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使用人の私を虐めていた子爵家の人々は、私が公爵家の隠し子だと知って怖がっているようです。  作者: 木山楽斗
外伝

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第14話 ごり押しでも

 私は、お兄様の説得を諦めました。

 あの頑固者は、恐らく何を言っても無駄でしょう。ですから、柔軟な思考を持っている人を説得することにしました。


「という訳で、お姉様、お兄様は本当に手を出さないつもりのようです」

「やっぱり、そうだよね……」

「真面目な人だから、そう思っているかもしれませんが、これではいけません。お姉様も、手を出してもらいたいと思っていますよね?」

「え? まあ、そういう気持ちがない訳ではないけど……」


 お兄様と違い、お姉様は話がわかる人です。

 そして、彼女はお兄様を動かす力を持っています。

 つまり、お姉様を説得すれば、お兄様の意見も変えることができるのです。


「お姉様、私にいい考えがあります」

「いい考え?」

「ええ、お兄様も若い男性ですから、そういう気持ちがない訳ではないでしょう。なかったらもうどうしょうもないですから、ここはあるとして考えます」

「あ、うん……」

「まあ、つまり、お姉様がお兄様を誘惑すれば、お兄様も考えを変えるということです」

「誘惑……そ、そんな」


 私の言葉に、お姉様は照れてしまいました。

 いくらなんでもそんなことは。そういう表情をしています。

 ですが、これは有効な手のはずです。好きな人からの誘惑には、流石のお兄様も獣と化すでしょう。


「簡単なことですよ。服をはだけて……まあ、下着姿でもなんでもいいですが、煽情的な格好でベッドの上にいればいいだけです」

「いや、流石にそれは……」

「大丈夫です。私を信じてください」

「うーん……」


 お姉様は、かなり渋っています。やはり、恥ずかしいとか思っているのでしょうか?

 どの道そうなるんですから、恥ずかしいも何もないと思うんですけど。まあ、お姉様は誠実な方ですから、そういう恥じらいを持っているんですかね?

 ただ、この恥じらいをなんとかして取り払う必要がありますね。そうしないと話が進みませんから。何か、説得材料はありませんかね?


「あ、そうだ。お姉様、水着ってどう思います?」

「水着?」

「ええ、あれって、下着と布面積は変わらないやつもありますよね。そういう姿で海に出ている人達は、特に恥ずかしがったりしていないじゃないですか」

「え? まあ、うん……そうなのかな?」

「ええ、つまり、下着姿というものも、実はそんなに恥ずかしいものじゃないということになりませんか?」

「えっと……ならないと思うけど」


 適当な論を展開しましたが、お姉様は納得してくれませんでした。

 まあ、そりゃあ、水着と下着は違いますよね。私も、同じだとは思っていませんし。

 しかし、困りましたね。これでは、話が進みません。仕方ないので、ここはごり押しでいきますか。


「お姉様、いけますよ! ここは、頑張り所です! ここで一歩踏み出せば、お兄様といちゃいちゃできるんですよ? それって、素敵なことだと思いませんか?」

「それは……そうだけど」

「騙されたと思って、やってみればいいんです。さあ、頑張って。さあ、頑張って」

「あ、えっと……うん」


 私の勢いに、お姉様は折れてくれました。

 これで、私の言った通りのことを実行してくれるでしょう。

 そうなれば、二人は晴れて幸せになるはずです。それで、ハッピーエンドですね。

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