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使用人の私を虐めていた子爵家の人々は、私が公爵家の隠し子だと知って怖がっているようです。  作者: 木山楽斗
本編

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第40話 久し振りの外

 私は、エルード様とシャルリナとともに動きやすい服に着替えて、外に出てきていた。

 よく考えてみれば、私は外に出る必要はない。先程の会話は、エルード様とシャルリナの間で交わされたものだからだ。

 だが、せっかくなので、一緒に運動することにしよう。私も、運動不足かもしれないからだ。


「はあ、日の光が痛いですね……」

「その感覚がおかしいということを自覚しろ」

「自覚はしています」

「それならば、改めろ」

「嫌です」


 シャルリナは、エルード様の言葉をきっぱりと否定した。

 しかし、日の光が痛いというのはよくないことである。明らかに、健康ではない状態だ。


「それで、これから何をするんですか?」

「今から、この庭を一周するのだ」

「庭を走る? 正気ですか?」


 どうやら、今から庭を走るようである。

 ラーファン家の屋敷の庭は、とても広い。この庭を走るだけで、充分な運動になるだろう。

 だが、シャルリナにはそれは無理ではないだろうか。流石に、運動していなかった彼女にこの距離は厳しいはずである。


「エルード様、流石にシャルリナは……」

「いや、こいつにも走ってもらう。この俺の一発芸をかけるというなら、それくらいしてもらわなければ困る」


 私の言葉に、エルード様は反論してきた。

 そう言われてしまうと、私も何も言い返せない。今回、エルード様は自分の一発芸をかけているのだから、彼の言葉には従うしかないのだ。


「それに、別にどれだけ時間がかかろうとも構わない。途中歩こうが、休もうがいい。とにかく、一周すれば、俺も一発芸を見せてやる」

「うげ……しんどそうですね……」


 エルード様も、シャルリナに無理をさせようとは思っていないみたいだ。

 色々と言っているが、彼は彼女のことを思っている。だから、問題ないのかもしれない。

 きっと、シャルリナが本当に無理ならエルード様はきちんと助けてくれるだろう。彼の今の言葉で、私はそう思った。


「ちなみに、俺は三周くらいするつもりだ。お前も、自分が走れるだけ走るがいい」

「ええ、わかりました」


 そこで、エルード様は私に声をかけてきた。

 この庭を、私は何周くらいできるのだろう。そう思い、庭を見回してみる。

 一度走ってみなければわからないが、恐らく二周くらいならなんとなる気がする。私も、体力はそれなりにあるので、それくらいはなんとかなるはずだ。


「さて、それでは行くぞ」

「はい、行きましょう」

「ええ……」


 エルード様の言葉に、私とシャルリナは頷いた。

 こうして、私達の運動が始まったのである。

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