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明日はまだ見ぬ空模様  作者: 東陸士
二章 『不朽の都』
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第三十三話 『謁見』

使者に連れられ歩いていると、じきに玉座の広間の入り口に着いた。

絢爛な装飾の大扉が、外開きに開け放たれており、両端(りょうたん)には衛兵が一人ずつ、槍を携えて番をしていた。

(かなめ)たちは背筋の正される思いで、扉を(くぐ)り抜けた。

「エイゼイア様。”巡賛会(ルーゴス)”の長たちを連れて参りました」

先導の使者が、一段高くなった玉座に歩み寄り、膝を突いた。

枢たちもそれに倣う。

「黒髪の者よ。そなたが、幽世からの客人(まれびと)か」

朗々とした声が、玉座から響いた。

「は。由埜英(よしのはなぶさ)波残寿(なごじゅ)から参りました、久峩岑(くがみね)と申します」

枢が怯まず、一歩前に出る。

「心地良い覇気だ。さだめし、功夫(クンフー)を積んでいるのだろう」

玉座の者がふ、と笑った。

「余が、レングーン王たるアウリオレ家の頭首、エイゼイアである。用件を申すが良い。但し、手短にな」

二人の目が合う。そこに束の間、火花が散ったように見えた。

この男、酔狂で玉座に就いている訳ではない──枢は、そう確信する。

「では、(わたくし)が代表して申し上げます、王よ」

マティアスが前に出て、また一礼する。

「許す。申せ」

「では、手短に──この者が持つ”遺物(レリック)”、”巨鬼の双牙(グレミニオー)”をお目通し致す代わりに、先日この者が奸賊より奪還せし宝物庫の品、”風鳴りの籠手(インゲイジア)”及び”浮き雲の具足(グラディネイト)”を、一度借り受けたく存じます」

それを聞いて、王の眉が剣呑な形に変わった。

「余の持つ”遺物“を借り受けたい、と申すか。加えて、その者の持つ”遺物”を見逃せ、と。──舐めているのか?」

しびれる(・・・・)ような空気が、一転して周囲に広がる。

「この者は、怨敵”月輪の円卓(ヴェリナミス)”との抗争で勝利を勝ち取るために、重要な位置を占めているようなのです。そしてそれには、この”遺物”を手放す訳にはいかない。何卒、ご理解を頂きたく存じます」

それを聞いた王の、不機嫌な表情は変わらなかったが、どうやら興味は抱いたようだった。

「”月輪の円卓”……なるほど。そなたは確かに、その件に手を焼いていたな。解決を急ぐ内心は察してやらんでもない。ふむ……」

「では、この話が、陛下の妹君……エティエンヌ様の行方に関係しているとしたら──どうです」

枢は思わず、マティアスを凝視した。そんな話が、一体どこから出て来たのか。

「何──(エティエンヌ)の行方が分かったのか……!?」

果たして、王は腰を浮かせた。

「大事にならないよう、これまで伏せていましたが、大魔女がいたという小屋の中から、エティエンヌ様の辰気の名残りが発見されました。エティエンヌ様の失踪に、奴らが一枚噛んでいるのは、恐らく間違いないかと」

「何ということだ……我が国(レングーン)の双璧が、あのような逆賊の手の内に──よし、”遺物”の貸与は許そう。但し、エティエンヌは急ぎ連れ戻せ。()いな!」

マティアスのはったり(ブラフ)により、謁見は急転直下の展開を見せた。

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