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使用人の私を虐めていた子爵家の人々は、私が公爵家の隠し子だと知って怖がっているようです。  作者: 木山楽斗
外伝

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第20話 私らしく

 ウェルクードとかいう恐怖の第三王子との話し合いが終わって、数日が経ちました。

 すごくテンションが低くなっている私は、お兄様に呼ばれました。話があるそうです。

 どういう話かなんて、考えるまでもありません。第三王子との婚約に関することですね。

 という訳で、私はお姉様についてきてもらいました。必死に説得して、お兄様に対抗できる唯一の人を味方につけたのです。


「……何を隠れている」

「え? その……」

「出てこい。今日の話は、お前が身構えるようなことではない」

「嘘です。絶対に身構えることです」

「シャルリナ、エルード様はきっと本当のことを言っているよ。ほら、いつもより優しいと思わない?」

「……確かに、そうですね」


 お姉様の言葉に、私は納得しました。

 なんというか、今日のお兄様は結構優しい感じがします。


「回りくどい話はしない。第三王子からの婚約は、断った。まず、その事実をお前に伝えておこう」

「え? マジですか?」


 お兄様の言葉に、私はびっくりしました。

 まさか、断るなんて、思ってもいませんでした。

 だって、王族との結婚ですよ。普通に考えて、断るなんておかしいです。


「どうして?」

「ふっ……お前が王族と婚約するなど、考えたくもないことだ。万が一、お前が王妃にでもなったら、この国は終わりだ」

「お兄様……わかっているじゃないですか。素晴らしいです。やっぱり、持つべきものは理解がある兄ですね!」


 私は、お兄様にとても感謝しました。

 こんなに感謝したのは、初めてかもしれません。

 いや、よかった。これで、あの怖い人と一緒にならなくて済みます。自由で怠惰な生活が手に入りますよ。


「無論、だからといって、自由で怠惰な生活は許さない」

「うげっ!? 本当に、わかっていますね……」

「もっとも、怠惰な生活にはしばらくならないだろうな……」

「え?」

「……第三王子から返答があった。諦めるつもりはないと」

「……かっ!」


 お兄様の言葉に、私は恐怖に慄きました。

 こんなのもうストーカーですよ。嫌ですね、これは。


「まあ、俺も色々と考えておいてやる。だが、お前も強さを身に着けておくのだな。第三王子をはねのけられる程の強さを……」

「ふふ……」

「アルシア、何を笑っている」

「あ、いえ、エルード様もやっぱりシャルリナが大切なんだと思って……」

「待て。そういうことではないぞ。断じて違う」


 お兄様とお姉様が、微笑ましそうに話しています。

 この状況でそういう話をされるのは、少し気分が悪いですね。

 でも、お姉様は悪くありませんから、全部お兄様のせいです。


「……ああ、それと聖女の仕事だが、ある程度見直されるようだ。ただ、歴代の聖女に聞いてみた所、大変だったが、そこまでではないという回答が得られたらしい」

「え?」

「つまり、お前とフェルムーナ・エルキアードは、少々面倒くさがり屋だったということだ」

「ええっ……」


 お兄様の言葉に、私は少し唸りました。

 歴代の聖女はすごいですねえ。まあ、私とあの人が駄目なだけなんでしょうけど。

 ただ、私は自覚していますから、まだマシじゃないですか? よくわからない正義感を振りかざしたあの人の方が、どうしょうもないですよね。


「ふん、お前はいつまでも変わらんな……」

「でも、私はシャルリナのそういう所が嫌いじゃありませんよ?」

「お前は、甘すぎる」

「いいじゃないですか。エルード様が厳しいんですから」

「ああ、これからも大変そうですね……」


 色々なことがあって、私は結構ぐったりしています。

 これはもう寝るしかないですね。引きこもりましょう。

 それが私です。お姉様も嫌いじゃないと言っていますし、変わる気なんてありませんよ?

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― 新着の感想 ―
[一言]  なだらかな作品だなと思いつつ、最後まで読むことができたので、良い作品だと思われます。
[良い点]  完結おめでとうございます。  本編外伝共に楽しませて頂きました!  ありがとうございました!
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