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使用人の私を虐めていた子爵家の人々は、私が公爵家の隠し子だと知って怖がっているようです。  作者: 木山楽斗
外伝

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第10話 納得できる理論

 私は、お姉様とともに、お兄様の元に来ています。

 私の婚約に対する抗議をするためです。まずは、お姉様から伝えてもらって、次に私が解説する。この流れで、お兄様を説得するのです。


「という訳で、私は婚約に向いていないと思うんです」

「ふん……」


 私の説得に、お兄様は目を瞑りました。

 恐らく、私の理論に対する反論を考えているのでしょう。

 お兄様のことですから、私の言うことを素直に受け入れるはずはありません。色々と御託を並べて、反論してくるはずです。


「なるほど……お前の理論はとても納得ができるものだ。反論の余地がないな……」

「はい……え?」


 私の思いとは裏腹に、お兄様は納得してしまいました。

 反論の余地がない。そう言われると、逆に不安になってしまいます。

 何か、裏があるのではないか。長年の経験から、私は警戒することにしました。


「お兄様、反論の余地がないなんて、お兄様らしくありませんよ」

「いや、お前の理論は完璧だ。お前のようなどうしようもない奴は、他家との結束のために使うことはできない。このラーファン家の評価を下げるだけだ」

「なっ……!」


 お兄様の言葉に、私は怒り心頭です。

 いくらなんでも、こんな言葉はひどすぎるでしょう。


「お兄様、それは言い過ぎじゃありませんかね? 私、そんなどうしようもない人間ではありませんよ?」

「……先程、自分で言っていただろう」

「私が言うのはいいんです。でも、人に言われるとむかつきます」

「……お前は、変わらないな」


 私が自分で言うのは、別に問題ありません。

 でも、人に言われるととてもむかつきます。私のことを、あまり侮らないでもらいたいです。


「だが、実際問題、お前を婚約させることで利益が得られるとは思えない。余計なことにしかならない気がするのだ」

「え? お兄様、結構真剣に言っているんですか?」

「ああ、本気で言っている」

「ひ、ひどい……」


 お兄様は、真剣な顔をしていました。

 冗談ではなく、心からそう思っているようです。

 冷静に考えて、結婚して利益にならないと思われているのはまずい気がします。でも、婚約はしたくありませんから、この認識のままの方が都合はいいんですかね?


「とにかく、お前の婚約については、もう何も言うつもりはない。自由に生きてもらって構わないぞ」

「え? マジですか? これから、万年引きこもり生活でもいいんですか?」

「引きこもり生活を許すつもりはない。そんなことをしたら、このラーファン家から追い出してやる。何か、やることは見つけろ」

「ええ……面倒くさいですね」


 とりあえず、私は自由になることができました。

 でも、何かやることは見つけなければならないようです。

 それは、とても面倒くさいですね。できれば、万年引きこもっていたいです。

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― 新着の感想 ―
[一言]  おや、意外。  よっぽど今迄の行いを盾にゴリ押ししてくるかと思ったが。  この妹には北風より太陽と言う事か。
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