第1部 旅立ちに向けて
2週間あまりで書き上げました。プロットのような作品です。筋書の追加や
文字の書き込み、訂正があります。見苦しいですがご容赦ください。
2022年になって修正を加えていきます。
登場人物
安部霧 杉田桜子 瀬戸麻美 安部勇教授 三浦教授 杉田智治 石川海斗
1927年8月24日 昭和2年 北欧のエストニア地方
バァーン、バァーン、花火の大輪が次々と開く。
「わ~綺麗ですねお母様、私初めて花火を見ました」
「私たちは日本で見ているからそうでもないわ。でもホント久しぶり!」
「あの子にも見せて上げたいわ……」
「8年前に行方不明になられたご長男の幸夫さまですね」
「そうね、生きている望みは絶たれたみたいでね」
「すみません……」
「ねぇあなた、どこを見ているのかしら?」
夫の平蔵は花火の少し右を見上げていて、話かけても返事が無い。
「空に何か見えているんだ」
そう言って平蔵は指を指す。そこにはうっすらであるが飛行機が数機と大型飛行船が見えていた。
このままでは花火とぶつかる! と言い終わった直後に飛行機が爆撃を開始した。ここは小さな開拓村だから爆撃の意図が計り知れない。
バァーン、バァーン、花火の音と共に、ヒューン、ヒューン、ドーン、ドドーン空爆の轟音が響く。まもなく飛行船が炎上しだした。
「みんなー、逃げろー!」
誰かが叫び村人は我先に逃げる。空からは爆発音と共に閃光を発した飛行船が落ちてきた。それは巨大な飛行船だから逃げる暇も場所も無い、墜落し轟音と共に飛行船は爆発炎上し沢山の村人を巻き込んで数瞬後に再度爆発した。もう地獄絵図である。だが飛行機からはさらに空襲は続いている。それは花火が地上からの砲撃だと思われたからにちがいなかった。
ヒューン、ヒューン、ドーン、ドドーン。ヒューン、ヒューン、ドドーン。
数分で静まり返り飛行船は痕跡もなく消失していて、ただただ村人の呻き声と助けを叫ぶ声が響くばかりだった。
1927年8月24日 昭和2年 北欧のエストニア地方のことだ。
1937年(昭和12年)7月15日 北海道・札幌市
それから10年が過ぎて北海道の大学へと場面が変わる。
私の名前は杉田桜子。色白で可愛い女の子だよ。一番の友人は瀬戸麻美と言ってね、家どうしが二十キロと近いから幼なじみみたいな関係だな。共に独りっ子だから親しくなっていった間柄だな。
そんな私と麻美が通う北海道大学の札幌キャンパス。真ん中を南北に貫くメインストリートは、大きな木々が夏の日差しを遮り爽やかな風が吹いて涼しい。北海道の夏は気持ちいいのだった。
ハイカラな学舎と鮮やかな緑とのコントラストが良く映える。多くの学生たちで賑わう朝の風景。キャンパス内をすべて案内したいが、すまない見た事がないので出来ない。
「麻美~おはよー。今日も早くから頑張ってますねー」
「おはよう桜子、いつも4時に来ているわよ。この麻美さまにストリート横の除草をさせるんだから堪んないな」
「いいじゃない除草は山羊がするんだもの。あ、山羊が向こうに行くわよ早く戻さなきゃ」
「いつ見てもこの馬は可愛い!」
「それ、ロバだからね」
「へ~、そうなんだ」
「あんた! 馬可なの?」
ブルーで綺麗な服を着た麻美の突っ込みもキツイ。対するグリーン基調のワンピースを着込んだ私は気にも掛けないのだった。だって付き合いが長いしスルーするのは当たり前なのね。
麻美は農耕馬、別名をロバと言うが、に跨り山羊を追いかけてゆく。山羊の餌兼除草作業の風景! ロバに跨がるとは趣味が悪いかもしれないよ、麻美!
木陰のベンチに座ってお気に入りのラノベを読みながら私は麻美の戻りを待つ。これも何時もの風景なのだ。山羊を連れ戻して全部の山羊を近くの木々に絆してゆく。勿論山羊どうしのロープが絡まないように配慮はしているのだが、何時も詰めは甘いのだな麻美は。だって山羊のロープは木に絡んでいくのだから。
これは周知の事実らしい。私にはアホな事のように見受けられるのよね。でもねこの事を麻美に質問したらね、思わぬ返事が返ってきたのよ。
「あ、あれね。ロープが段々短くなるから満遍なく除草が出来ていいのよね」
「へ~そうなんだね、流石は麻美だね」
山羊が草を求めて徘徊する場所が変わるから、という意味だ。
キャンパスの木漏れ日の中を歩きようやく学舎にたどり着いた時に、真顔になった麻美が私に頼み事をしてきたのだった。
何時も私が便利に使われてあげているのにさ、容赦しない麻美の頼み事は私が損する事の方が大いに多いの。どうしてこうなるのかは私が麻美の押しに弱いからだな。釣り餌に弱いのかもしれないが、理由は敢てスルーする。
「桜子、お願いがあるんだけど叶えてくれる?」
「何よ、損な事はいやよ」
「今回のお願いは損することはないわよ。ちょっとあの先生に尋ねてもらいたいだけだからさ、いいでしょう~?」
「あの教授でしょう? 見返りを要求されるからやっぱり損だよ」
「へ~そうなんだ。いやいや! でも大切な事だからさ! 頼むよ、ね?」
「嫌よ、」
「そう言いながら聞いてくれるから好きよ。……少し待ってて」
「何処行くの麻美! 授業はサボるの?」
「今日は男爵いもとか持って来るからさ~」
「もう持ってきて……それ、どうするのよ」
「リンゴはお昼にすればいいのよ。五個くらいは持てるでしょう?」
ちなみに……男爵いもとは馬の餌だったりする。他にはリンゴもあるが今日はそのリンゴが私と妹のエサという訳なのだろう。麻美が持って来る野菜も全てが厩舎からの下り物? らしいのよね。私たち三人は馬と同じらしいが、それでも毎日の食材の買出しにはね、お野菜を幾分か省けるので重宝しているのは麻美様々だね。
二人で仲良く勉強するのだが、麻美は朝が早い分寝るのも早い。お陰で私がしっかりとノートをとるので私は優の判定が多いのよね。麻美は可が多いのは愛嬌かしら?こんな処でも損なのか得なのかは分からないのが麻美の頼み事だった。
放課後に麻美が訊け訊けとうるさいから麻美の目の前で教授に尋ねることにした。
「阿部教授、また遠征に行かれるんですね」
そう言って私は声をかけた。民俗学を否応なしに選択させられる身にもなって貰いたいものだ。講義が終わり出入り口の横に座って敵が来るのを待つ。
阿部教授は毎回の長期休暇を利用して海外へ民俗学の調査に出かけている。今回は夏休みを利用した長期出張と私はにらんだ。同じ屋根の下だから薄々は感じていたし、それにだよ教授のご両親と霧の両親の命日が近いのだな。
阿部教授の名前は勇と言う。勇ましい性格ではないが、やや猪突猛進的な性格破綻者だな、好きな事には猛進するのだから手に負えない。
私、桜子は安部教授の自宅に下宿させてもらっている。親の伝手というか麻美の実家が三浦教授とは趣味と実益という関係か、繋がりがあり三浦教授から紹介をして頂いた阿部教授のお世話係のメイドの仕事だ。私の実家と麻美の実家も仲がいい。
「あ、さくらちゃんもか」
またしても苗字ではなく私にだけは名前にちゃん付けで呼んでいる。でもしょうがないある意味区別が必要なのだから。私は杉田桜子と言うからこの意味はすぐに理解できる、はず。
「子供ではありませんわ、ちゃん付けは止めてください」
私は北海道大学の農学部専攻の女子大生で実家は酪農家だ。主にチーズの奥深い研究をしている。麻美の実家は競走馬の肥育や調整を馬主さんから引き受けている。
年齢は19才になった。自慢のロングの髪を靡かせる綺麗な女の子だ。名前はねさくら じゃなくて桜子。子が付いている。嫌いじゃないが苗字が杉田だから気にいっている。私が尊敬してる先輩と苗字が同じだからであるのがその理由だ。
「あ~そうでした、すまん・すまん」
一応謝りはするが、大学の人が居ない自宅では名前すら呼んでもらえない。いきなりに要件だ。
「それで何処行かれるのですか?」
「だが今回は両親の墓参りだから直ぐに帰ってくる予定だよ」
阿部教授は32才・花の独身。と入学当初はそう思っていた。しかし教授は10年前になるのだが一度にご両親と奥様を亡くされてある。
教える科目は生物学的な民俗学。民俗学になんで生物学が必要なのかは後に説明するとして、科目はもう一つあってロシア語だ。学長が民俗学だけでは学生が受講しないからとロシア語とドイツ語が堪能なところもあり、ロシア語を教えるように強制させている。来年からはドイツ語も科目にさせられそうだと、嘆いておいでだ。
教授は金のためだからとしぶしぶ応じてはいる。ドイツ語も課外授業で教えてもいるのはいいが生徒はオカ研と他はほんの少しだったりする。
教授といえばそれはもう服装には無頓着でだらしないし、いつも黒の背広に赤の蝶ネクタイ。短髪で顔が長い、しかも色黒にも関わらず黒の丸い眼鏡をかけている。
霧の父親だが親稼業が似合わない。霧が小学3年生まではお手伝いさんを雇っていたのが、おおよそ2年前までだ。
いつもニコニコしていてとても優しい人柄だ。だが人を見る目が違うのが大いなる欠点で、鋭い目つきで生物学的に見てしまう所がなんとも言い難い。
ただし、初対面の一度だけでその後はにこやかで優しい目をして接するようだ。
民俗学の受講者はオカ研の部員とその他の五十人程だ。教授は煌々とした目つきで講義をされてあるが、ロシア語の講義はそうでもない。楽に眠れるしいたって普通だ。ギャップの激しい性格だこと。
それと、教授の私生活も服と同じでとてもだらしない。ま、やもめ!だな。だから私が教授の身の回りの世話をしている。それにだいいち十才の不思議な女の子が居る。
しかも大学の研究室まで連れてきているのだ。メイドが必要なくらいに教授の屋敷は無駄に大きいから、私が下宿してバイト兼でメイド業をしている。とは他人に説明しているが、本当は別の目的がある。嘆かわしい!! かもしれない。
麻美も参戦してきた。阿部教授だけには妙に慣れ慣れしいのだ。
「で、私たちも同行してよろしんですよね、もちろんですわよね!」
大きな声でもちろんの言葉に強い意志を込められている。
「霧ちゃんのご両親の命日でもありますしね」と、恋人接近の状態で囁くのだ。
「いや、今度の旅行には杉田君と三人で行く予定だよ。頼りにできるし」
「先生ずるいー杉田先輩ばかり贔屓にして。桜子には贔屓しなくてよいですから麻美にだけでも贔屓にして下さいな」
安部教授は「しかし、そのう……」と逃げているから麻美は霧をだしにして。
「霧ちゃんの世話は私がいたします」
と、言った。
私は考えた。
教授は最後にまたしても「予定」だと言った。むふふふ、これは未定で交渉の余地有り! すかさず教授を追い込む事に全知力を傾ける。
「どうして杉田先輩なんですか、それに教授? 今予定だと言われましたわよね?」
「う……う、」
教授はまたしても失言したと思ったと、私にだけ直ぐに表情が見てとれる。
教授は頭脳明晰ではあるが、ややもすると失言を発する。考えていること・内緒に思っていることが本人の意表を突いて言葉に出る事がままある。
これは私にしか判らない私の大きな武器なのだ。このままさらに追い打ち兼畳み込むことにしよう。
「誰が教授の世話をするのですか? 私以外の女性を同伴させたりはしませんよね? まさか十才の霧ちゃんにさせたりしませんよねぇ? ねぇ教授!」
「う~……」
と、またしても教授は顔をゆがめて唸ってしまった。そう癖である、しまったである。
「う~じゃありません。私も連れて行ってください、のけ者は嫌です」
霧ちゃんの世話と教授の世話、一体誰がするん?
「で、麻美も同行してよろしんですよね、それに~」
「それに?」教授は私の次の言葉に警戒している。
「最初に『さくらちゃん! もか』と言われました、もか? と」
私と麻美以外にもお墓参り兼研究旅行に同行したいと言われたんだろう。
しまったと言うように教授は、
「そうだね、え~とオカ研の石川くんだ」
え~と? と小声で言いながらまだ誰かの名前を伏せているようだ。次々と墓穴を掘る教授を揶揄うのが面白くなってきたよ、麻美。
「そうですか、次はオカ研のサークルで!」
「桑原桑原……」
今日の講義が終わりサークルの皆が集まる頃を見はらかって、私は三浦教授を呼びに行った。事の真相を知る為にであるが話はこじれてしまう。こじれたのは教授の頭だけであって、三浦教授とサークル全員の頭の中はすでに旅行の文字の羅列・行進であった。
やはりこうなるのか、実家の家業の手伝いは皆どうでもよいのだろう。みんな! お金はどうするのよ~?
不思議ちゃんこと霧ちゃんは一人冷静に人間ウオッチをしていた。視線は? 先輩かな? 麻美も? と、いつもこの二人を見つめているようだ。私の気のせいではない事実だった。特に麻美を見る目つきは鋭いのだから。
これに対して麻美は特段気にはしていない様子、十歳と十九歳の女の戦いはその起きないのだろうね。私は私で霧には別な意味で大いに研究されていたのよね。
超常現象研究会は私が所属している闇のサークルで通称はオカ研。所属しているのは四人と一人の少女で、私こと杉田桜子、先輩の杉田智治さん、友人の瀬戸麻美一回生の石川海斗くん。一人足りないから闇のサークル。
大学五回生の杉田先輩の研究はね、私にはサッパリ分からない並行世界と時間断層の偶発的な世界の研究。
石川海斗くんは中央アジアと北欧の言い伝えのある人狼の研究。麻美は中央アジアと東ヨーロッパ地方と中央アジアのジンギス・カンの末裔の研究だった。私は何だろうね、マネージャーかしら。
私こと杉田桜子は、教授宅によく泊まり込む杉田先輩の研究で熱を帯びている。もう一人十才の女の子がいて自宅ではいつも先輩を見つめている。超~が付くおませさんだから心配だ。
サークルの顧問が三浦教授で生物学を教えてある。そして三浦教授は人狼の伝承を研究されてあって、石川くんの研究はその三浦教授の影響を受けたからだ。
肝心の阿部教授は、とある現象が発端となり超常現象の研究をされてある。
私が杉田先輩の研究内容を知ったことがきっかけで、昨年に私がオカ研を立ち上げたのだ。私は直ぐに麻美を引きずり込んで、呼応したように杉田先輩が入部して発足した。今年の新入りは石川海斗くんのみ。
超常現象とは安部教授から伺ったお話し。
教授がまだ十四才の時、両親と兄弟の四人で北シベリアに旅行された時に起きた。日露戦争の最中の1904年9月に全線開通した、シベリア鉄道の記念にと旅行に招待されていたのだ。安部教授の父は満州で事業を起こしており、シベリア鉄道建設に出資していたのでその出資の見返りのとても安い配当だ。今のご時世だったら超~プレミアムが付く指定席になるはず。
安部教授の父はモンゴルの遊牧民族のルーツを道楽で研究しており、研究も兼ての旅行だった。阿部教授の民俗学は、父の受け売りか兄が行方不明になった所為のようであるが私には分からない。
家族四人でモンゴルのある一家に聴き取りを済ませて帰ろうとして、テントを出たらそこで不思議な事象が起きた。景色が変わっていて雪景色の冬になっていたというのだ。そんなのはあり得ないよね。
あっけにとられていると目の前に十三才位の女の子が居た。確かに居たという。その女の子が胸に手を当て何か口ごもって、そして全員テントに戻る様に言った。
家族でテントに入った筈だが兄の姿が無い。直ぐ外に飛び出したら元の夏の景色に戻っていて兄の姿は無かったという。おまけに女の子の姿も無いから探し回っても見つからなかったという。その後もお兄さんは行方不明のままだ。
さらには十年前の大惨事で、これは阿部・三浦の両教授の十年前の北欧旅行の出来事だった。仲良く苦学生を卒業見込みを勝ち取ったから、阿部教授のお父さんと旅行に二人の夏休みを利用して行かれたとか。聞いてはいないがもしかしたら毎年なの?
だが可笑しいので再考してみた。教授は二十二歳で結婚していた事になる。羨まし学生結婚だろう、実家に財があるとはいいものだ。逆に考えたら奥さまには家事が出来ない理由でもあったのかと。いや違う教授夫妻は仲良く大学へ通っていたのか?今度聞きたい案件になった。
この時に飛行船の墜落事故に巻き込まれてご両親と奥様が亡くなられた。この時は阿部教授と友人である三浦教授も事故に巻き込まれたが、二人して酒盛りを始めた為に難を逃れたという。阿部教授に奥さまが同伴されていないとしたら、やはりお母様に何らかの問題があってお母様に同伴されていたのだろうか。
いやいやこんな可能性があるとしたら訊くには失礼に当るだろう、訊けないよ。
バルト海の東岸から少し奥にある小さな開拓村で、激しい空襲とその後に軍用飛行船が墜落したそうだ。この時の不思議な超常現象で村人も含め大多数の人が亡くなった。
収穫祭の花火の最中に突然空襲があり、大型飛行船が突如として現れて逃げる暇もなく落ちてきたという。二人は急いで花火見物の現場に駆け付けたが、阿部教授のご両親と奥様は一目で絶望と判断できる程の悲惨な火事に襲われて逃げられなかった。
この時に飛行船の船体から三個の気密式の脱出用の丸い艦が押し出され、内1個が阿部教授の前に転がって来た。止まればすぐにハッチが解放されるようになっていたのだろう、中から大きな男と赤子を抱えた女が出てきていたようだ。足許には他にも人が倒れているのが見えて、丸い艦の中には更に一人将校らしい軍服を着た男が横たわっていた。
阿部教授はただ茫然として家族の名前を何度も叫んだそうだ。家族の名前? この時赤子を抱えた女の人が教授に走ってきて赤子を預けた。それは家族の名前を聞いたからである。
三浦教授は男の風貌に驚き大きな関心をよせていた。背後が大きな炎ではよく見えないのだが男は身長が二メートル位で大きな耳と尾があり、オオカミの様な顔つきであったという。腕には人を抱きかかえていて女性のようだとか。
「十年後に私たちは再会出来るでしょう……。」
女は赤子の母親で、阿部教授に『どうかこの子を守ってください』と女児を託したという。
そして三浦教授には何かを話しながら青色の宝飾の銀のロザリオを渡していた。三浦教授に話しかけたのはそれなりの理由があって、ロザリオは今でも三浦教授が大事に持っている。
女は普通の農婦と変わりがない服装であり、女児は数日前に産まれたようで皮膚はガサガサとしていた。
不思議なことはまだあって、何も無い空からの空襲と墜落した飛行船もそうなのだが、ものの数分で燃え盛る飛行船も男女らも消えてしまった。ただただ、大きな火災があった”という現場を残して。
託された子供の名前は「キリ」という。日本名は霧の字だ。
三浦教授は村人の生存者救出に全力を傾けながらも、何かを尋ねていたようだ。以上が教授お二人の体験された超常現象と大惨事だった。
この悲惨な状況が十年後に再び現れるとは誰も考えなかった。
母親が十年後に事象と共に再会できると、言っていたにもかかわらずである。
そしてこの夏に十年前の惨事が繰り返された。私たち七人の物語が始まる、北欧のとある小国の独立戦争の勃発であった。
原稿なしでいきなり書き込んでおります。僅かばかりの頭の中に筋書があるだけ
ですので追加記入、更新が多頻度になっています。昭和2年、大正6年の時代を
モチーフにいたしました。時代検証は無理ですのでご了承ください。書きかけの項
は見苦しいのはお許しください。途中は11世紀まで遡ります。
文章構成、情景の描写等、素人では難しゅうございます。シベリア等は理解して
おりませんので嘘が混じります。あえて文章にせずに逃げてもいいのですがどう
なんでしょうか。
書き上げまで3か月でしょうか。処女作として完成させたく思います。