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使用人の私を虐めていた子爵家の人々は、私が公爵家の隠し子だと知って怖がっているようです。  作者: 木山楽斗
外伝

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第19話 厄介なこと

 私とお姉様は、フェルムーナ・エルキアードとかいう変な人と一緒に、ある人と対面しています。

 第三王子であるウェルクード様は、快く私の要請を受け入れてくれました。本当に、すぐに話し合いの場を設けてくれたので、少し怖いくらいです。


「という訳で、聖女の仕事はおかしいと思うんです」

「なるほど、わかりました。僕が父に掛け合ってみましょう」

「いいんですか? わざわざ?」

「ええ、言うだけならただですから」


 ウェルクード様は、すごく話がわかる人でした。

 話がわかり過ぎて、怖いです。なんで、こんなにすぐに受け入れてくれるのでしょうか?

 もしかして、裏があるんですかね。まあ、どうでもいいことですか。掛け合ってくれるなら、話も終わりますし、私にとってはそれでいいです。


「さて、そちらの話は終わりましたか? もし終わったなら、僕の話をさせてもらっていいでしょうか?」

「え? 何か話があるんですか?」

「ええ、少し大事な話をしたいのです」

「む?」


 なんだか、嫌な予感がしてきました。

 まさか、また聖女に戻るように言うつもりなのでしょうか? その話は、面倒ですね。

 というか、現聖女が隣にいるんですよ? そんな中でそんな話をするなんて、普通に失礼じゃないですか?


「シャルリナ様……僕の婚約者になってくれませんか?」

「……ぱ?」

「率直に言わせてもらいます。僕は、あなたのことが好きなんです。だから、あなたに、婚約者になってもらいたいのです」

「びょ?」


 ウェルクード様の言葉に、私は震えあがりました。

 この人、何を言っているのでしょうか? やばい人です、絶対に。


「冗談ですか?」

「冗談ではありません」

「正気ですか?」

「正気です」

「ええっ……? あなた、私のことが好きなんですか? 趣味が悪いですよ?」

「おや、おや……」


 私の言葉に、ウェルクード様は笑っていた。

 この人、滅茶苦茶趣味が悪いです。普通の神経をしていたら、私を好きになんて、絶対になりませんよ。

 まあ、猫を被っていましたから、その外面に惚れたというのはわからない訳ではありません。だとしても、人を見える目はありませんね。


「シャルリナ、そんなことないよ。シャルリナは素敵な人だよ」

「お姉様、論点はそこではありません」

「そうですよ。王子に思われているなんて、素敵なことではありませんか」

「あなたは黙っていてください」


 お姉様は優しいので、私を褒めてくれました。

 でも、私は自分でわかっています。私の本質を知っていて好きになる人がまともではないと。

 この王子も、絶対にまともな人間ではありません。多分、猫を被っているんでしょうね。


「僕は、あなたのような人が好きですよ? 一緒にいて、楽しそうですから」

「……やっぱり、あなたやばい人ですね?」

「さて、どうでしょうか?」


 私の問いかけに対して笑っている第三王子を見て、私は確信しました。

 この人は、絶対にやばい人です。人がいいように見えますが、性格が悪いはずです。

 これは、まずい。非常にまずい。まさか、聖女のことを交換条件に、婚約を迫ったりしてきませんよね?


「ああ、ご安心ください。これは、今回の件には関係ありません。ただ、婚約のことについては、ラーファン家に掛け合わせてもらいますね」

「はあっ? 何を言っているんですか?」

「まあ、その辺りは家同士が決めることでもあります。返事については、また今度お願いしましょうか」


 ラーファン家に掛け合われたら、滅茶苦茶やばいですね。

 王族との婚約なんて提案されたら、頷きかねませんよ。でも、どうすることもできないんですよね。どうしましょう? もう詰んでいるんですかね?

 なんで、私がこんな目に合うのでしょうか? 何かしましたかね? 日頃の行いはいいはずなんですけど。

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― 新着の感想 ―
[一言]  うん、日頃の行いwだね!  多分嫌がっても周り全てが祝福ムードになるよ!  でもシャルリナだからなあ絶対大人しく受け入れはすまい。  まさか国外脱出とか‥‥‥何処の悪役令嬢だよ!と言いたく…
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