第2話「休み時間中の死闘」
「失礼しましたーっと。」
たっぷりしぼられた俺は、職員室を後にする。
ああ、やっぱり今日は厄日かもな・・・しかし、さっき聴こえた声は一体?
「どこに行くんだい、と聞いているわけだが?」
お前は!
「さっきのリボン女!」
あいかわらずの大きなリボンをぶら下げて、俺の前に現れた。
「ふふ、すっかり絞られて萎縮しちゃったかと思ったけど、案外まだ吠える体力があるみたいね」
「あれ?おまえ、頭にゴミついてるよ。俺がとってやるよ」
そういって俺は隠し持っていたハリセンで彼女の頭を叩いた。
パァン!
気持ちいい音が廊下をこだまする。
「スキあり!ヘヘッ、どうよ、中学時代ボクシングで頂点に立ったこの俺の一撃はさすがのおまえさんも反応できなかったみたいだな!」
「・・・・・・」
ワナワナと震える彼女の顔は火を吹き出しそうなほど真っ赤だった。
無言でくるりと体を反転させ、立ち去ろうとしているようだったので、俺はすかさず回り込む。
シュッ
ハトが豆鉄砲をくらったような顔を見せる彼女の脳天にすかさず俺は2撃目のハリセンをぶちこむ。
(もらった・・・!)
しかし、俺のハリセンは空を切り、よろよろと体全体のバランスを崩してしまう。完璧なタイミングだったはずだ。一体何が・・・?
「・・・残像だった、わけだが?」
長い髪、ポニーテールと大きなリボンを揺らして、彼女は悠々と立ち尽くしていた。この動き、明らかに学年順位最上位のそれだ・・・!
「たしか、私の名前を聞きたがっていたわよね。私は飯塚有希。あなたはええっと・・・水田とかいってたかしら?」
「俺は水田貴之だ!俺の動きを見切ったのはお前が初めてだぜ。」
さすがは天の川学園。強敵が日常の中にいくらでも溶け込んでいやがる。
(俺はこの学園でもトップを目指し、地球を制覇し、いずれ宇宙をも掌握する男になるのだ!)
「ま、それも私がいる限り無理な話なわけだが?」
「何!?」
(こいつ、まさか、読心術の心得まで・・・!?)
次の瞬間、俺は廊下の地面に大の字に寝転んでいた。一体何が起こったのか、わからぬまま、飯塚はこの場を後にしたのだった。
キーンコーンカーンコーン。
ああ、4限目もまた遅刻だ。へへっ、とんだ学園生活の始まりだぜ・・・
産業まとめ
・飯塚有希へのハリセン奇襲
・1撃目は有効、2撃目はかわされる
・カウンターパンチでKO