第2話 生徒会
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「やぁ、遅かったね」
「遅かったねって先輩しかいないじゃないですか」
「まぁね」
校舎の最上階にある生徒会室。校長室の向かいにある。早めに来れたと思ったら先を越された。
「これから他のメンバーも来るからね。えっと副会長は休みらしいけど」
「そうなんですか」
「ほとんど学校来ないからね。副会長は風来坊なんだよ」
それ生徒会にいる意味あるんですか?
しょうがないよ。来ないからね。
先輩と雑談して時間を潰していたら、生徒会長が。
「あ、寡黙の姫が来たね」
「普通に名前か役職で呼んであげてくださいよ」
「…………」
寡黙の姫か――確かに近寄り難い静かな雰囲気をしている。
彼女は臥竜濘。
生徒会長の2年で、その姿から、『寡黙の姫』と呼ばれているらしい。白く整った顔が、長い黒髪の美しさを一層引き立たせる。
ふと、会長と視線が合った時に目の中の深淵の黒に体が吸い込まれるような感覚に襲われた。
「臥竜会長、他のメンバーは……知らないよね。まぁそのうち来るか。時間が時間だし、早速仕事始めないと。ほら、波読くん見とれてないでやるよ」
「あ、はい」
鳳凰先輩の声を聞き、我に返る。
その後、会計の諸井孔(もろい こう)先輩や、会計監査の刃渡俊希先輩が遅れてやって来た。
「さぁみんな、座った座った! 自己紹介しようか」
「鳳凰先輩、テンション高いっすね」
「鳳凰はそんなもんだ。まぁ慣れるぞ」
と声高に言う茶髪の青年は、会計の諸井先輩。
「諸井、まだ波読君は入ったばかりなんだ。君も少しくらい彼の真面目さを見習うべきでは無いのか」
「刃渡、だから彼女できねぇんだよ」
「いや関係無いだろ! なんでいきなりそんな設定バラすんだよ」
彼女いないメガネの方が刃渡先輩。サラサラ髪のいかにも真面目なメガネといった感じの先輩。
諸井先輩に彼女がいるのかはわからないが、モテないようだ。
「で、この寡黙の姫が臥竜先輩ってまぁ知ってるよね。挨拶だの何だのでよく目にしていたはずだし」
「圭、雑談はいい。波読とやら、よく生徒会に入ってくれた、歓迎する。だがここは実力重視だ」
「お堅いねぇ。さすが姫様」
「諸井、やめろ」
「はいはい恥ずかしいのか姫様」
「辞めろ」
「はいすいません」
臥竜会長はその大きな目で諸井を睨む。
臥竜から殺気を感じた諸井は、怯えつつも次の機会を伺っている。
「それではほとんど意味の無い自己紹介は済んだな。仕事に取り掛かろう」
ここのメンバーは俺が入る前からあまり変わっていないようで、話などは比較的スムーズに進んだ。
早速仕事に取り掛かる。
「波読、この書類を職員室へ」
「あ、はい」
大量のプリントを臥竜会長に渡される。
「波読くん、そういえばここに来たばかりだったね。職員室まで案内するよ」
思い出したように、メガネの先輩が優しそうに声をかけてくる。
「彼女いない方の先輩、ありがとうございます」
「その呼び方はやめて欲しいなぁ」
◇
「失礼しました」
職員室までの運搬を終え、諸井先輩と一緒に生徒会室への帰り道。
先輩が突然、臥竜会長の印象について聞いてきた。
「会長ですか。綺麗な方ですよね」
「やっぱりか。見た感じは良いけどね」
「通り名が『寡黙の姫』でしたっけ。呼ばれるだけありますね」
一瞬、刃渡先輩の顔が曇る。
「まぁね。でもあんまり変な妄想とかしない方がいいよ。全員玉砕だからさ」
「そうなんですか。あまり人付き合いが得意そうでは無いですしね」
「はは、彼女の前では時が止まるからね」
それと、
と前置きをし
「波読くん、しちゃってる?」
「何をですか? 先輩ができないことをですか?」
「僕ができないことって何だよ。アイツ結構頭いいから、すぐにバレちゃうし距離取られるよ」
「頭良いんですね。生徒会長に立候補するぐらいですし、天才なんですかね」
「そうだね、天才と言うより天災かな。おっとこんな時間。僕、この後用事あるから。ここからは自分で帰れるよね。じゃ!」
時計を見てそう言い残し、駆け足で去った。
天災とは一体何のことなのか。
生徒会室の扉を開ける。
そこには、入学式で堂々と面白くない話を続けた白髪白髭の老人がいた。
「おぉ、今来たか波読くん。君に話があってね。校長室に来てくれないかい?」
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