和なきて、動き出す…3
放課後。
何故だろうか。
なんでなのだろうか。
誰か理由を教えてくれ。
なんで、どうして俺は今、あの蒼い転校生に詰め寄られているんだ!?
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始まり……と言えるのか。
昼休憩の間に席を離れ、功と共に訓練棟でだべっていたのだが。
昼休憩が終わって、軍事訓練の方に行こうと思っていたのだが、その際に机の中にあった、一枚の手紙。
『青崎海土那です。若槻燈也さん。お暇がございましたら、今日の放課後、学習棟の屋上に来ていただけませんか?』
……うーむ。
何だこれは。ラブレターの類には、見えない。
とすると、何か……俺をにらんでいた事と関係があるのだろうか。
「なーに、つっきー。その紙」
「……いや、何でもない」
「ふーん……。何かあったら言ってね。何だか今のつっきー、トラブルの匂いがするよぉ~」
幸先悪い事言うなよ。
お前はエスパーか。
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とまあ、回想終了。
つまり、俺は今、蒼い髪の転校生に呼び出され、屋上にいるのだが。
今、一言。
「なぜだ」と叫びたい。
「若槻燈也さん。あなた、竜を知ってるよね?」
開口一番、青崎はこう言った。
竜を……知っている?
どういうことだろうか。
「どういう意味だ? 転校生」
「……意味が分からない? なら言うよ。あなたは、最近竜と接触したよね。それも、かなり至近距離で」
…………。
わからんな。全く意味が分からない。
「……ああ、そうか。“竜”に直接会った訳じゃないのか。……いや、気付いてないのかな?」
「どういうことだ? 竜ってのは……あれだろ? 襲撃者、人類の天敵の……」
「そう。あなたは気を付けた方がいいよ。知らないうちに、あなたは竜と深く接触している」
……どういうことだ?
竜といったって、あの竜だろ?
巨大な体躯。牙、角、爪。
出会ったら、街はパニックだ。
なのに、俺がその竜と深くかかわっている?
意味が分からない。こいつの頭がどうかしてるのか?
「分からなくても仕方ないわよ。まあ、それだけ関わっても死んでないってことは、多分竜はあなたに敵意を抱いているわけじゃないようね。でも、気をつけるに越したことはないわ」
「さっきから何を言ってるんだ? お前は。俺は竜に会ったことも直接出会ったことも無い。世迷言はよしてくれ。迷惑だ!」
俺はそう言い放ち、屋上を後にした。
だがやはり、俺はよく後悔するタチらしい。
その言葉をよく聞いておけばよかったと、俺は、すぐに後悔することになるのだった……。