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使用人の私を虐めていた子爵家の人々は、私が公爵家の隠し子だと知って怖がっているようです。  作者: 木山楽斗
本編

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おまけ 妹の反応

 私は、エルード様と婚約することになった。

 グルラド様やサリーハ様、スレイナ様にはエルード様が既に話を通してくれている。

 という訳で、私達は最後の一人に話をしに来たのだ。


「あるがぽ……」

「あるがぽ?」

「す、すみません。驚きすぎて、少し言語がまとまりませんでした……」


 シャルリナは、とても驚いていた。

 驚きすぎて、意味のわからないことを口走るくらい、混乱しているようだ。

 私とエルード様が結ばれるなど、予想もしていなかったことだろう。私もこんなことになるとは思っていなかったので、彼女の気持ちはわからない訳ではない。


「でも、まあ、なんとなくわかります。お二人は、お似合いだと思いますよ。特に、お兄様には叔母様しかいないといえます」

「そ、そうなのかな?」

「ええ、こんな厄介な人は、叔母様みたいに優しい人以外では、やっていけませんよ」


 シャルリナは、嬉しいことを言ってくれた。

 だが、それはエルード様が怒ることである。流石に、厄介は失礼ではないだろうか。


「ふっ……まあ、そうかもしれないな」

「あれ? お兄様?」


 しかし、エルード様は怒っていなかった。

 意外なことに、シャルリナの煽りを受け流したのである。


「お兄様、どうかしましたか? なんだか、いつもと違いますよ?」

「俺にも心境の変化があったのだ。あまり、お前に厳しくする必要もないと思うようになったということだな……」

「そ、そうなのですね……」


 エルード様には、何か心境の変化があったようだ。

 彼がシャルリナに厳しくしていたのは、彼女を当主にするためである。そうしなくなったということは、その必要がなくなったということなのだろうか。

 エルード様は、何かやることがあるため、当主になれないと言っていた。そのやるべきことが解決して、自分が当主になってもよくなったから、厳しくするのをやめたのかもしれない。


「シャルリナ? どうしたの?」

「え?」

「なんだか、残念そうにしているけど……」


 そこで、私はシャルリナの様子に気がついた。

 彼女は、何か物足りないような顔をしているのだ。

 もしかして、彼女はエルード様に怒られないことを残念に思っているのだろうか。兄が構ってくれなくて、悲しくなっているのだろうか。


「可愛い……」

「や、やめてください。そんな目で見るのは!」

「だって……」


 そんなシャルリナは、とても可愛らしかった。

 思わず、笑みがこぼれてしまう。シャルリナは、本当はエルード様が大好きなのだ。


「あ、そうだ……叔母様が、お兄様と結ばれるということは、もう叔母様ではなく、お姉様ということですね。そう呼んでもいいですか?」

「え? お姉様? うん、もちろんいいよ。私も、その呼び方の方が嬉しいな」

「ありがとうございます。そして、お兄様が叔母様と結ばれるということは、もうお兄様ではなく叔父様ですね。おじさんと呼んでもいいですか?」

「……それは、喧嘩を売っているのか?」

「さて、どうでしょう?」


 シャルリナは、再びエルード様を煽った。

 それに、彼は乗った。きっと、彼女の気持ちを汲んであげたのだろう。


「やはり、お前の根性は叩き直す必要があるようだな?」

「そ、そうですか?」

「ああ、これからも手は緩めん。徹底的に、指導してやる」


 エルード様の言葉に、シャルリナは少し喜んでいた。

 表情に出さないようにしているが、それは間違いない。

 どうやら、私達とシャルリナの日常はこれからも変わらないようだ。そのことに、私もなんだか安心するのだった。

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