第14話 父の近況
私は、エルード様とともにグルラド様と対面していた。
彼に気楽にしていいと言われたが、それは中々難しい。これからゆっくりと慣れていくしかないだろう。
「さて、次もとても重要な話なのだが、いいだろうか?」
「はい……」
「こちらの方が、君にとっては重要な話かもしれないね……実は、私達の父の話なのだ」
「父……」
グルラド様の言葉に、私は固まってしまった。
私達の父、ゴガンダ様の話。それは、本当に大切なことである。
ゴガンダ様が、どういう人物なのか。私の母と何があったのか。知りたいことはいくらでもある。
私は、少し安心していた気を再び引き締めた。ここからは、より真剣に話を聞かなければならないだろう。
「私と君の父親であるゴガンダ・ラーファンは、現在病に伏している」
「病に?」
「ああ、体を悪くしているのだ。もしかしたら、もう長くないかもしれない」
「えっ……」
グルラド様から告げられた事実に、私はかなり困惑していた。
ゴガンダ様がもう長くない。それは、かなり衝撃的なことである。
「エルードには、黙ってもらっていた。これは、私の口から告げたかったのだ。現当主として、君の兄として……」
「え、ええ……」
「父は、自分がもう長くないと思って、君のこと……正確には、君の母のことを話し始めた。それで、私はエルードに頼んで、色々と調べてもらったのだ」
「なるほど……」
グルラド様の言葉を聞いて、私は色々なことを理解した。
どうして私という存在が、今頃見つかったのかがわかったのである。
ゴガンダ様が自ら話した。それが、私が見つかった理由のようだ。恐らく、自分が長くないと悟ったからこそ、そういう選択をすることにしたのだろう。
「正直、話を聞いた時にはどうするべきか悩んだ。今更、君をこちらに引き込むことが正しいことなのかどうか、それは難しい話だと思っていた」
「はい……」
「だが、結果的に君のことが判明して良かったといえるのだろうか。どうやら、君はとても辛い立場にあったようだからね……」
「……正直言って、助かりました。あの屋敷から抜け出せることができたのは、私にとって間違いなく幸福なことです。ありがとうございました」
「うむ、それならよかった……」
私は、グルラド様やゴガンダ様に感謝していた。
ゲルビド子爵家に仕えていた日々は、とても辛い日々だった。そこから抜け出させてくれたことには、感謝しかない。
「それに、私に家族……といっていいのかわかりませんが、そういう存在が見つかったのはよかったと思っています。ずっと一人でしたから……」
「そうか……」
それに、純粋に家族が増えたことも嬉しく思っている。母が亡くなってから天涯孤独だった私にとって、それは素直に喜ばしいことなのだ。