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寝取られた俺が悪いのか? ~開いた魅了の魔眼~【連載版】  作者: てとてと


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5話 ごきげんよう

 フォレストキャットはシルバと名付けた。

 生活は安定し、ダオモとリネットが固定メンバーになった。

 そして夏の長期休暇にレオ・ダオモの田舎にリネットも行くことが決まった。


 親が調整した結果、リネットを預かるので飛空艇を利用することになった。

 昨年は王都からクーアンまで9日かけて帰省したが、今回は2日になる見込みだ。

 クーアンに一番近い商業都市ムンガンカーまで飛び、そこから馬車でクーアンまで行く。


 今、飛空艇乗り場のエントランスでダオモと一緒にリネットを待っている。

 俺は久々の飛空艇で少し興奮していた。


 豊かな貴族は移動に自動車を使う。

 自動車は王都の結界の中でのみ使用できる富と権力の象徴だ。

 その自動車からリネットは姿を現した。


「ごきげんよう。出迎え感謝します」


 俺を見止めるなりリネットは言った。


 薄い青色のマーメイドラインドレスにレースのカーディガン。

 細い首を彩るネックレス、煌びやかに輝く髪飾り。


 リネットが姿を現すと場の空気は優雅な何かに塗り替えられた。


 あてられてぽけーっとしてしまう。

 不意打ちもいいとこだった学院とのギャップが大きすぎる。

 動き一つとっても学院と同じところが見当たらない。


 リネットから差し出された右手を放っておいて、見惚れる。

 シルバはリネットの肩に飛び移ったが、それもまた似合うのなんの。


 気を取り直して差し出された手の甲にキスをするが顔が熱い。

 

「あっ、お嬢様。当家にご来訪いただける誉を頂戴し光栄の至りでございます」


 取り繕ったように言った歓迎の言葉は滑っているように思える。


「はい。世話になります」


 たおやかに笑うリネットはやはり貴族の令嬢なのだ。

 なんかな後光が見えた気がする。


「リネット様をお迎えできて光栄でございます」


 流石にダオモは手慣れた様子で挨拶をしている。

 そして護衛の二人と知己なのかにっこりと黙礼をしていた。


 あっ挨拶はダオモを先にさせないといけなかった。

 はぁ。


「と、固いのはいいわ。二人とも承知しているから、いつも通りで大丈夫よ」


 護衛の二人も頷き返す。


「あ、ああ・・・正直、綺麗すぎてどうすりゃいいかと思ったよ。お姫様だなぁ」


 ため息をつくように声を絞り出した。


「ふふ嬉しいわ。でもレオとダオモのお父様にご挨拶するまではこのままね」


「そっか。弱ったなぁ」


「レオはドレスをあまり目にしないから戸惑うよな」


 ダオモにニヤニヤしながら言われると悔しいが、まぁ仕方がない。

 降参だ。


「ああ。こんなに、綺麗で、すげーな。言葉になんねーよ」


 すぐに合流した親父とダオモの父ダロウロさんは見事な挨拶をしていた。


 親父のあの優雅な動きはどうやってんだろ?

 王宮に献上するくらいだから礼儀作法に慣れていて当然なのか?

 今まで気にもしていなかったな。

 親父は検品場までとはいえ担当の貴族達と挨拶もする。

 ダロウロさんに至っては国王様に謁見もするから礼儀作法はできて当たり前なんだろう。


 少し冷静になると、そういえばマリアンも準男爵家だからドレスアップもしてたのか?なんて思い出していた。


 親父たちは3日前に献上と謁見を済ませている。諸々の用事を済ませた後、村への土産物を購入して俺達を拾ってくれたのだ。

 荷物はほとんどない。

 献上品は下賜されている専用のマジックバックに入れて輸送する。

 もちろん用途以外に使うのは不敬に当たるから、他の商品や荷物は別のマジックバックを使用する。

 だから今、日常の装備の他は緊急に必要な道具や食料などしか手持ちしていない。


 リネットと護衛二人が冒険者風の衣装に着替えてから飛竜便に乗り込んだ。


 ☆ ☆ ☆ 


『わぉぉ~~ん』


「シロ元気だったか?よぉ~~し」


 自宅に到着するとシロが俺に飛び付いてきた。

 わしゃわしゃもふもふじゃれ合うと、あっという間によだれでベトベトになる。

 事前に説明していたものの、リネットは身構えていて、護衛の二人は柄に手を添えたまま警戒している。

 シルバはダオモの頭の上で身構えている。


「だ、大丈夫なの?」


 シロは俺より大きい。

 傍から見れば襲われているように見えているだろう。


「ああ。シロも久しぶりに、あぷ、会うから興奮してるんだ」


 激しいべろべろで言葉がぶれる。


 シロは俺が小さい頃に拾ってきた狼だ。

 ホワイトファング。

 成体になると人よりも大きくなりクーアンではホーンブルを狩るような強力な魔物。

 飼う事を懇願したものの家族会議だけで収まらず、一族の集会を経て飼う事が許可された。


 どこで拾ったとか細かいことは覚えていないが、今では立派なペットでブル追いの戦力だ。

 そういえばテイムの素養は元からあったんだな。


「ひぃ」


 恐る恐るリネットが近づくと手をベロンと舐め上げた。


「おっ気に入られたな」

 

「えぇ!そうなの?」


「ああ、受け入れる気が無ければ唸って終わるさ。最初からペロるのは初めてなんじゃないか?」


「そうなんだ。へへ、嬉しいね」


 照れたリネットは少し可愛かった。


 ☆ ☆ ☆ 


「「「 !!! 」」」


 歓迎も兼ねて熟成ブル肉が振舞われ、一口目で三人は固まった。


 リネットは絶句している。

 護衛の二人も同様だ。


「ぇお~~」


 俺の名前を読んだみたいだが感極まって舌が回っていない。


「なにほれ!ほろける~~」


 大きく目を開いて興奮している。

 若干目が潤んでいるのも好印象だ。


「だろ?どんどん食べて!」


 うちの肉は美味い、わかっているからニヤニヤしてしまう。

 熟成肉は多々あれど、献上品になるくらいだクーアンで熟成したブル肉は別格だ。


「幸せ~~」


 三人は夢中で食べている。

 シルバは丸くなったシロと一緒にゴロゴロ。


「あ~美味しかったぁ」


「ふふ。どういたしましてリネットさんは食べっぷりいいのね」


 母さんはニコニコしている。気に入ったのだ。


「あら、はしたなく食べてしまいました」


 リネットがしゅんとしてしまうが誤解だ。


「たくさん食べてくれる方は好きよ」


 来客の恒例行事だけど、うちの仕事を評価されて家族も嬉しそうにしている。

 帰りには最上級の熟成肉を出す予定だから同じ反応がまた見れるはずだ。


 ☆ ☆ ☆


 ホーンブルの狩りは年間を通して行われるが、ウィニーブルの毛刈りは初夏から真夏の1か月のみ行われる。

 ウィニーブルは天敵がいない時期だからか離乳期だからか、この時期だけ毛が白くなり気性も穏やかになる。

 毛は魔力を通しやすい素材として重宝され、中でも白毛は最高級品として扱われる。

 この時期はウィニーブルに人的資源を集中させる。


 必然ブル狩りの人手が足りない。

 俺たちは当然のごとくブル狩りをすることになった。


 シロにシルバが乗ってセットで牧羊犬のようにホーンブルを誘導する。

 リネットを指導しながらダオモと俺の3人で屠殺場へ追い込み首を落とす。

 

 昨日、リネットはホーンブルの首を綺麗に落としていた。

 あっさりやってのけたが、ホーンブルはBランクの魔物で硬い。

 クーアンでは首を綺麗に落とせて一人前で、冒険者ならAランク相当の実力がないとできない。

 リネットの素質はすごかった。


 ダオモもぴゅーっと口笛をならして驚いていた。


 ☆ ☆ ☆


「どうしたの?」


 リネットが心配そうな表情をしている。


「あぁ。なんか変なんだ」


 違和感を感じていた。

 ブルが俺を見ているような気がするし、ブルを追う度に寂しく感じる。


「う゛ぐぅ」


 決定的になったのは、ブルの首を落としたときだった。

 猛烈な悲しさが押し寄せてきた。


 立っていられない。

 胸が苦しい、涙が溢れて止まらない。


「「レオ!」」


 たまらず崩れ落ちた。


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