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第9話 気になること

 私は、エルード様と一緒に馬車に乗っていた。

 ラーファン公爵家の屋敷に向かっているのだ。これから私は、そこで暮らしていくことになるらしい。

 公爵家というのは、貴族の中でも最も高い地位である。そんな人々が暮らしている屋敷で、私は上手くやっていけるのだろうか。


「……不安そうだな?」

「あ、はい……実は、とても不安です」

「別に、緊張する必要はない。公爵家は、お前のことを歓迎している。無下に扱うようなことはないことを約束しよう。お前は安心していればいいのだ」


 私の不安を察したのか、エルード様が優しい言葉をかけてくれた。

 一応、私は歓迎されているらしい。それは、嬉しい知らせである。

 だが、失礼なことをしてしまったら、それも覆ってしまうだろう。私は、貴族の礼儀作法などほとんど知らない。変なことをしないかという心配があるのだ。


「あの……エルード様、少し質問をしてもいいですか?」

「なんだ?」

「貴族の礼儀作法とは、どういうものなのでしょうか? 私、そういうことがよくわからなくて……」

「別にそんなことも俺達は気にしない。お前の境遇は理解しているからだ。そもそも、今教えた所で、すぐにそれを実行するのは難しいだろう。故に、お前は普通にしていればいい」


 不安だったので質問してみると、エルード様はまた優しい言葉をかけてくれた。

 どうやら、私は何も気にする必要がないようである。そこまで言われても、私の不安は拭えない。それで大丈夫なのかと、どうしても思ってしまうのだ。


「わかりました。いつも通りの私でいきたいと思います」

「ああ、それでいい」


 しかし、私はこれ以上気にしないことにする。エルード様がそう言っているのだ。これ以上色々と言うのは、彼を信用しないことになる。

 これまで接してきて、私はエルード様が信頼できると理解していた。だから、彼の言う通り、いつも通りの私でいることにしよう。


「……ただ、少し聞いてもいいですか?」

「む?」

「私は、公爵家にとって隠し子ということになるのですよね? それでも受け入れてもらえるのは嬉しいことだと思っています。でも、その……」

「なんだ?」

「奥様は、私に対してどういう感情を抱いているのでしょうか……?」


 ただ、私は一つだけ聞いておきたかった。

 それは、私の父親であるゴガンダ様の奥様が、私をどう思っているかということだ。

 奥様にとって、私は他の家族よりも複雑な思いを抱くべき存在である。浮気相手の子供なのだから、そのはずだろう。

 私は、それが気になっていた。私にとって、一番怖いのは奥様なのである。


「祖母のことが気になるのは、当然のことか……だが、それも安心していい。お前に対して怒る程、祖母は浅はかな人間ではない」

「そうなのですか?」

「お前の母親に対しては、流石に怒りをぶつけていたかもしれない。だが、祖母はお前に罪はないと考えられる人間だ。お前のことを無下に扱うことはないと、俺が断言しておいてやる」

「……わかりました」


 エルード様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。

 私は複雑な存在である。そんな存在を受け入れようとしてくれる公爵家の人々に、私は感謝しなければならないだろう。

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