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人狼と少女  作者: 冬忍 金銀花
第2章 シベリア紀行

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第27部 ロシア軍 人狼の秘密施設に訪問す

 第27部は、閑話です。あまり物語とは関係が薄いです。スルーでいいです。


 1916年(大正5年) 北欧のエストニア地方 



*)中央アジアの不安定な情勢


 中国は1914年以降、モンゴルを自国領土にすべく干渉を続けていた。おりしも1914年7月から第一次世界大戦に本格的に突入した。文明が発達したため、バカに刃物状態と同じく、どの国も領土拡大に奔走しだした。


 中国はモンゴルを、親の仇ではないだろうが、モンゴルに中国人を入植させたり中国の自治を押し付けてきた。


 ロシアと中国は、1913年11月の露中宣言において、モンゴルを中立の国と扱う取決めをしていたが、中国は約束を破りモンゴルに兵を送って来た。


 モンゴルはしつこい中国の干渉を嫌い、ロシアに助けを求めた。


 ロシア軍は、モンゴル国の要請で中国の侵攻を止めさせるべく出兵した。ロシアも第一次世界大戦に突入している為に、十分な兵は寄越せなかった。上記は少し年代が違うかも知れないが史実です。(バカな文言以外は)




*)ロシア軍 人狼の秘密施設に訪問す



 ロシア軍の総指揮は、参謀のグルゴリ大佐である。グルゴリ大佐を指名した事から歴史が変わってしまう。中国のモンゴル侵攻で、ある男が人狼の姿で中国の兵を、ちぎっては投げ、ちぎっては投げ、をしている戦闘を見てしまう。


 グルゴリ大佐が、眼から鱗、状態になり、中国との戦闘から人狼確保を優先させてしまう。人狼確保のあとは、さっさと戦闘を切り上げてイルクーツクに帰還する。


 捕虜とした男を秘密裏に軍鋲の牢に閉じ込め、イルクーツクの研究員に人狼の研究をさせたのだ。1914年から人狼の研究が始まった。捕獲されたのは、濃緑の宝石の夫・イワンである。


 グルゴリ大佐は、1915年から、ペトログラードのネバ川の畔に、自前の秘密研究所を作り上げて、人狼の研究実験と人体改造を行っている。


 グルゴリ大佐と名の無い研究者の会話が続く。


「おい、研究者、研究の進捗はどうだ」

「これはこれは、グルゴリ大佐殿、ご苦労さまです。万事順調です」

「おい、研究者、研究の進捗はどうだ」

「グルゴリ大佐殿。人狼の血液から、人狼を造れる事が判明しました」

「おい、研究者、研究の進捗はどうだ」

「これはこれは、グルゴリ大佐、ご苦労さまです。実験兵を10人用意出来ました」

「おい、研究者、コペピ、ばかりだぞ」

「これはこれは、グルゴリ大佐殿、私も苦労してます。万事不調です」

「おい、研究者、研究の進捗はどうだ」

「これはこれは、グルゴリ大佐殿、私も苦労してます。実験兵は少し弱いです」

「おい、研究者、研究の進捗はどうだ」

「これはこれは、グルゴリ大佐殿、苦労して女の生血が必要と判明しました」

「おい、研究者、研究の進捗はどうだ」

「グルゴリ大佐、苦労して女の人狼を捕まえてください。お待ちしてます」

「おい、研究者、お前も捕獲に参加しろ」

「これはこれは、グルゴリ大佐殿、私も喜んで参加します」

「おい、研究者、研究の進捗はどうだ」


 1915年から1927年の12年間、漫才が続いている。


 イルクーツクのロシア軍施設では、人狼の女、キャスを確保していたが、1927年8月逃がしている。次の人狼を早く捕獲したいのだが見つからない。


 ここにカモがネギをしょって来た。鍋持参という最高のご馳走だった。


 「ヴァシーリー大佐。日本から人狼の研究論文を読ませて欲しいと依頼が入りました。いかがいたしましょう」

(杉田先輩の叔父が軍医であって、先輩の依頼で閲覧許可申請がなされていた)


「そうだな、閲覧は不可と伝えよ。軍の機密だからと言え」

「はい、返事しておきます。それとは無く訪露の予定日を訊きだしました」

「常に見張りを続けて、報告してくれ」

(安部教授の一行が、このイルクーツクにイツクールかを訊いたのだ。最初から人狼の調査はダダ漏れだった事になる。)


「ペトログラードの研究者に伝えてくれ。人狼の娘を連れて来いと。至急に来いだ!ぞ」


 この娘に霧と麻美のテレパシーを受信されてしまう。


「ヴァシーリー大佐。日本人の尾行に2名の幹部を手配いたしました」

「日本人は、イルクーツク医科大学の図書館で、何やら情報を手に入れました。それから何処にか車で出かけるようです」


「分った。それなら、あの日本人には、程度の良いレンタカーをあてがう様に手配してくれないか。逃避中に故障されたら、こちらも動けなくなるからな」


 ヴァシーリー大佐は、優しいのか、自分本位なのか、他人本位なのか、頭脳明晰なのか、とても思いやりのある大佐だった。


「私も出る。先に接触するから指示があるまでは近づいてはならん」


 これがロシア軍との接触の始まりである。



 サンクトベテルブルグの研究所では、グルゴリ大佐の指示のもとに、人狼兵が多数製造されようとしている。だが、肝心の巫女を逃してしまうから、弱い人狼兵しか製造が出来ないでいた。



 イルクーツクの図書館の館長に、人狼巫女の情報が入ったのだ。


 モンゴルに、巫女が居る情報が入ると、嬉々としてウランバートルの山岳へ出かけた。目の前に目的の巫女、桜子と霧が居たのにである。残念な研究者だ。


 山岳では巫女の確保は出来ずに、ターニャや館長の父=ウルガに兵は殺され撃破されて逃げ帰るのである。それが悔しいから館長を辞めて、人狼兵を作り続けている。


 グルゴリ大佐は、人狼兵の戦闘訓練を見学しに来た。個人戦をやらせる。やらせ、だから賭けにはならない。身長は2M程だが、平時は普通の兵だ。人間から人狼兵に変身させるのが、コツがあるらしい。


 変身後は、耳が出て、しっぽも生える。顔はいかつい形相になり眼が赤く光る。身体中に体毛が伸長し、指が長くなり腕も大層大きい。脚はガニマタで、足は大きくなり靴が履けない。手のひらも大きくなるので、銃関係は持たせられない。身体的特徴はかように。


 身体能力は素晴らしい。跳躍が高い。走りが速い。聴力がいい。銃の被弾にもある程度は耐える。が、多すぎると再生が出来ずに死ぬ。歩兵にしか利用出来ないが、性能は上々でグルゴリ大佐は大いに気にいった。


 人狼兵とロシア軍の兵士とは比較にならない。ロシア軍はあまりにも弱い。


 捕獲されて血液を抜かれた人狼は、人狼兵よりも強かった。


 早く軍隊を作れ! 作者は、巫女の捕縛をさせないのだ。なんとしてでも、人狼を捕獲せよ!


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