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魔法?いや、超能力なんです。(小休憩中)  作者: ぢそべ某
第1章!
12/45

#12 旅立ち?

 



「……ふぅ、やっぱ強かったな、キャッスル!」



 お、倒れていたカシンがのろのろとだが起き上がってきた。もう暫くは動けないかと思ったが回復も速いな。



「いえ、カシンさんも強かったです。俺も必死でしたから。」



「へっ、謙虚も過ぎると嫌味だぜ。お前はまだまだ余力を残していたんだろう?俺はお前の足元にも及ばないさ。ああそれと、サシでやりあったんだ、他人行儀なさん付けも敬語もよしてくれや。」



「…分かったよ、カシン。それよりカシンの使っていた魔具、だっけ?あれは凄いな。」



「まあ特注品だからな。これなら魔力の少ない俺でも扱えるから重宝してるぜ。魔力切れになってもそのまま手甲として使えるしな。」



「魔力切れになったらどうやって充填するんだ?」



「そこは普通の魔具と同じように魔結晶を使うさ。俺自身の魔力じゃタカが知れてるし、自動充填機能はお高くて付けられなかったからな。」



「そうか…。」

 自動充填だなんて凄いな。あれか、太陽光発電的な感じで充填されるんだろうか?







「───お待たせいたしました、ではこれより表彰並びに賞金授与式を執り行います。優勝者、準優勝者の二人は壇上にお上がりください。」



 やっとか。さっきから後ろでガタガタと仮設のステージを作ってたが出来上がったらしく、領主様もスタンバイ済みだ。……フットワーク軽いな、おっさん。


 小柄な身長に突き出た腹、ぷっくらな丸顔にベットリと固められたオールバック。まるで洋風の越後屋というか、分かりやすく肥えてるな。




 壇上へ上がり表彰式のテンプレ文を聞き流すと、とうとう賞金授与式だ。俺が大金貨100枚、カシンが50枚を小綺麗な白い木箱に入れられて受け取る。



 中身を透視してみると、表面に"10000"と彫られた500円玉より大きく厚さ3mm程度の大きめの金貨が入っていた。10000って事は──金貨の10倍か!それが100枚だなんて…ヤバイっす、マジパネェっす。



 思わずチャラくなる程度にはテンション上がってきてるぜ。木箱も重いけど気にならないな。





「───ではこれを持ちまして、今大会を終了いたします。皆様、お気を付けてお帰りください。」




 …さて、俺も帰るか。



「──ああ、キャッスル君、カシン君。どうだろう?君たちの事をもっと良く知りたいのだが、これから我がペンバートン城の方でディナーでも。例年優勝者と準優勝者には声を掛けてるんだ、是非来てくれ。正面に馬車も待たせてある。」



 おおふ、提案とは名ばかりに有無を言わせない言葉の重みがある。これはとりあえず乗ったフリをしとかないと身動きが取れなくなるな。



「それは有難いお話ですね、では荷物を取ってすぐ参りますから。カシン、一緒に行くぞ。」



「わ、分かった。」





 足早にリングを去り、荷物が預けてある支度室へ向かう。支度室に着くと、待機している騎士からナンバープレートと引き換えに荷物を受け取る。



 これであとはここからバレないように逃げるだけだな。とりあえず人気のないトイレに行くか。




「────おいキャッスル、どうしたんだ慌てて?」




「ああ、さっきの領主様って強い奴が好きらしくてな。どうやら俺たちをスカウトしたいらしいんだけど、そんなの御免だろ。とっとと逃げようと思ってな!」



「なるほど、噂通りだな。…確かに誰かの下に付くのは性分じゃねえし、とっとと逃げたいところだが、どうすんだ?正面は馬車が待機してるし、どうせ裏口も押さえられてるんじゃないのか?」



「ああ、そうだな。」

 千里眼で確認済みだ。正面、裏口、そして周囲にも点々と騎士が立っている。──まあ手が無い訳じゃないがな。




「カシン、俺を信じて付いてきてくれるか?」



「何をするつもりだ?…まあお前が信用の出来る人物だってのは拳を合わせてちゃんと分かってるつもりだぜ!」



「そうか、ありがとな。じゃあ俺の肩に手を置いて、俺がいいと言うまで離さないでくれ。それとお口チャックな。」



「おちちゃく?」


「……喋らないようにってことな。」


「わ、分かった。」





「───よし、じゃあ行くか!」





 黒仮面をバッグに仕舞うとトイレから出て真っ直ぐ正面へと向かう。終わったばかりでまだ混雑してないな、良かった。



 正面の門番に軽くお辞儀をすると、そのまま馬車の周りの王様や騎士連中を横目に闘技場を出る。──サラバ、もう会うこともないだろう。





 さて、街を出る前に食料を買ってかなきゃな、長旅だし。勿論飛んでいった方が早いけど、こういうのは過程が大事だからな。



 ──ここまで来たらもういいかな?




 町外れの食料品を取り扱う店の裏手に回ると、超能力を解除する。闘技場のトイレから今まで使っていたのは俺の超能力の1つ"透明化"だ。


 俺自身と俺が触れている物を透明にする能力で、映画などで見る透明人間と違って服を脱がなくても服ごと透明になる。しかも任意でオンオフが切り替えられるので便利だ。




「───カシン、もういいぞ!」



「……ふぅ~!凄いなキャッスル、こんな魔法初めて見たぜ。」



「お、おう。使える奴はまずいないだろうから、秘密で頼む。」


「そういうことなら任せな、人の秘密をバラすほど野暮じゃねぇさ。」



「恩に着る。さあ、食料買ってとっとと街を出ようぜ。」



「そうだな、街さえ出ちまえばもう手は出せねぇからな。そうだ、寝袋は持ってるか?一応簡易テントは俺のバッグに入ってるが…」



「持ってないけど……必要ないかな。」



「そうか?まあ要らないんならいいんだが…」




 今から買いに戻るのも面倒だ、別に超能力で対処可能だしな。








 店に入り食料を1週間分ほど買っておく。別に多めに買っても腐ったりしないから楽だよな。魔法のバッグがあるから干し肉とかにしなくてもいいし。



 店を出ていざ街の外へと思ったら目の前を荷馬車が通りすぎる。どうやら商人らしく色々な道具が積まれている。量が少ない事からおそらく仕事終わりだろうか。



「お、キャッスル!今の荷馬車の幕の紋章、ありゃ確か王都近くの村のもんだ。ちょうどいいから乗せてもらおうぜ。」



「ん、そうなのか?────すいません、ちょっといいですか?」




「!?は、はい、なんでしょう?」



「この荷馬車って王都の近くまで行きます?もしそうならついでに乗せていって貰いたいんですけど。」



「……ええ、王都の近くの村まで戻る所です。荷馬車も空いてますからいいですよ。」



「ありがとうございます!カシン、良いってよ。」



「決まったか、良かった。これで歩かなくて済むな!」







 ───ということでご厚意で荷馬車に乗せてもらうことになったぜ!



 これなら街を出るのも簡単だな。正面にも一応門番が立っているからまた透明化しようかと思っていたが、手間が省けた。あれは水中を歩いてるようなしんどさがあるんだよな。



───しかし、これでラパスともお別れか。領主様がもう少しまともな奴ならもう暫く滞在したかったけど、こればっかりは仕方ない。


それよりも新天地に思いを馳せる方が建設的だよな。



レッツ、ゴー、王都!


ラパス、武闘大会編はこれにて終了です。

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