世界の秘密話
更新遅れてすみませんでした。
扉を開けたその二人は、とてもそっくりな顔の二人で、とりあえず初対面なので、挨拶をすることに。
「あのっ、はじめまして。私今日隣のお家に住むことになったアイラと申します。よろしくお願いします・・・!」
前の世界では一人ぼっちの私に歩み寄ってくれる人たちがとてもありがたくて、失礼のないようにと、癖でいつも最初は堅苦しくなってしまう。
顔はひきつってないだろうか、声は裏返ってないだろうかと、緊張しながら頭を下げて自己紹介を終えると、すぐに二人から返事が届いた。
「んな、堅苦しくしなくていいって!オレはルン。よろしくな!」
元気で明るくて、髪がはねている方が双子の弟、『ルン』というらしい。
弟の方は白いシャツに濃い青色の上着を着ていた。
「いや、初対面の時は敬語の方が、どちらかといえば僕は好きだけど。僕はラン、僕が双子の兄の方だから。」
次に話した方が兄の方の『ラン』兄の方は大人しく髪は綺麗にまとまっていて、ダボッとしたうす緑色の落ち着いた服に、犬のしっぽのような形をしたアクセサリーを首にかけていた。
お互い紹介が終わったところで、兄の方のランが、よかったら入ってってと言うので、お言葉に甘えてお邪魔させてもらうことになった。
中に入いれば、青系色の装飾品が沢山あり、 玄関には、そばの方にふかふかのスリッパがあって、もちろんスリッパも青。
しかし、青色の一色という訳ではなく、黄色や白など、青色のものが強調されるような物もちらほら見られる。
玄関の前には廊下があり、そこを通るとリビングにつくらしい。青系の装飾以外なら私たちの家とそれほど違う点はない。
よく見れば、双子の住むお家の中身は、さほど私たちと変わらなかった。
リビングに入るとまず見えたのは、二人ようなのか、高さの低い大きめのテーブルと、床にはしっぽのような柄の水色のカーペットが敷かれ、壁側には三人くらい座れるソファがあった。
ルンが丁寧に人数分の柔らかいクッションを持って、テーブルの回りに四人分均等に空間をあけて置いてくれると、手で招きながらどうぞどうぞと言われみんなで座る。
未だにうさぎの姿のままな私は、小さなクッションでもあっという間に埋もれてしまい、すぐに助けを呼び、結局ダイキの膝の上で姿勢よく座ることに。
すると、そうなることに気づかなかったルンが、私に向かい苦笑いしながら軽く謝罪をした。
「ごめん、まさか埋もれるとは思わなくて。」
彼に悪気がないのは分かっている。その証拠に、謝ると彼の耳としっぽは、たちまちシュンと下がり、最初の時のようにフリフリとしっぽを振っていなかった。なんだかこちらがうさぎの姿で申し訳ない。
大丈夫だよと返すと、ランが先陣をきり話の話題をふった。
「ところで、君も異世界から来た子なの?」
「うん。私もダイキと同じ方法で。」
そのあとも、私はどうしてこの世界のトリップしてしまったのかも双子にすべてを話した。
すると、ランから私に、今のところこの世界のことをどこまで知っていると質問され、ダイキに教えてもらったことを思い出し、知っていることを話すと、ほんの少しだが、ランの表情が少し困ったような様子に見える。
「おかしいな・・・ダイキさんにはもっといろいろ教えたはずなのに。」
どういうことだダイキ、私は君に教えてもらったことを全て話したぞ。
私がダイキを見つめると、彼はキョトンとした表情で、
「あれぇ?教えてもらったことそれだけじゃなかった?」
と、彼は本気でそう言った。たしかに、うさぎは記憶力が少ない動物だが、さすがに覚えていてもらわなければ私が困ってしまう。
ところで、私はこの世界をこの目で見て、一つ疑問に思ったことがある。
私の知っている異世界というものは、ファンタジーあふれる、現実世界じゃなかなか着ることなどないドレスや、まるで物語に出てくるような個性的な衣装を着ている人たちが、あたりまえのように通るようなものなのかと思っていた。
しかし、外を見て思ったことは、私の知っている世界と似たような落ち着きのある服を着ている人たちも沢山いれば、私が思っていたようなファンタジーなものを着ている人たちもたくさんいたことに気づいた。
今目の前にいる双子のランとルンの姿もそうだ。
獣の耳としっぽがなければ、どこからどう見ても私がいた前の世界にいる人たちにしか見えない。その事についてせっかくなので質問してみることに、するとこんな訳があったらしい。
「君の言っていることは間違ってはいないよ。だって、今の王様の祖母、つまり前は王の座についていた女王様は、君やダイキさんと同じ、地球というところから来た異世界人だからだよ。」
さらっと回答を説明したが、私には何を言っているのかさっぱりだ。
私と同じ地球から来た人ということは、何か異世界へ行くきっかけがあったのだろうか。
話の続きを聞けば、その昔、この世界の王の後継ぎとなる王子が最新の技術を使って、地球の調査をする代表として選ばれたらしく、その時に出会った女性と恋に堕ち、王子がこの世界に帰る時はその女性も一緒についてきていたという。
それがきっかけでこの世界は地球の技術にとてもよく似た料理や服、食べ物など、どこか馴染みのある光景ができているらしい。
そして二年に一度ほどのペースで、地球の新たな技術を調べるために誰かが代表となって新たな情報をてにいれているらしいのだ。
「へえぇ、すごいんだねぇ。」
と、ダイキが感心の言葉を漏らす。
「いや、ダイキさんにはすでに話したはずなんですけど。」
困ったようにルンが答えると、私はふと疑問に思う。
「ねえ、さっきから思ってたんだけどさ、なんでダイキにさん付けしてるの?」
先程からおかしいと思っていたのは、私とダイキとの双子の話し方が違うのだ。
そしてダイキには、敬語が使われている。
なぜなのだろうか、すると予想外の答えが私に返ってきた。
「なんでって、ダイキさんは僕たちより『歳上』だからだよ。」
「・・・・・・え?」
「オレたち双子とアイラは十六歳!で、十七才歳のダイキさんがこの中で一番の歳上ってこと!」
私は脳を最大に働かせて、一つの理由を見つけ出した。
ダイキと私が出会ってから今まで約一年と少し、前の世界ではうさぎの人間年齢は十七歳、つまりダイキは私の一つ上ということだ。
なぜだろうか、物凄く納得がいかない。
私とほぼ同じ身長で、可愛らしい少年声で、下手したらそこらの女の子よりも可愛らしいこの少年が、私より歳上なんて。