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第3話 呼び出し

「失礼します」


「遠慮して入ってくれ」


「それは招いた側の態度なのか?」


 校舎の最上階に位置する校長室。


 中に入ると、部屋は広大な学校の敷地内を一望できるような円形の構造をしており、壁はガラス張りになっている。

 扉から正面に丸机とソファーがありその奥に校長の椅子と大きな机がある、いかにも偉い人の部屋と言ったところだ。


「さて、君を呼んだのは何を隠そう君に特待生の推薦を出した理由についてだ。別になんとなくで出したわけではないからな」


「なんとなくだったら殴ってますね」


「何となくでも殴ってはならんよ」


「では、目的を持って殴ります」


「それはもう事件だ。それにボケとツッコミがいつの間にか入れ替わっているじゃないか」


「いつの間にかではありません。僕がツッコミだったのは最初の一回だけです」


「細かい指摘はいいから。てか、何でボケとツッコミが入れ変わったのかな?」


「校長先生、そういうつまらない詮索は止めてください。いや辞めてください」


「君の言葉は凶器だねぇ。君から今すぐ取上げたいほど恐ろしいな」


 咳払いをして、校長は椅子に座る。


 校長に掛けなさいと言われたので、仕方なく俺は校長と向かい合うようにしてソファーに座る。

 足を組んで手を合わせ指を交差させ、どっかの国の大統領辺りがやりそうなポーズで校長と向かい会い、


「それで、話ってのは何なんだ?」


「態度がでかい! ……てかさっき言ったよね。聞いて無かったの」


 改まり、


「とりあえず君は今までの人生で、何か不思議なこととかは無かったかい?」


「あ、UFO見ました」


「オカルトだね。いやそういうのでもいいけど、こうもっと実生活であったこととか、何でもいいから」


「え? UFOではだめなんですか?」


「それ以外! じゃあ君が不思議に思うことを全部言ってくれ」


 不思議なこと不思議なこと……

 握る手の上に顎を乗せ、少し考えた後にハッと思い出した。


 そうか、それだ!


「ツチノコとビッグ・フット見たことですね」


「違う、そうじゃない! ……オカルト雑誌の編集者なら大喜びだよ。まぁ無いならいい。仕事の邪魔をしてすまなかった」


「本当ですよ。ここは茶すら出ないんですか」


「君、将来大物になるかもな」


 半ば追い出される様に校長室を出て、生徒会室に戻る。


 不思議なこととは――それに俺が呼ばれたのはなぜなのだろう。

 コントのせいで内容を聞くことができなかった。


 無駄に長い廊下を歩き生徒会室に入ると、会長達はパソコンをカタカタやったりと忙しそうだった。


 臥竜会長は俺を見た後、壁に掛けられた時計を見て、


「もう時間か。今日はそろそろ終わるか。みんな、下校だ」



 午後だいたい6時。

 運動部の生徒が下校を始めており、校門辺りに生徒がたむろしている。


 校舎を出ると、鳳凰先輩がいた。


「やぁ、また会ったね。校長とのお話はどうだったかい?」


「腕組んで待ってたなら会うに決まってるじゃないですか。漫才やって終わりでしたよ」


 鳳凰先輩は何を思ったのか、一呼吸おいて


「そうか、それは見たかったな。意外にも相性いいんじゃない?文化祭でコンビ組んでみたらどうだい?」


「嫌ですよ。校長先生とコンビ組む庶務がどこにいるんですか」


「そうかい、意外と面白いんじゃないか?」


「嫌ですよ。先輩がやればいいじゃないですか」


「校長とコンビ組む書記がどこにいるんだい?」


 なんと、自分の言葉を逆手に取られるとはなんたる不覚。


 そんなやり取りをしていたら、気づけば既に校門前にも人影は無く、ここらにいるのは俺達だけになってしまった。


 校門を出て駅への道のりを歩く。


「それで、今回は最初の活動だったけどどうだった?」


「疲れたましたよ。やった仕事なんてプリント運びだけなのに、その後のコントが面倒臭いんですよ」


「ボケはほとんど君だったんじゃないのかい?」


「あれ? そうでしたっけ? 記憶にございません」


「君は既に大物だね」


 歩いて約数分、最寄り駅に着く。

 先輩とは逆方向なので、改札付近で先輩とは別れた。


 家についた時、既に日は落ち真っ暗だった。

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