すごいな」

「これくらい当たり前ですよ」

「俺も使ってみようかな」

「できるものならですね」


と、挑発するように兵士は語りかけてくる。


(使うと入ったものの…何を使えばいいのかわからんな…とりあえずイメージして)


とりあえず俺は頭の中で炎をイメージし、それを手元に集める。


「…火炎(ブレイズ)


手元から放たれるようイメージしながら打ったら、炎が兵士に向かって放たれた。だが兵士は直前で避けたためあたりはしなかった。


「くそ!だったらもう一発…」

「ちょっと待ってください!」


少し焦ったように兵士が止めに入る。


「どうした?」

「あなたが魔法を放てるなんて聞いてません!あなた10歳ですよね!()()()()()()()()()()1()3()()()()なんですよ!」

(まじか、そんなルールがあったとは)

「…とりあえずその事がバレたらまずいな、この事は内密にできるか?」

「もちろんですよ!」


とまあ戦ってもらった兵士に口止めしたあと、逃げるように屋敷に帰った。








俺は個室で考え込んでいた。侯爵貴族として仕事をするのがめんどくさかったのだ。なにせ前世では人の上に立つということをしたことがなかったのである。人の上に立つということはすなわち責任すらも負うということになる。


「…なにか考え事でしょうか、アウリス様」

「エルルか、何も心配はないさ、ちょっと考えていただけさ」

「そうですか、なにか相談できることがありましたら相談してくださいね」

「…わかった」


そう答えると彼女は部屋から出た。

何この銀髪美女!身体も魅惑的でさ、俺じゃなかったら襲っていたぞ!とちょっと話がそれてしまったのだがどうすればよいのだろうか。


「アウリス…兄様…ちょっとよろしいですか?」

「どうしたマルク」


扉を開けて部屋に入ってきたのはマルクであった。


「あの、兄様って、()()()使()()()()()?」

「魔法…か、まだ使えないと思うぞ」


さっきのことがバレたら面倒なのでとりあえずウソを付くことにした。


「やはり…そうですよね、兄様はいずれ使えますもの」

「マルクは使えないのか?」

「…はい、生まれつきなものでして、魔法を使っているところを見ると羨ましいのです」

「…そうか」


どうやらマルクは魔法が使えないようだ。


「…ごめんなさい、兄様の足を引っ張ってしまって」


弟がこんな悩みを持っているとは思わなかった、どんな言葉をかけてやればいいのかわからなかった。でも俺の口は自然に動いていた。


「そんなことはないぞ、魔法が使えなかろうと、()()()()()()()()()()()()()()

「…兄様」

「足を引っ張っているって?全然そんなことないぞ、だから胸を張ってくれ」

「…うぐ…」


俺が言葉をかけるとマルクは今までの感情を我慢しきれなくなったのかアリウスの胸の中で泣き始めた。そう大きくはなさそうだけれども、たしかに泣いているということだけはわかった。


「…今日は満足するまで俺がいてやる、好きなだけ泣いてろ」


結局数十分間泣いたあとマルクは泣きつかれてしまったので頑張ってマルクの部屋まで運んだのである。

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