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人狼と少女  作者: 冬忍 金銀花
最終章 エストニア市民独立運動

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35/41

第35部 北欧 エストニア独立運動 ダイヤと桜子の悲しみ 


 1917年(大正6年)3月3日 エストニア地方



*)桜子と麻美


 桜子とアンナとアンナの両親が、12日を掛けてエストニアに到着した。ここでも、麻美や安部教授と同じく、相手の居場所が分からない。同じお題目で悩んでいる。路銀は殆ど使い切っている。裏町の格安宿屋に泊る。すぐに夢を見た。


「ねぇ? アンナ。ここには巫女と私の家族や同僚が居るの。どうしたら会えるかな」

「桜子さん、そういう事は旅の途中でするものよ。今はお金を稼ぐだけに集中しませんといけません。どうにかなります。さ、これを着て仕事に行きますわよ」


 私はアンナの母から、1着のドレスを頂いた。純白の花嫁衣裳だった。


「あのう、アンナのお母様。これはどういう意味でしょうか?」

「桜子さん、気にしなくてよろしいですわ。あそこの貴族へお嫁に行って頂くだけですわ」

「そんな~!」

「もう結納金は頂いております。桜子さん、いいえ、桜子様。お昼までに城へ行きますわよ」

「わ~、私は売られた~」


「ちょっと桜子さん。夢が叶わなくてすみません。もう朝ですよ。起きて下さい」

「ほぇ~!」 ?????

「なんだ、夢か~」

「いいえ、現実です。さ、この服を着て下さい」

「キャー! イヤー、私、売られる~」


 私は三人から押さえつけられて服を着替えさせられた。メイド服だった。


「目が覚めたかしら? このお宿のパブで働く事に決まったではありませんか。まだ思い出せませんか?」

「ほぇ?」

「母さん、フライパンを借りてきて!」

「あいよ、フライパンね。なんだい? 新しい使い方があるのかい?」

「さ、メイド長さんに挨拶を」

「あら~、さくらさん?」

「まぁ~、ミーシャさん?」

「さ、メイドで働くわ。さ、戦争よ!」


「ご主人、今晩は、ここを貸切でお願いします」

「おう、そうかい。で? 予約の人数は? キャンセルお断りだよ。前金ね!」



 メンバーを思い出せないので、名前を書きだす。桜子は全員の数は知らないし、会うのも全員ではない。この物語の人物の名前は、


桜子、アンナ、アンナの両親・・・・・・・・・・・・・・・・・・4人

ミーシャ、霧、杉田先輩、阿部教授・・・・・・・・・・・・・・・4人

麻美、クライ、三浦教授、石川、館長、館長の父、ターニャ、ルカ・8人

ニキータ、スミヤ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2人


キャス、アヴローラ、平蔵、トミ、サワ・・・・・・・・・・・・・5人

                              23人

ユキオ、ホロ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  2人



 巫女が8人とダイヤの桜子の9人。麻美は霧の力を受ける。ユキオ、ホロは、残念ながら合流が出来ない。上から4行の18人と合流した。パブは便利だ。その夜は、17人が再会を祝って宴会となる。霧は遠くに居るからと、うそを告げられていた。


 桜子と麻美は、それはもうべったりとくっいて離れなかった。智治は離れた所に居る。間には二人の教授を挟んでいた。この席順はミーシャが考えた。


 霧の存在をごまかすために。みんなはひやひやしながら、私と麻美の二人を見ていたという。対桜子は、麻美の一人に任された。他の人には、紹介だけで、教授とは、お酒の一杯をお酌しただけだった。どことなく淋しい宴だった。智治は最後まで顔を合わせていないが、桜子は気が付かなかった。ミーシャの働きがとても良かった。


「麻美!もう赤ちゃんを産んだの?」

「どうして?」

「うん、あんたからは、お乳の匂いがするわ」

「ああ、これね。近所の赤ちゃんのお乳を零したのよ」

「双子の赤ちゃんでね、それはもうとても可愛いのよ!」

「そうなんだ」

「でね? お仕事で双子をお守りしているから、そろそろ帰るね」

「明日はどうしているの?」

「うん、お守りは家だから、一日中家にいるわ。だから明日からはず~っと一緒に居られるわよ」

「そう、良かったわ」


 麻美はここの奥さんから、沙霧と澪霧を受け取り、裏口から二人を抱いて、泣きながら帰っていく。この日、麻美は真夜中まで泣いていた。



 


*)桜子と麻美と沙霧と澪霧と

                    北欧 エストニア独立運動 直後                      


 朝一番にスミヤさんが、私たち4人を迎えに来た。昨晩はこのスミヤさんにもたくさんお酒を飲まされたいたのを思い出す。


「はい、これ! 二日酔いのお薬です。よく効きますわよ」

「そう? ありがとう。皆の家は遠いの?」

「いいえ~、近いですわ」


 みんなの家に着いた。


 桜子がダイヤと呪文、それに紫・アンナとその両親を連れて合流した。実に半年とか1年とか複雑である。

 


 ニキータが家の前で待機していたようで、私の姿を見るなり抱きついてきた。


「さくらさ~ん、会いたかったよ~」

「ニキータ。無事に合流が出来ていて、良かったわ。ご苦労さまでした」


 麻美は、少し悲しげに、


「みんな揃っているよ」


 と言って、沙霧・澪霧に会わせた。私は可愛い!と言いながら抱き上げる。麻美はゆっくりと二人を桜子の左右に抱かせてくれた。


 そして、麻美は家の中にに案内した。私はようやく会えた嬉しさから、麻美の様子には気が付かなかった。


「この子、麻美にそっくりよ? 麻美は赤ちゃんを産んだの?」


 頓珍漢な質問をしたが返事が無い。皆揃っている、と麻美は会う時に言った。霧が居ない。麻美を見たが、麻美は横の壁を見た。そこには、仏壇を形どったような物の中に、霧の青いロザリオが見える。赤い髪も少しあった。


 直ぐには分らない。みんなは黙ったままだ。涙が溢れだす。先輩を見た。


 ルカとスミヤさんが双子を奪い取るように、私から沙霧と澪霧を取り上げた。


 ……その瞬間に大声で泣き出した。



 私は半狂乱したように喚きだした。


「イヤ~、キリ!、どうして、どうして?」


 すぐに智治が私を抱きしめて受け止めてくれた。先輩の胸を叩く。先輩は黙って抱きしめてくれる。


「どうして、ねぇ、どうして、智治。キリ! イヤ~」

「麻美~」

「麻美~」

「霧はどうしたの~」

・・・・「麻美~」


 私は麻美と智治の顔を交互に見つめや。


「先輩~」 ・ ・ ? ・ ・ ? ・「あさ~」


 私は霧の死を受け入れようとしなかった。かわいい、妹的な霧の死を到底認める事はできない。


 私は、麻美を無視して泣き崩れていた。麻美も当然いっぱい泣いたはず。私は、私は、麻美とは違う! もっと、もっと泣いても許される、そんな思いが胸にあった。私はまだ泣いている。まだ泣きたい。


 私と麻美と智治、ミーシャを残してみんなは部屋を出て行っていた。



 ずいぶんと時間が経った頃に、麻美は、霧の伝言を教えてくれた。


 麻美は、


「お姉さまの幸せを沢山頂いた。もう、言い表せ無い位頂いた。ありがとう。智治さんをお願いするね、沙霧・澪霧を願いするね」


 そう言って麻美は部屋から出ていっていた。私は気が付かなかった。麻美は外で泣いていたのだ。



 ミーシャが、ごめんなさい。と謝りながら経緯を丁寧に穏やかに話してくれた。


「ミーシャさん、霧と智治さんを助けてくれてありがとう」


 私は、霧と先輩の話を聞いているうちから、涙が止まらなかった。智治さんも泣き続けていた。私は、うん、うん、と何度も返事をして、ありがとうを何度も言っていた。


 先輩は、


「桜、霧が俺を助けてくれたんだ。なのに俺は霧を守れ無かった。ごめ・・・・」


最後は言葉にならない。二人して泣きだす。



 泣きじゃくる私に、麻美は再度、沙霧・澪霧を抱かせてくれる。


「智治さんと霧の子よ。この子は、沙霧。この子は、澪霧。霧によく似ているでしょう?」


 泣いているから、二人を一度に抱っこは出来ない。でも麻美は抱いている。双子だから何処まででも対等にあやす。


 初めは霧の子供とは思わなかったから、愛おしさは無かった。でも今は違う。


 最初は、沙霧。かわいい。そして、澪霧、同じ顔だ。見分けがつかない。泣いている私に微笑んでくれる。そうなんだ、なんだ。霧が小さく2つに別れたんだ! 霧、ありがとう、もう泣かないね。



 私と麻美が赤ん坊の奪い合い? にはならないが、交互にあやしている。きっと霧は、こんな事を見越していたんだろ。霧! 私たちに愛をありがとう。



 私は外に出てしばらく一人になり泣いていた。


「あんた、一日中泣くつもりなの?」


 ニキータが迎えにきた。もう夜空になっていた。


 私はようやく立ち上がる。私が知り得た情報を皆に教えなければならない。


 「私、頑張るね、霧。宝石が6個も揃ったよ」




*)ダイヤと宝石の覚醒



 私は、アンナとその両親を紹介した。


 私とアンナの2人で説明を始めた。殆どがアンナがしてくれたが、補足をニキータがしてくれる。


 私は、ただ、一言。


「このダイヤを使えば、人狼を元の人間に戻せるの」


 皆、驚く。


「このダイヤの封印を解けば、武器で刺された人狼兵は元の人間に戻るの」

「すると、殺さないで済むんだな?」


 三浦教授が念を押す。


「ええ、そうよ。刺されても人狼は死なない。人間に戻ればもう人狼には変身出来ないの」


 みんなは喜んだ。そうだろう、いくら武器があっても傷つけるだけで、殺す事は出来なかったから。殺すと考えたら怖くて、戦闘は出来なかっただろう。


 多数の質問と回答が行き来する。私とて宝石が有ったならば試してみたが生憎と資格無しだから解らない。



 わたしはダイヤを持ち、呪文を唱えた。


「桜子は、汝に命ず。ボガトィリの唄を讃えよ、ヴォルフェンリード」

「これでダイヤの封印は解けたわ。麻美、ダイヤを持って真名で唱えて」


 私は、ダイヤを麻美に渡した。麻美は唱える。


「ユキは、汝に命ず。ボガトィリの唄を讃えよ、ヴォルフェンリード」


 続いてキリのロザリオを持ち、麻美は唱えた。


「ユキは、汝に命ず。ボガトィリの唄を讃えよ、ヴォルフェンリード」


これでキリの宝飾は、ユキが使える。


 ここに居る巫女はそれぞれ呪文を唱え終えた。


 ダイヤの封印解除で人狼と同じ万能の力が持てる。容姿は変化せずに人狼と同じ能力が持てる。各自は、


赤   ソードダンサー、      剣     ペンダント

黒   ソードダンサー、      剣     指輪

緑   コボドダンサー、      弓     ブレスレット

白   ブリュンダンサー、     盾     ブローチ


紫   バルハーダンサー、     槍     かんざし

青   スクトゥムダンサー、   両手剣    ペンダント 

ピンク グレイプソードダンサー、  薙刀    イヤリング

濃緑  ツヴァイヘンダー、    両手剣    ネックレス


 よ。分った? いや解りませんよね。


「もう一つ、伝説の発掘が出来たの。ニキータさん、黒の宝石の力をみなさんに教えてください」

 

「クロと同じように飛べる事かな。俺は黒の宝石2個だから、2人までか」

「ありがとう。だから、8個の宝石が全て揃ったらね、自分ひとりだけれども黒の能力を持った武器になり、自由に瞬間移動が出来て、どこにでも行けるの」


 みんな揃って「すご~い!」


 最後の説明に、


「我は汝の力を司る。我は汝の真名を唱える、アクス・ファティーマ」


 ダイヤと黒の宝石で7個の宝飾の力を吸収させて8個の力とする。そして、7個の宝飾に再度、ダイヤと黒の宝飾に宿った力を吸収させると、黒の能力が全宝石の力へと変化する。まだ全部が揃っていないから、各個人の宝石の力は一つにしか変化が出来ない。


 これで明日からは人狼に変身しなくて、人狼以上に力を持った巫女になる。


「霧、あなたの大切な智治さんと、沙霧、澪霧の3人を守るね。約束するから安らかに霧。おやすみなさい」


 私は、全員を振り回していた。みんなのお腹がグー。


「わ~、みんな、ごめんなさ~~~い」


 ミーシャは仕事に出ていない。先輩も仕事から帰ってきた。今いる者で夕食になった。


「霧! 私頑張るからね。 さ、戦争よ!」



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