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魔法?いや、超能力なんです。(小休憩中)  作者: ぢそべ某
第2章!
14/45

#14 家?

お金もあることだし、そろそろ家でも買おうか。

 


 という事で、カシンの後に付いて知り合いの店に向かう。情報屋は副業で本職は酒場らしく、昼間も営業していて定食などがあるのでそのまま昼飯も頂く予定だ。




 ゴミ…人混みを歩き街中を移動し酒場へと着く。店名は"フランシス"、店内は昼間のせいか空いているが結構小綺麗で雰囲気がいい。酒場ってもうちょっと小汚ないイメージだったが、これならたまに来てもいいな。



 カウンターに座り注文を済ませて少し経つと、デカい男が料理を持ってきた。



「おうカシン、久し振りだな。」


「はい、お久し振りです。キースさんもお元気そうで、お店は繁盛していますか?」



「まあボチボチだ。酒場より情報屋の方が繁盛してるのが少し複雑だけどな。…そういや隣の坊主は誰だ?」



「はじめまして、ユウトと言います。」



「おう、"キース・アヴァレン"だ。見ての通り狼人族で、カシンとは昔からの顔馴染みなんだ。」



 カシンの知り合いらしいキースは紫髪に藍色の瞳、短くカットされた口髭とアゴ髭が印象的な、カシンに勝るとも劣らないゴツい体格の狼人だ。くそ、狼人はデカい奴ばっかりなのか。



「情報屋もやってるから、何かあれば力になるぜ。初回は無料だから気軽に活用してくれや。」



「そうですか、では早速なんですがこの街で家を買いたいんですがいい店はありませんか?」



「家?ユート君予算はどのくらいだい?」


「そうですね……手元に大金貨100枚あるんですけど。」



「100枚!てことはあれか、今回のラパスの大会で優勝したのか?」



「ええまあ、一応。」



「ちなみに俺は準優勝だったんですよ。手も足も出ないほど強かったです。」



「ほえ~カシンが手も足も出ないって……その若さで凄いもんだな。ああそれで、100枚もあるんならちゃんとした店がいいよな。いま地図を書いてきてやるよ、3代続く老舗だから安心だぜ。」



「ありがとうございます、キースさん。」

 これで念願の家が買えるぜ!




「──じゃあキャッス…いやユートだっけか。俺は当分この街に滞在するつもりだ。用があったらこの店かギルドにでもいるから気軽に訪ねてくれ、じゃあまたな!」



 カシンはカウンター奥のキースに声をかけ店を出ていった。そういえば本名言ってなかったけど、ユウトで覚えてくれたらしい。



 この世界に来て初めての友人だ、大切にしないとな。前は超能力を隠さなきゃならなかったしどうも馴染めなかったが、こちらでは違う。



 少なくてもいいから信頼の置ける友人を何人か作りたいな。






 そのあとキースから地図を受け取り、早速不動産"ナシオレン商会"へと向かう。色々と露店があったのでぶらぶらと見ながらゆっくりとだが。


 見たことのない果物や変な置物、外套や嗜好品など様々だ。今度時間があったらちゃんと買いに来るかな。





「───キャッ、やめてください!」



 ん?路地裏から微かに声が…まさか暴漢3人組が女の子1人を襲ってはいないだろうな?そんなテンプレはご勘弁願いたいんだが…



 声の聞こえた路地裏に入ると、ガラの悪い4人組が中学生くらいの少女に絡んでいた。おいおいロリコンかよ、危ないやつらだ。見過ごすのもアレだし…助けておくか。




「おいお前ら、今なら見逃すからその子を置いてどっか行け。」



「あぁ‼なんだお前は!」


「通りすがりの仮面r……じゃなくて───誰でもいいだろうがっ!」



「なんだふわふわな回答しやがって。おいお前ら、あの間抜けに痛い目みせてやれ!……どうしたお前ら、さっさと行……け?」



「残念ながら眠ってるみたいだな。」

 サイコキネシスで頸動脈を締めて気を失わせた。人間相手にはこれが一番楽だな。大丈夫、殺しはしないから。



「ちっ、何しやがった!……まあいい、俺はこいつを連れていければ問題ないんだ、トンズラさせてもらうぜ。」



 そういうと少女を小脇に抱えて走り去ろうとしたので、走っていってサイコキネシスで気を失わせ、脇から落ちた少女を受け止める。



「大丈夫か?怪我はないよな?」


「は、はい!ありがとうございます。」



 あの4人組は放置でいいよな?どうせ暫くは目を覚まさないだろうし、そのうち誰かが気付くだろう。



「お家に帰るところなら送るよ?どうせ暇だし。出掛ける所だったならいいけど。」



「いえ、家に帰るところで声をかけられたので。……お礼もしたいですし、送って頂けますか?家は近くです。」



 なんとも年の割にしっかりした子だ。服もお洒落というか上品だし、どっかのお嬢様とかじゃないだろうな。そういえばアイツもこの子を連れてくとか言ってたか…。



 女の子に付いて道を進み、少しして自宅…ではなく大きな店に到着する。2階建てだが幅が広く、自宅兼店舗なのだろうか。店名は……ナシオレン商会?どっかで聞いたような───おお、不動産じゃん!



 そのまま店内に入ると、髪をワックス…いや脂っぽさ的にポマードでオールバックにした小太りの男がこちらにトテトテと近寄ってきた。



「お父様、今帰りました。」


「おかえりセリーヌ、少し遅かったからパパ心配したぞ!あれ、この青年は?」



「実は途中でガラの悪い人に絡まれたのですが、この方に助けてもらったんです。何かお礼をしてさしあげたいのですが…」




「なんとそれは、危ないところをありがとうございました!父のカイルでございます。」


「いえ、偶然通りかかっただけですから。」



「ん~パパだったらセリーヌの笑顔が一番のプレゼントなんだけど…どうしようかな?これが家を買いにきたおじさんとかなら値引きしちゃえたんだけど、このお兄さんじゃそうもいかないからねぇ。」



「え?あ、あの~」



「ああ、それなら晩御飯を食べていってもらおうか。セリーヌが手料理を振る舞えばパパもお兄さんも大喜びだよ!」




「すいません!お話しのところ申し訳無いんですけど…」


「おっと、すみません。どうも年取ってからの娘が可愛くてついつい……ゴホン!。それで、どうかなさいましたか?」

 


「実はあの~今日家を買いにきたんです、俺。」



「へっ?お兄さんがですか?…ああ、どっかのお屋敷の使用人さんでしたか。」



「いえ、俺本人が俺自身の家を買いにです。」



「な、なるほど……ちなみに予算はいかほどでしょう?」



「一応大金貨100枚はあるんですが。」


「!?そ、そうですか、それなら選択肢は多いですね。何かご希望があるば幾つか見繕いますよ。」



「……とりあえず風呂と水洗トイレ付きで、部屋が5つ以上あればいいです。」

 前の街じゃトイレは"おまる"で拭くのは何かの植物の葉だったからな。排泄物は1ヵ所に集められ回収されていたので、堆肥として活用されているのだろう。



 王都、というかキースの店だとトイレの横に水瓶があり、それで便座から街中を流れる水路へ排水されているようだ。場所によってはおまるで溜めてから水路へ流している所もあったがな。



 ちなみに排水は川の方へ垂れ流しだった。臭いやら衛生面やらが心配だけど、そこは魔法でどうにかしてんのかな?少なくとも街中を歩いてる限りじゃ臭いはしなかった。



 また街の中には農場のような場所が幾つかあって、牛などの家畜も豊富なので人糞堆肥に頼らなくても大丈夫らしい。あっちの街じゃ数が限られていたからな。



 おっと、小学生じゃあるまいしウンコの話に熱くなりすぎたな。考え込んでいたら、カイルが書類を持ってやってきた。



「───お待たせしました、条件に合う物件で一押しの物件を何件かピックアップしてきました。それとこれも。」



 そういって渡されたのは5件分の書類と王都の地図だ。まあ高校生の俺が間取りを見てもよく分からないので、千里眼で実際に見ながら確認するか。



 1件目は大金貨60枚の物件で、条件をギリギリ満たしてはいるが外壁に近すぎて陽当たりが悪そうだ。


 2件目は90枚の物件で部屋数が10個。宮殿に近すぎて落ち着かないな。


 3件目は70枚の物件で部屋数が7個、中心部に近すぎて騒がしい。


 4件目は80枚の物件で部屋数が7個、似たような家が建ち並ぶ住宅街の一角にあるな。中心部からも適度に離れてる。


 5件目は76枚の物件で部屋数は6個。キースの店の近くだが、そうなると中心部にちょっと近いか。





 …………さて、どうするか。とりあえず1、2、3件目は選択肢から外して、4件目か5件目だ。



 ん~キースの店の近くというのは悪くないが、条件でいえば4件目の方が良物件だな。風呂も3人位なら入っても大丈夫な位大きいし、部屋も1つ1つ広い。



 基本的な家具は備え付け…前の住人の残していった物が置いてあり、あとから買う必要があるのはベットくらいだ。



「どうでしょう、お気に召した物件はありましたか?」



「この4つ目の物件がいいですね。」



「なるほどお目が高い、その物件は設備も最新式ですし特にお薦めの物件ですよ。すぐに馬車を用意して確認に参りますか?」



「あ…書類で大体の事は確認出来ましたし結構です、これに決めました。」



「そうですか…では契約書と家の鍵を持ってきますね。」







「───こちらが家の鍵、それに契約書になります。では身分証の提示をお願いします、それとサインはここに…」



「すみません、文字が書けないんですが。」



「では私が代筆しておきますので、ここに拇印を。それと代金ですが、娘を助けていただいたお礼を込めて大金貨75枚に致しましょう。」



 ラッキー!やっぱ人助けはするもんだな。



 バックから大金貨を75枚取り出し、契約書に拇印をして鍵を受け取る。カインは契約書と代金を持って奥に消えると、再び1枚の書類を持って来た。





「ああそれと、冒険者でしたら今後戦力の増強や家を空ける為に人手も必要でしょうから、一応贔屓にしている奴隷商の紹介状を書いておきました。これを使えば取引もスムーズになるでしょう。」



「?ありがとうございます。奴隷を買う冒険者は多いんですか?」



「まあ買わない人の方が多いですが、ランクが上がって収入も増えてくると買う人はいますね。裏切らないパーティー要員とか、あと自宅の使用人として。」



「裏切らない……」



「ええ、契約した奴隷は主人の命令に逆らえませんから。」



「なるほど、それなら需要もありそうですね。ではありがたく受け取っておきます。」

 使用人…つまりは美人のメイドさんが買えると。それはとても心惹かれてしまうな。


 この世界の常識も聞けるし、文字も教えてもらえる。そして多少世間知らずな事をしても外部に洩らさない様に出来る。



 ……これは要検討だな。


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