第5話 事件
※この小説は恋愛系です
朝、全校集会があった。
内容は一つ生徒一人が飛び降りたこと。
理由はまだわからないとのことだ。
また、この後で保護者への説明などがあることが伝えられ、集会は終わり普段通りの授業が始まる。
◇
「やぁ波読くん。偶然だね」
体育から教室へ帰って来たら、俺の教室の出入口のロッカーにもたれた姿勢で、鳳凰先輩と会った。
「教室の出入口で待ち伏せしておいて何言っているんですか」
「まだ呼んでいないから偶然だよ」
それよりも、お呼び出しだよ。そしてご指名だよ波読君。
内容は、今日昼に生徒会室に集まるとのこと。
会長が決めたらしい。
「波読、鳳凰先輩来てたけど、この後仕事なの?」
鳳凰先輩に恐らくそういう思いを抱いているてあろう麻羅が、淡々とした普段通りの顔で聞く。
「会長が決めたんだって。きっと昨日のことだと思う」
「大変だね。こんな時に」
「仕事だからな。それと、」
鳳凰先輩に忘れ物を返したことを伝えておいた。
蛇足だったかもしれないが、伝えるべきだろう。
「それはそうと、昨日の件の生徒さ、どうも」
麻羅が何かを話そうとしたとき、チャイムが鳴る。
急いで麻羅が席に戻っていき、話は途切れた。
授業後は昼休みだったので、話しかけられないまま、俺は生徒会室に向かうことになった。
◇
この季節はあまり好きではない。
廊下から見える桜はほとんど散っており、寂しさということを感じる。
そんなことを考えながら歩いていると、前には諸井先輩が手を制服のポケットに入れ、俺と同じ方向に向かっている。
「お、波読だな。お前も呼ばれたのか」
「諸井先輩もですか?」
「まぁな。こういう案件は俺の管轄になるし」
「そうなんですか」
「お前は何で呼ばれたんだろうな?」
「わかりませんよ。会長も鳳凰先輩も読みづらい性格ですもの」
噂をすれば、生徒会室の前に鳳凰先輩が腕を組んで待っている。
「やぁ、遅かったね」
「先輩が早いんですよ」
「鳳凰はクラス近いし、俺はそもそも用事あったからな」
「会長はもう生徒会室で待ってるよ。さぁ入った入った」
◇
中に入ると、臥竜会長が席に座り、不機嫌そうに指を組んでいる。
やっと来たか。と一言言い、後ろのホワイトボードを指す。
「波読、諸井。早速だが説明させてもらう」
そこには、朝の集会の内容と、例の生徒の情報が箇条書きになっている。
「二人にはこの事件の調査をしてもらう。これは学校や第三者委員会とは別の調査だ」
何でも、ここは私立高校であり独自の運営体制を取っているため、第三者委員会が調査しずらい環境なのだそうだ。
それ故に、そういうことがあった場合、伝統的に生徒会が独自で調査をする。という決まりを冥仁高校生徒会は代々守っているらしい。
そうなったきっかけと時期はわからないらしいが、解明の為に俺たちが呼ばれたといえこと。
「そういうことだ。そして、今回の調査を二人に頼みたい」
「了解。波読、授業後ここに集合だ」
「わかりました。ですがなぜ俺が調査諸井先輩と?」
「波読くんは新人だからね。経験を積ませるためという面もあるけど、実際は他の人にも手伝ってもらうことになるよ」
「細かい話は後にしておけ。昼の時間がなくなるぞ」
◇
「やっと来たか。波読」
行後、諸井先輩が既に生徒会に。
諸井先輩は俺を見た後、着いてこいと言い、生徒会室を出る。
「先輩、すぐ出るなら生徒会室に来た意味って無いじゃないですか」
「いや、校門で待つと目立つしな。これからあるやつの家まで行く。忘れ物してないだろうな?」
「一応していないですけど、誰の家へ?」
先輩はニヤリと笑った後、
「とあるヤツだよ」
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