表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
使用人の私を虐めていた子爵家の人々は、私が公爵家の隠し子だと知って怖がっているようです。  作者: 木山楽斗
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/81

第22話 気難しい姪っ子

 私は、エルード様の胸で泣いていた。

 だが、そんな中、誰がやって来てしまったようである。

 よく考えてみれば、ここは廊下だ。誰かが来ても、別におかしくない場所である。


「何をしているのですか? お兄様……」

「お兄様……?」


 私は、エルード様の胸から少し顔を動かして、来訪した人物を見てみる。

 その人物は、女の子だった。見た目から考えて、私よりも年下であるはずだ。

 そして、エルード様のことをお兄様と呼んだので、彼女は彼の妹なのだろう。


「シャルリナ、お前は何か勘違いしていないか?」

「勘違い? お兄様が、女性を連れこんでいるという認識が間違っているのですか?」

「……勘違いしているようだな」


 少女は、シャルリナ様というらしい。

 どうやら、彼女はエルード様が女性を連れこんで、こんな所で抱き合っていると思ったようだ。

 確かに、端から見るとそう思えるかもしれない。だが、この場所と今日の予定を知っていれば、そんなことは思わないのではないだろうか。


「お前は、俺の言ったことを忘れたのか? 今日は、叔母上を連れてくると言ってあったはずだぞ?」

「叔母上……そういえば、そんな話もありましたね」

「家の予定くらい、きちんと覚えておけ」

「……」


 エルード様の言葉に、シャルリナ様は微妙な顔をする。

 恐らく、彼の小言を嫌がっているのだろう。

 だが、エルード様の言っていることは、もっともなことである。家で何かあるかくらいは、貴族の一員として把握しておかなければならないのではないだろうか。


「ということは、お兄様は叔母様と関係を持っているのですか?」

「何?」

「だって、そういうことでしょう? 抱き合っていたのですから」

「……状況を考えろ。ここがどこだか、お前も知らない訳ではないはずだ」

「……」


 シャルリナ様は、悪戯っ子のような笑みを浮かべていた。

 恐らく、彼女はわかっているのだろう。エルード様が、泣いている私を受け止めてくれただけだと。

 わかっていながら、こういっているのだから、彼女はとてもいい性格をしている。もしかして、私のこともわかっていたのだろうか。


「えっと……私は、アルシアです」

「え?」

「あ、自己紹介しないといけないと思って……」


 私は、そこでシャルリナ様に話しかけてみた。

 とりあえず、自己紹介しておかなければならないと思ったからだ。

 だが、シャルリナ様の反応はとても悪い。何故かわからないが、後ずさりされたのだ。


「……失礼します」

「え?」


 そのまま、シャルリナ様は去って行ってしまった。

 一瞬の出来事に、私はとても混乱するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ