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使用人の私を虐めていた子爵家の人々は、私が公爵家の隠し子だと知って怖がっているようです。  作者: 木山楽斗
本編

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第37話 同じように

 私は、今日もシャルリナの部屋まで来ていた。


「ふう……」

「シャルリナ、今日は普段着なんだね」

「ええ、私は心を入れ替えたのです」

「うん……」


 今日のシャルリナは、普段着を着ていた。

 以前の件で、心を入れ替えたようだ。


 だが、心を入れ替えて変わったのは服装だけである。

 彼女は、今日もベッドの上で寝転がっているのだ。


「ねえ、シャルリナ、たまには外に出ない?」

「え? 外?」

「うん……ずっと、ベッドの上にいるのは健康に悪いよ?」


 私は、そんなシャルリナを外に誘うことにした。

 ずっとベッドの上で寝転がっているのは、健康に悪い。たまには、外に出る方がいいのではないのだろうか。


「叔母様、いいですか。別に、ベッドの上にいることは悪いことではありませんよ」

「え? そうなの?」

「ええ、人間というものは、一日の三分の一は睡眠をとっています。その睡眠は、どこでとりますか?」

「え? ベッドの上かな……?」

「そうでしょう? そう考えると、ベッドの上は人間が一番過ごす場所といっても過言はありません。だから、ベッドの上で過ごすことはいいことなのです」


 シャルリナは、よくわからない理論で自分を正当化しようとしていた。

 だが、例え、ベッドの上で三分の一を過ごすとしても、そこでずっと過ごしていい訳がない。


「でも、ずっとベッドの上で過ごすのは……」

「叔母様、お願いします」

「え?」

「叔母様は、私にひどいことを要求してこないですよね?」

「うっ……」


 そこで、シャルリナは、私を上目遣いで見つめてきた。

 その視線に、私は怯んでしまう。こういう視線を向けられると、私はとても弱いようである。


「仕方ないな……」

「ありがとうございます」


 結局、私は折れてしまった。

 彼女を外に連れ出すのは、また今度の機会にするとしよう。


「いやあ、叔母様は優しいですね……やっぱり、お兄様とは違います。あの人だったら、こうはいきません」

「ほう?」

「え?」

「あっ……」


 私達が色々と話していると、ある人物の声が聞こえてきた。

 その人物、エルード様を見て、私もシャルリナも大いに驚いた。またも、彼が部屋の中に入って来ていたのである。


「お兄様、何を勝手に……」

「先日と同じだ。どうやら、お前達は話に夢中になっていると周りの音が聞こえなくなるらしいな……」

「うぐっ……」


 シャルリナは、エルード様に明らかに怯んでいた。

 当然のことながら、彼は先程の会話を聞いていただろう。ということは、また説教が始まるということかもしれない。

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