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明日はまだ見ぬ空模様  作者: 東陸士
二章 『不朽の都』
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第四十四話 『気付け薬』

それから五日後。

マティアスが直訴し、月内にも臨時の審問会が開かれることとなった。

国王エイゼイアが訴えられたと聞いて、貴族も庶民も、この一件に注視している。

しかし、その(かん)(かなめ)が目を覚ますことなかった。

「それにしても、三つ目の”遺物(レリック)”、(つるぎ)が本当にあったとはな。”雪降る渚(ヴィス・アローシャ)”、か……」

枢を看護するアリシアとアイダの元に、彼の具合を尋ねに訪れたマティアスが、感慨深げに呟いた。

「オヤジ、クソッタレ陛下はどうやって、辰気の吹雪く中で、このお兄さんに雷撃を当てたんだ?あたしはそれが気になっててさ」

ああ、とマティアスはさして関心もなさそうに、生返事を返した。

「王族の蒼い双眸には、透徹(クレボヤンス)の力が宿っているんだ。あらゆる遮蔽物を見透かし、人の心の内を正確に推し量る……まあ、厄介な代物だ」

「ふぅん。それじゃ、戦っても、お互い面白くなさそうだな。相手の考えが読めるんだろ?」

アイダは、王の無謬ぶりに嫌気がさしたかのように、大欠伸をした。

「そうだな。まあ、その道の達人ともなれば、考えと行動を乖離させることもできるんだろうが……お前ぐらいでは、相手にならん」

「あっ、なんだよそれ。あたしだって……」

アイダが大声で、己をくさした(・・・・)マティアスに反駁しようとした時。

「う……」

枢が、斃れてから初めて、声を漏らした。

「かなめ様……!?」

アリシアが慌てて、驚き半分、喜び半分の声を上げた。

「目を覚ましたのか!?」

アイダもアリシアに倣う。しかし、枢に続く言葉はなかった。

「……無理もない。陛下も恐らく全力を出されたのだ。その雷撃を受けては、そう簡単に目を覚ますことはないだろう」

「なーに偉そうなことを。オヤジが無理言って、あたし達を陛下の護衛役なんかに抜擢するから、お兄さんはこんな目に合っているんだぞ」

「……それもそうだな。悪かった」

マティアスが素直に謝ったので、アイダは毒気を抜かれた顔をした。

「ま、いいんだよそんなことは。それより、お兄さんが目を覚ますために、何かできることはないのか?」

「ふむ……気付け薬……それも、ごく強力なもの……だろうか。よし、治療師にかけあって、その筋を当たってみるといい。許可は出しておく」

マティアスはそう言って、腰を上げると、どこかへ去って行った。

残された二人は、互いの顔を見、枢の顔を見やると、ひとつ溜め息を()いた。

あまりにも、マティアスの態度は投げやりだった。

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