王子様なんていやしない
ちょっと時期がずれましたが…
『したかしないか』
それはまるでインフルエンザの予防接種みたいなもので…
学校やオフィスでその手の話題になると、その場の状況に応じてやり過ごす事柄としていた。
キスはした。
初めては高二
だからおのずと
時が来れば解決すると思っていた。
だってキスの直後になだれ込まれるのは
さすがに怖かったから。
ＪＫのうちはまだ安心していた。
短大の頃に『自分の魅力』について初めて考えた。
なぜなら…ＤＫは欲望が行動を支配する生き物だったと知ったから。
就職が内定して…最後のアルバイト先でカレと知り合った。
なのに就職したら私の配属先は遠い東京だった。
カレとの初めてのキスは東京への出発の前日で…
私は…
涙でばかり濡れてしまって
カレの手を途中で止めてしまった。
「これは年季奉公のようなもの。仕事を覚えれば地元の営業所へ戻してもらえる」
口約束に近い“軽い手形”を胸に一所懸命に働いたつもりだけど…
本社は“ブラック”だった。
加えて“コロナ禍”が振りかかって出社できる人員は３分の１となり、本社は工場のある埼玉県川口市内へ移転。
住んでいたアパートでは音が響いて…テレワークでの電話対応に支障が生じて、私もやむ無く赤羽の１ＤＫ５万３千円共益費千円、敷金礼金２か月の賃貸マンションに転居した。
会社の家賃補助など雀の涙で…なけなしの貯金も無くなってしまったが、親の脛かじりにだけはならずに済んだ。
。。。。。。
うん、やっぱり８波が来るって言うし…康弘の試験…入学共通テストだっけ？ 年明け早々でしょ？ まさかのまさかになるのも嫌だから今年も帰らないよ。
年末年始をカレシと一緒？！ そんなのあるわけない～
東京って言ってもここは一駅先が埼玉だよ。お母さんが思い描くようなおしゃれ空間なんてないんだから～
うちの会社は今年も不景気でボーナスもボケナスよぉ！！
弘子や正樹も年始の挨拶に来るだろうし…
あの子達にあげるお年玉も出ないよ～
だから帰省は…
見逃して！
。。。。。。
本当は別の理由
もある。
彩乃から１２月２日に来た
結婚式の二次会パーティへのお誘いメール
隣に立っているのは
『涙のキス』のカレだった。
彩乃はカレの腕を抱き込んで、そのふくよかな胸をしっかりと押し当てていた。
私は
『ツルペタ』だ。
そういう意味では…
そういう意味でも…
『発育不全』！！
もしかしたら…
子を成すには
『機能不全』って思われた？？
オトコだから
そういう事も知らないのかもしれないし…
私の何がいけなかったのだろう
確かに地は薄い顔だけど…
キチンとメイクして
それなりにできていたはずなのに…
ねえ！
オンナって！
女の子って！
もっと
淫らなものなの？
そう言えば
まだ前の事務所の時…
コピー機のサービスマンの男のコが作業している目の間で…
“お局っち”が大昔にニューヨークで引っ掛けた（引っ掛けられた？）黒人のアレの大きさについての武勇伝を披露した時…
皆、ドン引きだったけど…
本当はそうじゃなかったの？
みんなで
その男のコの反応を楽しんでいたの？？
分からない
分からない
分からない
こうして
“初めて”を拗らせ続けている私は
紅白も途中で観るのを放棄して
ＴＬを乱読し…
伸びてしまったお蕎麦を目の前に置いたまま
年越ししてしまった。
“ツルペタ”な黒楓には他人事とは思えない…拗らせ女子のお話でした。
「なんだかんだ言ってもオトコは！！」
と昔の黒楓なら二合徳利を片手にくだを巻いていたはず…(笑)
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