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魔法?いや、超能力なんです。(小休憩中)  作者: ぢそべ某
第3章!
33/45

#33 王?

今話から零時更新に切り替えます。


益々の応援をよろしくお願いいたします。

 










 Side-リリアン



 ユート君が巻物を開いた事で転移魔法が発動して、辺りが眩い光に包まれる。少しの浮遊感の後、目の前が晴れるとそこは青空だ。



 違う、青空にいた。


 どうやら転移先が上空だったみたいだ。転移魔法も今は失われた古代魔法だし、辛うじてこの巻物がマンサルドに行って帰ってくる事が出来るのは分かっていたけど。



 まさか上空だなんて、流石のボクでもまだ浮遊魔法は開発してないのに。なんとか地面に当たる直前に風魔法で上手いこと衝撃を和らげないとペシャンコだ。



 でもだいぶ高度があるしこれは難しいな。繊細な魔力コントロールで風魔法を調節しないと、気を緩めたら確実に死んじゃう。…………はっ!



「――――――ユート君!大丈夫?」






 Side-out






 やれやれ、この感じは三度目だな。自称美人の所に行った時と異世界に飛ばされた時、そしてマンサルド?に飛ばされた今回か。あ、帰りもあるから四度になるのか。



 まあそんな事は置いといて、なんだって上空に。この道具を作ったヤツも配慮が足りないというか性格が悪いというか。



「――――――ユート君!大丈夫?」



 ん?ああ、普通の人はいきなり上空だと驚くか。俺ならこのまま落ちても平気だからそもそも恐怖なんてないからな。



 大丈夫だと声をかけたい所だが、生憎落下中で風が五月蝿いからまともに聞こえないだろう。俺も聞こえないから唇の動きを読んだしな。




 さて、俺は兎も角このままだとリリアンは危ないかな?浮遊魔法はないらしいから多分助かる術はないと思うし。……仕方ないが助けてやるか、玩具をタダで貰った恩もある。



【浮遊】を使うのは不味いだろうから、リリアンを脇に抱え備えておく。3、2、1………よし、このタイミングで空いた方の右手を地面に向かって振り切る。



 少しばかり力を入れて殴れば強風が発生し、地面との衝突は免れた。うん、上手くいったな。



「……す、凄いねユート君。今のって魔法使ってた?」


「ん?いや、腕力だけだけど。」



「やっぱり……見た目の割に凄いパワーだね。同じ人間族とは思えないよ。」



「まあそんな事は置いといて……ここがマンサルドか。」


「そんな事って………まあそうだね。ボクも勿論初めて来るけどマンサルドに間違いないよ、文献で見た通りの景色だ。まさか自分で来ることになるとはね。」



「悪かったな、不用意に開けるんじゃなかったわ。――――――しかしここがマンサルドねぇ……。」



 なんだろうなこの景色。ジュラ紀か白亜紀みたいに大きい針葉樹だらけで、バカデカい山もある。あと少し蒸し暑い。



「とりあえず、折角来たんだから強そうな魔物をボコって仲間にするかな。あれ?契約した魔物って連れて帰れるのか?」



「ん~とね、本当に強い魔物だと向こうに連れて行っても平気らしいけど。普通の魔物は実体を保つ事が出来ないから一々呼び出さないといけないみたい。」



「そういう魔物は契約した時に【召喚石】ってをくれるんだって。これなら魔法が使えなくても召喚出来るらしいよ。」



「へぇ~本当に魔法が使えないヤツに優しいな。」



 それなら気軽に倒せるな、出来れば格好いい魔物を仲間にしたい。母親が動物アレルギーでペットとか飼えなかったから憧れるわ。



「さて、じゃあテキトーに歩き回って魔物倒すかね。向こうに連れてっても大丈夫なヤツに当たったら帰るとしよう。それでいいよな?」



「うん、大丈夫だよ。ボクはそもそも魔物と契約するつもりはないからね。まあ折角だからここの植物とかを採取していくつもり。」



「ただ単独行動はここじゃあ危険だから一緒に回ろうね。ボクもユート君を手伝うから、ユート君もボクを手伝ってね。」



「分かった、危なかったらちゃんと守ってやるよ。」



「……し、失礼だなっ!自分の事は自分で守れるよ!さっきだってユート君の力を借りなくてもどうにかなってたもん。……多分。」



 多分なのかよ、危なっかしいな。



「さ、さあ行こうかユート君!うん、すぐ行こう。」



 ……逃げたな。











 △▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼











 落下した場所は開けた丘の上だったが、辺りは木々に覆われた自然豊かな景色が広がっている。さて強い魔物には遭遇したいが、見知らぬ場所というのはやはり探検心が刺激されるのがオトコノコ。



 リリアンも植物採取をするというのでテキトーに歩き三十分以上経つが……この場所の過酷さが身に染みていた。



 デカい食虫(食人?)植物がウジャウジャいたり、サボテンの針が飛んできたり、地面を踏んだら爆発したりと色々な事が起こるのだ。



 リリアンも魔法を呪文無しで使いはするが、急な対応というのは案外難しい。せめて動物なら予備動作で予測出来るものだが相手は植物。



 しかも見知らぬ植物とあっては予測は困難を極め、何度リリアンのフォローに回った事か。こちとら装備品一式を入れたバッグを持って来てなくてしかも動きづらい正装なのに。



 リリアンは杖を腰に差していたから良かったが、俺は片付けもあってバッグを降ろしていたのが災いしたな。辛うじてサイコ・ガンは持って来ているが、これはまだ使い方を知らない。



【サイコメトリー】で読み取れば分かるだろうが、流石にすぐに使えるようになるのは不自然だしな。だからここまでの対処は身一つで頑張ってる。



 食虫植物の蔓は手刀で切り裂き、サボテンの針は殴って撃ち落とす。爆発する地面は地中に埋まったキノコが地雷の様に爆発するから、【透視】で確認して避けて進む。



 地雷キノコは最初に俺が踏んで良かったな、リリアンだったら足が吹っ飛んでいた所だ。


 ―――――――――はぁ……めんどい、こんなに気を張って歩きたくはないな。俺一人なら兎も角リリアンを守りながらは神経使うわ。



 しかもこんだけ苦労して魔物に出くわさないし、皆お昼寝でもしてるのかってな。せめてバッグがあればお香使うのに。



【千里眼】は……いや、使ってる時にリリアンに何かあると守れないから駄目か。コイツ落ち着きが無いから目を離せない………ああほら、今度は後ろから食虫植物が襲おうとしてる。



 気付かれないように【サイコキネシス】で潰しておこう。


 しかしどうしたもんかな。魔物を炙り出す方法か………騒げば気になって出てくるかな?天岩戸みたいに。



「―――――――――リリアン、今すぐ耳塞いで。」


「?なんで?……ああ!聞こえなくしたボクに愛の告白でもするの?」



「……よし、そのままでいいぞ。鼓膜が破れても知らないけどな。」


「わあわあ~分かった分かった。ほら、耳塞いだよ。」



「よし―――――――――スウゥゥゥゥゥゥ…………出てこいやァァァァァ!!」




 バサバサバサッ!!!




 ………ふぅ、この能力は久し振りに使ったな。【拡声】、名前の通り声を大きくするだけの能力だ。所謂人間拡声器で使い所がまったく無いハズレ能力の一つである。



 ちょうど開けた場所だという事もあるし、これだけ騒げば何かしら出て来てくれると思うんだが……ああ来たな、気配を感じる。だけどあまり強そうな感じはしないか。




 と言ってもここまでは予想通りだ。リリアンが気付く前に【千里眼】で確認し【サイコキネシス】でぶっ飛ばす。大体こういう時に真っ先に近付いてくるヤツは三下。



 本当に強いヤツは様子見のあとに行動を起こす。しかも俺が三下を全滅させたから、これで近付いてくるのは自分の力に自信を持った馬鹿か自分の力を試したい強者。



 もしくは俺を対処する義務や責任感があるボスだ。さて、一体どいつがやってくるか。楽しみに待つとしよう……ああもう、だからリリアン背後にも気を付けろって。



 やっぱり植物は気配を感じ取るのが難しいか。空気の動きで分かるもんだと思うけど……魔法士はそういう野性味に欠けるのかな?








「―――――――――ん?なんか来る。」



 俺の大声に反応した三下共を接触前に処理しながら様子を窺っていたが………結構な距離から猛スピードでナニカ(・・・)が近付いて来たな。



 しかも軽い殺気と威圧感を俺に向けながら……逃げるなって事か。この威圧感、どうやらボスのお出ましの様だな。




「リリアン、植物採取は一旦中断しとけ。」


「どしたの?何かあった?」



「いや、これから起こるんだよ、多分そこそこ強いヤツが来るから注意しとけ。」



「ユート君が言うんなら仕方無いね。でもユート君が強いと言うなんて一体どんな魔物が………あ、あれは!?」



「おっと、お出ましか。」



 空に目を向けてみればそこには紫色の巨大なドラゴンがいた………と言っても白竜の様に翼の生えたトカゲではなく、蛇の姿を模している。



 その体には三本指の足が四本、背からはコウモリの様な黒い翼が控えめに生え、頭にある二本の角は赤い珊瑚の様だ。




「―――――――――久しいな。ああ、久しい。人間がこの地に降り立ったのは何百年ぶりだ?しかもなかなかの強者(つわもの)………だが我の姿を見る前に逃げるべきであったな。」



「へぇ~そりゃまた何故?」



「決まっている、我の姿を見て無事だったものなどいないからだ。この世界に来た者は皆、我に怯え我に見付からぬ様に行動していた。」



「無論、我はそれに気付いた上で見過ごしていたのだが、今回は我の興味を惹いてしまったのが運の尽きだ。」



「俺は逆に運が良かったと思うけどな………お前に会うことが出来た。」


「ふっ、我の姿を見てその様に嬉しそうな顔をされるのは新鮮だな。更にお前という人間に興味が湧いたぞ。」



「そうか、それは良かった………くっ」




「「―――――――――くははははは!」」



「ちょ、ちょっと!ユート君なんでそんな平気な顔で【王龍】と会話出来るの!?このプレッシャーを感じてない訳じゃないでしょ?」



「ん?まあちょっとピリッとするけどそこまでじゃないだろ。それより、目の前のコイツは王龍って言うのか?」



「……左様、我は王龍。全ての竜を統べる竜の王だ。そちらの世界の竜も、我にとっては下僕(しもべ)同然よ。」



「そ、そうだよっ!文献で噂程度には聞いていたけどまさか実在するなんて……ユート君、今すぐ巻物を開いてっ!」



「我がそんな事を許す筈が無かろう。それに、そちらにその気はないようだ。」



「そりゃ折角強いヤツが出て来たんだ、逃げたら勿体無いだろ。……先に聞いておくけど、お前でも倒したら主従契約結べるんだよな?」



「それはもしや我を倒せるとでも思っているのか?………思い上がるなよ人間、お前は我の暇潰しに過ぎんのだ。」



「ヒィッ!」



 あ~あ、ビビりすぎだろリリアン……チビるなよ?



「質問には答えてくれないと。出来るのか?出来ないのか?」



「……出来るとも。だが万に一つ、そんな事は起こらない。お前に待ち受ける未来は死のみだ。無論、そこの娘も同じk」



「それより早く始めない?久し振りの人間だからって喋り過ぎ。」



「………いいだろう、そんなに死にたいなら殺してやろう。」




次回、過去最高の………バトル?

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