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使用人の私を虐めていた子爵家の人々は、私が公爵家の隠し子だと知って怖がっているようです。  作者: 木山楽斗
本編

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第35話 兄の襲来

 私がシャルリナと話していると、エルード様が現れた。

 昼間に寝間着で過ごす彼女に、彼はかなり怒っているようだ。


「何か俺に言うことはあるか?」

「な、何を勝手に入ってきているんですか?」

「俺はきちんと戸を叩いた。だが、反応が返って来なかったため、少し中の様子を確認することにした。何かあったら困るからな」

「いや、話し声が聞こえていたでしょう?」

「さて、どうだろうな……」


 エルード様は、ゆっくりとシャルリナに近づいていく。

 それに対して、シャルリナはとても怯えている。何かされると思っているのだろう。


「ふん!」

「ああ、何をするんですか?」


 エルード様は、シャルリナの布団をゆっくりと剥いだ。

 さらには、窓のカーテンも開いていく。まずは環境から改めるということなのだろう。


「眩しい……」

「眩しいではない。普通なら、そのリアクションは数時間前に済ませるべきものだ」

「ううっ……」

「早く着替えろ」


 エルード様は、冷静にシャルリナに言葉を放つ。

 それに対して、彼女はとても怯んでいる。これは、着替えるのも時間の問題なのではないだろうか。


「……わかりました。着替えますから、部屋から出て行ってください」

「ふん……言っておくが、着替え終わったか確認するぞ?」

「気持ち悪いですね……そんなに私の普段着が見たいんですか?」

「ほう……」

「すみません、すぐに着替えます」


 鬼気迫るエルード様に、シャルリナは従った。

 これ以上、抵抗しても無駄だと悟ったのだろう。

 そもそも、彼女も別に着替えるくらいは問題ないはずである。だから、すぐに折れたのだろう。


「それじゃあ、私もエルード様と待っているね」

「え? 別に叔母様はいても構いませんけど……」

「でも、着替えって、人に見られたいものではないよね?」

「まあ、私は別に構いませんよ。正直、お兄様がいてもそこまで気にならないですし」

「それは、気にした方がいいと思うけど……」


 シャルリナは、私どころかエルード様に着替えを見られても平気だった。

 いくら兄妹とはいえ、流石にそれは気にした方がいいのではないだろうか。


「まったく、お前には羞恥心すらないのか?」

「いや、他人なら嫌ですけど、身内ですし……」

「身内でも恥じらいは持っておけ。そうでなければ、こちらが困る」


 エルード様は、シャルリナの言葉に微妙な反応をした。

 恥じらいがない妹が、かなり心配なのだろう。

 色々と言うが、彼はとても優しいのだ。妹の将来を思っているいいお兄ちゃんである。

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