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第4話「生徒2人の修学旅行」


「そ、その声は・・・」

「はぁ、何も覚えてないのかい?まぁ歌に相当集中していた様子だったからね。いや、あれは”歌”なんて呼んでいい代物ではないか・・・」


とまたもや俺を見下す態度をとる飯塚に、俺は半ば確かめるように不意にクシャミをした。


「「ヘークションマン!」」


おおっ、この身のこなし、飯塚に間違いない。


「・・・まったく、相変わらず油断も隙もあったものじゃないな。私じゃなかったらいまごろ顔面鼻水ボーちゃんになっていたところさ」


「そんなことより飯塚、一体何が起こったんだ?」


俺は、先ほどまで確かにHRが行われていたはずの教室を見回して、たずねる。

クライメイト共は?(まあ、俺とこいつをのぞいて8人だが)

先生は?

そして、外の真っ白な風景は一体?

今この状況は、まるで祝日に学校に間違って登校しにきてしまった小学生のようにポツンと俺ら2人が教室の中央にたたずんでいたのだった。


「いやまて、いうな飯塚。フフ、推理ゲームといこうか。俺こういうの好きなんだ」

「いやそんなヒマないから簡潔に述べるが?」

「しょんぼり・・・」


「キミが歌声を披露し始めた瞬間、レベル5の次元亀裂ゲートが発生した。キミも知っての通り、レベル4以上の次元亀裂ゲートは通常、国家クラスの対策が必要な、超異常事態だ。その次元の亀裂から一瞬で一筋の光が指したと思ったら、次の瞬間にはこうなっていたんだ。キミは構わず歌い続けていたけどね。」


「ははあ。俺の歌声が、偶然、禁忌の詠唱『空間転移トラベルメーカー』を引き起こしてしまったのか・・・。しかしなぜ?詠唱は、誤作動を起こさないために、演習用などの結界内部でしか発動しないはずでは?」


「知らなかったのかい?うちの学校の敷地内は巨大な結界で囲われている」


(なにィ!?) 

どおりで、最寄り駅から2時間も離れた、人通りの少ない土地に建ててるわけだ・・・


「しかし、一般人の魔力程度では、偶然詠唱ができたとしても、こんな大それた魔法は使えないはず・・・」

「フ。キーンコーンカーンコーン。ただの何気ないチャイムだと、思っていたのかい?」

「何?それはどういう・・・」

その時、ものすごい轟音が響くとともに、前方に大きな次元亀裂ゲートが今にも開こうとしていた。

なるほど、これほどの不協和音をバックに歌っていたら、音痴に勘違いされるのも無理はない。


「こ、これか!?」

「ああ!そうだ!しかしなぜ再び・・・!?」

「本で読んだことがある!この窓から見える真っ白な風景は、宇宙世界!そしていわば今俺たちは、電車の中!まだ到着はしていなかったということだ!」

「すっかりこの白い世界こそが転移先の世界だと思っていたが、まさかまだ途中にすぎなかったとは・・・」

「そして!今回の次元亀裂ゲートが意味するものとは・・・」


「出口だ!」


うわぁ~~~~~~


・・・・・

・・・・

・・・


(ーーー次は、鶯谷うぐいすだに。お出口は、左側ですーーー)

(ーーーThe next station is “Uguisu dani”. The doors on the left side will open.ーーー)


降ります、降ります。

ギュウギュウにつまった車内に俺の声はかき消えていく。ああ、もう間に合わない。俺は次の駅まで乗車する覚悟を決めようとしたその時、何者かに左腕をグッとつかまれ、体をするりとドアから抜けることに成功した。


「あぶないところだったね。」

「君は・・・」

「ボクは市原朗いちはらあきら。一応、クラスメイトなんだけど・・・まだ君とは出会う前だったかな?」


市原。そういえば、授業でそんな名前の奴が指名されてたかもしれない。・・・が、そのあとの言動が少しひっかかる。


「助かった、あのまま日暮里まで連れてかれるところだったぜ」

「いや、あの電車は、ここ鶯谷の次は名古屋駅まで止まらないよ。あと数時間は乗ることになっていただろうね。」


なんだこいつは。恩人かと思ったら、山手線すら把握してないとは。とんだ常識知らずにつかまってしまったものだ。


「・・・キミはいまこう考えている。『とんだ常識知らずにつかまってしまった』・・・とね。でも、この世界では、君の方が『常識知らず』なんだよ」


ますますわけのわからないことを言ってくる。これはもうこれ以上関わらないほうが良い。アタオカだ。


「お、おう、そんじゃ、また学校でな、ありがとう、たすかったよ」

「待って!」

再びガシッと左腕をつかまれる。あれ?そういえば俺はさっきまで何をしていたんだっけ?


「きっと君とボクは、このあとすぐ出会うことになるだろう。その時もボクは、君に対してそっけない態度をとるかもしれない。しかし、仲良くしてやってほしいんだ。それが、この世界を救うための」


「あ・・・・は?・・・」


「唯一の   方法  なのだから  」


・・・

・・・・

・・・・・



気持ちのいい陽射しを浴び、俺は目を覚ました。


「・・・誰も・・・いないのか?」


さっきまで一緒だった飯塚の姿はない。

あれ?それと、誰か他にもう一人、しゃべっていた、ような・・・


かすかに潮の匂いと、心地よい波音が聞こえる。近くに海があるのか・・・?

とにかく俺は、他にやれることもないのでその海へと行ってみることにした。


そこには、ビキニ姿でビーチバレーを楽しむ飯塚と、クラスメイトを逆レイプで蹂躙する福田成美の姿があった。



産業まとめ

・ボエー=詠唱 がワープを引き起こした

・なんか市原アタオカに会ったような、会ってないような

・着いた先で、飯塚と福田がたのしそうに男子をおそっている


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