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使用人の私を虐めていた子爵家の人々は、私が公爵家の隠し子だと知って怖がっているようです。  作者: 木山楽斗
外伝

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第13話 誠実さとは

 私は、お兄様の元に来ています。

 お姉様に手を出していないことに、抗議するためです。


「お兄様、どうしてお姉様に手を出してないんですか?」

「……何?」

「まだキスもしていないなんて、正気ですか?」

「……お前は何を言っているんだ」


 お兄様は、私の言葉をまったく理解していません。

 どうやら、本当に何もわかっていないようです。やっぱり、枯れているんでしょうか?


「うら若き乙女が、その身を持て余しているんですよ。ここは、キスとか色々するべきでしょう」

「何故、俺は手を出していないことに文句を言われているのだ……」

「手を出さないことが美徳だと思っているんですか? 手を出すことも、時には必要なんですよ」

「それは、お前の勝手な理論だろう」

「一般論です」


 お兄様は、手を出さないことを美徳だと思っているようです。

 こういう勘違いをしてもらっては困るんですよね。お兄様は、もっとお姉様の気持ちを考えるべきです。


「いいですか、お兄様。お姉様とお兄様は、好き合っていますよね?」

「む……まあ、そうだが」

「そういう二人が、一つ屋根の上で暮らしています。広い家ですけど、それは間違いないですよね?」

「それもそうだが……」

「それで手を出されない。そうなった時、お姉様はどういう気持ちになりますか?」

「それは……」


 私が思うのは、お姉様の気持ちです。

 お兄様に手を出されない。そう発言した時の彼女は、悲しそうな顔をしていました。

 つまり、お姉様は不安を抱いているのです。当然です。手を出されないと、本当に愛してくれているのかと不安になるでしょう。

 真面目なのは悪いことではないかもしれませんが、それでお姉様を不安にさせては意味がありません。


「お前の言うことはわからない訳ではない。だが、それでも俺は手を出す気はない」

「はあっ?」

「手を出すとしたら、正式に結婚してからだ。それを譲歩するつもりはない」

「かあっ……」


 お兄様は、私の話を聞いてもまだ折れませんでした。

 どうやら、その意思は固いようです。

 こういう所で意地を張るのはやめていただきたいですね。今回に関しては、私の方が正しいと思うんですけど。


「お兄様、そんな風な態度だとお姉様に愛想をつかされてしまいますよ」

「……そうなってしまったなら、仕方ないというだけの話だ」

「……もういいです。お兄様がそういう考え方なら、もう何も言いません」


 お兄様にこれ以上何か言っても、恐らく意味はないでしょう。

 ですから、私はお兄様に何か言うのはやめることにします。ここは、アプローチを変えていくことにしましょう。

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