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にほいち47  作者: 多摩みそ八
12/16

第12話 伊予縦断!! 蒼きしまなみを越えて!

四国カルストから道に間違え僻遠の山奥へ。大雨が降り注ぐ大ピンチのさなか一軒の廃屋に避難し夜を明かす一同で会った。



「うう……ハッ、ここは一体!? そうか……結局あのまま寝ちゃったんだ……」

 夜明けとともに苦しそうに瞼を開けると、見知らぬ木造の屋内で4人は横たわっている。緊急雨宿りしたものの陽は落ちあたりは闇に包まれ身動きが取れなくなってしまった。一晩中続いた鬼のような嵐は過ぎ去り、木々の水滴が朝日に反射し光り輝いている。もう人が住むことはないであろう廃屋とはいえ、勝手に宿泊したことを省みて形跡を残さずその場を後にする。


「最悪な夜だったけど無事に夜が明けてよかったね!」

 昨夜は思いもよらない野宿に慌てふためいていたが、新しい朝を迎えると憂いは吹き飛び心なしにすがすがしい気分。天気と昼夜によって辺りの世界がこうも違って見えることは今まで感じたことがない心地であった。幅が狭いとはいえ舗装された道路は町村へ繋がっていることを表し、一行は人里を求めて進んでいく。しばらくすると集落が現れて4人は胸をなでおろす。電波も微弱だが繋り現在地を確認、どうやら正しいルートから大幅に西に進んでしまっていたようだ。低速走行を強いられる狭隘な山道を引き返すより、もう少し西に走り大きい街道に出るのが得策。水を得た魚のようにナビをセットし松山市を目指していった。


「いや~こんなにコンビニが待ち遠しかったことは初めてだね~」

 内子町(うちこちょう)まで降りてくると文明の香りが漂ってきた。都会ではそこらじゅうで見かけるコンビニもひと気のない山中を走ってくると妙な安心感を感じる。ヒエヒエのサイダーをグイっとひっかけ喉を潤す。ここまで来たらあとは松山まで迷うことなく一直線だ。


 今朝までいた深い山奥がウソだったかのように街は栄え交通量が増えてきた。四国最多の人口を擁する松山市。みかん色の電車が縦横無尽に走り回っている。その中で目が引いたのは小型のSL“坊っちゃん列車”。夏目漱石の小説に登場した深緑のマッチ箱のような客車を引いている。環境に配慮され蒸気ではなくディーゼル機関となっているが、明治・大正時代を思わせるレトロな車両は松山市の観光名物であった。


「早く温泉入ろうよ温泉! も~全身ベッタベタだよ。」

 昨夜は小屋に避難し風呂に入りそびれた。4人の誰もが湯舟に浸かりさっぱりすることを待ち望んでいる。全員一致で寄っていくのは松山名所の道後(どうご)温泉、その歴史は古く万葉集にも登場する。いくつかの湯どころがあるうち選んだのは定番の本館。設計が古いため狭いのは仕方ないが石造りの湯舟と砥部焼の壁画は風情を感じられた。身も心もリフレッシュしていよいよ四国脱出のため松山市を後にし北上する。


「いや~結局四国で4泊もしちゃったね~、苦いこともあったけどいい思い出になったよ。」

 面積の小さい四国を侮っていたが山間部と悪天候の洗礼を受け辛苦をなめることとなった。昨日までの嵐の奥深き山林とは一変し清々しい穏やかな瀬戸内海を左手に進んでいく。本州と四国を結ぶ3つの連絡橋のうち原付・自転車が通行できる唯一のルート、しまなみ海道の入口へやってきた。高速道路の脇に専用の通行帯が設けられており無人のゲートにて料金箱へ現金を投入する。6つの島々を橋で結び見事な景観を楽しみながら気軽に乗り降りできる道路は、原チャリが輝く日本随一の名道であった。


 愛媛今治からはまず来島(くるしま)海峡大橋を渡り大島へ。3つの長大な吊り橋が連結しており全長4105mと、しまなみ海道最長である。原付道は高速道路の外側に設置され橋下をくぐり抜ける船を間近で眺めることができる。橋を渡っている最中も良いものだが更に素晴らしいのは上から見下ろす景色。大島へ渡りグネグネの坂道を登って行くと亀老山(きろうさん)展望公園に辿り着き、そこから眺める来島大橋の大パノラマは圧巻であった。


「えっここってあの“ハカタ”の塩のハカタ!?」

 続いての島は伯方島。脳裏にこびりついて離れないCМのフレーズが有名。塩を全面に押し出しており物産店では様々な塩グッズが販売されている。照りつける真夏の太陽が眩しい今はやはり塩ソフトがイチオシ。ほのかにしょっぱい純白のソフトクリームはご当地ソフトの中でも誰もが無難に味わえる。糖分と塩分を補給し次の島へ向かっていった。

挿絵(By みてみん)

 第3の島はその名の通り?の大三島(おおみしま)。しまなみ海道が通るうち最大の島であり伊予国一宮の大山祇(おおやまづみ)神社を擁する神の島と呼ばれる。対岸には無数の瀬戸内海の島々が見え、東日本にはない独特の景観であった。そして隣の生口島(いくちじま)からは広島県。想像以上に長丁場に感じた四国へ別れを告げる。各島へ寄り道するとなかなか先に進めずいつものように夕暮れが近づいてきた。


「今夜こそテントで泊まるよ。もう決めた、この島でキャンプする!」

 まごめは本州から2つ手前の因島(いんのしま)に宿泊することを強引に決定。昨夜の疲れもあるので今晩はベッドで眠りたい一同であったが、ホテルの宿泊代と各地の観光代でここまでの旅費が予定より大幅に嵩んでしまっている。あと1ヶ月以上続く長旅のため節約必須、キャンプで宿泊料金を抑えていく作戦に出た。お盆期間に入って宿が取れなかったり料金が高騰している事情もあった。


 波乱に満ちた四国を抜け山陽地方に突入、彼女たちの珍道中はまだまだ続く!

挿絵(By みてみん)

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