表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
使用人の私を虐めていた子爵家の人々は、私が公爵家の隠し子だと知って怖がっているようです。  作者: 木山楽斗
外伝

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/81

第7話 メリットのないこと

 私は、しばらくお兄様の話に付き合わされました。

 これから、どこぞの誰かと婚約するかもしれないとかそういう話をされました。

 もっとも、まだ決定したとかそういう訳ではありません。色々と話し合って、私の婚約者は決まるようです。


 正直言って、婚約なんてしたくありません。

 そのため、この問題は何とかする必要があるでしょう。私は、絶対に一人身を貫いてみせます。


「という訳で、お姉様の力を借りたいのです」

「私の力?」


 そこで、私はアルシアお姉様を頼ることにしました。

 お兄様を説得するためには、彼女の力を借りる必要があるでしょう。お兄様が一番耳を貸すのは、彼女の言葉だからです。


「シャルリナは、結婚なんて向いてないと、お兄様に言ってもらえませんか?」

「えっと……別に言ってもいいけど、エルード様は受け入れてくれないんじゃないかな?」

「いえ、お姉様の言葉ならお兄様も聞きますよ。あの人、お姉様には甘々ですから」

「うーん……」


 私の言葉を聞いて、お姉様は微妙な顔をしました。

 自分が何かを言って、お兄様が動かせると思っていないのでしょう。

 しかし、お姉様ならお兄様を動かせるはずです。婚約者にだけ甘い人ですから、むしろお姉様以外動かせないといえるのではないでしょうか。


「仮に、私がそれをエルード様に言ったら、シャルリナからの入れ知恵だとばれるんじゃないかな?」

「……それは、そうかもしれませんね。でも、お姉様も私が婚約に向いていないと思いませんか?」

「それは……どうなのかな? 別に、シャルリナも向いていないという訳ではないと思うけど」

「え? まさか」


 お姉様の言葉に、私は思わず笑ってしまいました。

 私が婚約に向いている訳がありません。自分でいうのは変かもしれませんが、私程婚約に向いていない令嬢は他にいないと思っています。


「私みたいな人間が他の貴族の家にいって、どうなるか想像できませんか?」

「え? よくわからないけど……」

「人間というものは、早々変わるものではありません。最初は取り繕うことができるかもしれませんが、段々と化けの皮は剥がれますよ。いつもの私を見て、他の貴族はどう思いますか? ラーファン家の令嬢は最低。ラーファン家最低。そうなりませんか?」

「えっと……そうなのかな?」


 私という人間は、少しだけ怠惰な面があります。

 そういう面を見られると、きっと人は軽蔑することでしょう。

 それで何が起こるかというと、ラーファン家の評価の低下に繋がるのです。そういうことは、家として避けるべきことであるでしょう。


「つまり、結果的に家同士の結びつきを作るということには繋がりません。私を婚約させることはラーファン家にとってデメリットしかないのです」

「な、なるほど……まあ、でも、そこはシャルリナの頑張り次第なんじゃ……」

「私が頑張ると思いますか?」

「それは……」


 お姉様は、私がどういう人間がよく知っています。

 ですから、私がそれで頑張るかどうかはわかっているでしょう。

 これで、お姉様は私が婚約に向いてないと理解してもらえたはずです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  駄目な方向に自信満々だなw  凄く納得してしまうけどw [一言]  まあ極度の面倒臭がりのシャルリナが冒険者とかになって世界を救ってしまい自分の首を締める事になる世界も見てみたいw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ