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にほいち47  作者: 多摩みそ八
11/16

第11話 雷鳴轟く山々!! 四国の受難!

 高知に到達したものの強烈な豪雨によって停滞を余儀なくされたのであった。



「よーし、今日こそ愛媛行くぞー!」

 日本一周早くも10日目、この旅初の連泊したドミトリーから意気込んで出発。昨日はというと二度寝をして午前中はベッドで過ごす。午後からはバスと路面電車で高知観光。おかげで移動で疲弊している体力を回復することができた。まさしく恵みの雨といいたいところだがスケジュールが更に遅れてまごめは焦りを感じている。自身の計画では今頃九州の南端・鹿児島に到着し、沖縄行きのフェリーに乗船しようかという予定であった。しかし現実は九州どころか未だ四国の半ばでモタついているという遅延っぷり。バイクで、しかも4人での長距離旅行はトントン拍子に事が運ばない。


「うわー今日も嫌な天気だなぁ、道は思ったよりも空いているけど……」

 本日もあいにくの空模様。いつ降り出してもおかしくない一触即発の雰囲気。晴天の直射日光も地獄であるが雨天時の蒸し暑さはさらに苦行であった。そして今日からは令和初めてのお盆休みも始まった。今年はゴールデンウィークに引き続き9連休も珍しくない超大型連休で各所での混雑が懸念される。しかしここは陸の孤島……とは言い過ぎであるが大都市圏からのアクセスが遠く目立った渋滞はまだ見られなかった。


「ああん、やっぱり降ってきたかちきしょーめ!」

 嫌な予感の的中率は異常。パラパラと降り始めた雨はまたたく合間に強まり全身に水しぶきのように襲い掛かる。夏の高知は太平洋南から雨雲が次から次へとやってくる。昨日に引き続き今日も大雨の1日となってしまった。高知市からまだ30kmあまりの須崎(すさき)市でのことである。


「これはヤバイよ、止まるしかないよ!」

 あっという間にグローブは浸水、防水加工されていてもあまりの水量でなすすべもない。一行はたまらずコンビニに避難。ひとときの間は雨から逃れられるがいつまでも店内に留まるわけにもいかない。一向に降り止む気配もないので雨宿り場所を検索する。すると少し先に日帰り入浴ができる温泉を発見。濡れた体をさっぱりしたいこともあり雨宿りがてら休憩していくことに決定。


「ああ~やっぱり温泉はいいわあ~、日本の至宝だよこりゃ。」

 午前中から入る風呂は旅行者にとっては格別である。昨日と一昨日泊まったドミトリーではシャワーのみであり、大きな浴槽で足を伸ばし羽を伸ばせる喜びがあった。国内至る所・ほとんどの町に温泉・銭湯があることは世界的にみて非常に贅沢なことである。たっぷり体力を回復できたが気力は下降し怠けてしまう。なかなか温泉施設から出ることができない。結局昼食や仮眠で滞在時間が延び延びと、4~5時間近くも休んでしまった。


「今がチャンスだ、いい加減に行くよ!」

 まごめは雨足が弱まった隙をついてダラけた3人を外へ引っ張っていく。せっかく温泉に入ったのにすぐさまベタついてしまう悲しさよ。こういう雨天時には屋根付き冷房付きの車が羨ましいやら恨めしいやら。全身湿ったバイク装備で山岳地帯へ入っていくのであった。せっかくのワインディングロードもフル積載のバイクでウェット路面では楽しさ半減・怖さは倍増である。


「やっと着いたー! はあーすごい……これがカルスト……!」

 走行距離以上に長く感じる高知県もようやく終わり、愛媛県との境目である四国カルストに到着した。標高1400mの高地には地表に露出した石灰岩がいくつも点在している。曇り空とはいえ周囲の雄大なパノラマの山々が一望できた。4人は辛い道のりであったが満足し、本日の目的地である松山市に目指して走り出したが……

挿絵(By みてみん)

「まーた雨かホントしつこいっ! こっちの道で合ってるのかな?」

 山の天気は変わりやすいというが、まったくイグザクトリーであり再び頭上は暗雲に包まれた。雨天時のバイクだと視界は著しく悪化し、水滴でナビはほとんど見ることはできない。音声案内を頼りに進んでいたが看板のない分岐もあり本当に正しい道なのか確信を持てないでいた。周囲には民家が一切なく両サイドは森しかない深き山中。4人は不安を募らせながら先に進んでいた。


「へくしっ! なんか寒くなってきた。ちょっと止まっていい……?」

 千鳥は全身ずぶ濡れで体が冷えてきたようで停車を願い出る。真夏とはいえ夕方の高地、雨に晒され続けてもはや下着にまで染み込んできて体温を奪う。止まりたいのはやまやまだが細い山道で丁度良い場所がない。人里が待ち遠しくて焦り出すそんななか、一軒の家屋を発見する。この際四の五を言っている場合ではない、雨宿りをさせてもらおうと尋ねるが人の姿はなくどうやら廃屋のようであった。


「誰もおらんのか……ちょいと場所借りるで!」

 カノンは廃屋の脇から中に入り、濡れた体を拭き着替える。他の3人は躊躇するも仕方がないと自分に言い聞かせ後に続く。雨足は強まる一方であったが屋根が一同を守ってくれた。どうやら道を間違えたようで先ほどから車が全く通らない。現在地を確認するも電波は圏外であり正確な位置はわからなかった。


「もおーなんでこんな事になってるんだよ!」

 高知でもう1泊停滞すべきだった・天気予報をしっかり確認する必要があった・温泉で休みすぎた・四国カルストには寄らずにまっすぐ松山を目指せばよかった……4人は雨音でイライラするのも相まってこの事態を巡って口論になる。陽はすっかり傾きあたりは闇に包まれ雷も鳴り響く大雨のなか家屋から出られないでいた。しばし険悪な空気が流れたがカノンが口を開く。


「こうなった事はみんなの責任。責め合ってもしゃーないやろ、今晩はここに泊めさせてもらおうや。」

 ピリピリする一同をなだめて落ち着かせる。今晩はまさかの廃屋で野宿することに。ひと気のない山奥で不安な夜は更けていった……

挿絵(By みてみん)

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