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使用人の私を虐めていた子爵家の人々は、私が公爵家の隠し子だと知って怖がっているようです。  作者: 木山楽斗
本編

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第36話 着替えを待ちながら

 私とエルード様は、シャルリナの部屋の外にいた。

 彼女が着替えるのを待っているのだ。


「あの怠惰な妹には、困らされるものだ……」

「そうですよね……でも、私は彼女のそういう所が、そこまで嫌いではありませんよ?」

「ふん、まあ、お前の言いたいことがわからない訳でもない」


 待っている間、私達はシャルリナに関する話をしていた。

 意外なことに、エルード様は私の評価に同意してくれた。彼も、怠惰な彼女の一面が嫌いな訳ではないようだ。


「だが、貴族として生きていくためには、あれでは駄目だ。もっときちんとした人間になってもらわなければならない」

「貴族は、大変ですね……」

「……いや、貴族でなくとも、あいつのあの態度は改めるべきだと思うが」


 エルード様が厳しいのは、きちんとした貴族になってもらいたいからのようである。

 貴族の世界は、厳しい世界だ。今の彼女では、上手く生きていけないのだろう。

 そう考えると、私も自信がなくなってくる。私は、貴族として生きていけるのだろうか。


「あ、お二人とも、もういいですよ」

「む?」

「あっ……」


 そんなことを話していると、中からシャルリナの声が聞こえてきた。

 どうやら、着替えが終わったようである。


「それじゃあ、入るよ」

「ええ、どうぞ」


 私とエルード様は、部屋の中に入っていった。

 すると、きちんと着替えたシャルリナがいる。

 よく考えてみれば、これはとても当たり前のことだ。昼間に普段着を着ていることは、当然のことである。


 それなのに、私は少し感動していた。

 シャルリナが寝間着ではない。それだけのことが、少し嬉しいのだ。


「叔母様? 何をきらきらとした視線を向けているんですか?」

「え? その……シャルリナが普段着なのが嬉しくて……」

「……私、叔母様の中でかなり低い評価なのですね。わかっていましたが、なんだか複雑です」


 私の言葉に、シャルリナは少し微妙な反応をしてきた。

 流石に、私がこれだけで感心するのは彼女も嫌なようだ。


「お兄様、確かに私は少し生活を改めた方がいいのかもしれませんね……」

「やっとわかったか」

「ええ、なんというか、私もこんなことで褒められるのは嫌です。よくわかりませんが、この善意がきついというか……」

「なるほど、まあ、わからない訳ではない」


 シャルリナは、何故かやる気を出していた。

 そんなに、私の眼差しが嫌だったのだろうか。

 それは、少し申し訳ない。だが、やる気を出してくれたのなら、これはよかったということなのかもしれない。

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