青春大暴走
『結婚する事になったよ。』
18歳になった風花からそう告げられた。
ワシの当然はアッサリと終わりを告げた。
相手は太刀花慈玄、君達には藍ちゃんの祖父と言えばいいだろう。
慈玄の事は幼い頃から知っている。
家同士が仲が良いから正月には顔を合わせるし一緒に遊んだ事もある。
一度だけ木刀でチャンバラを仕掛けたこともある。
奴も鍛錬を続けているのは間違いないだろうが、なんとも中途半端な剣だった。
悪い奴ではないが噂の太刀花様とは名ばかりの世間知らずで覇気に欠けるボンボンというのが奴への印象だ。
『…剣道は続けるんか?』
唐突に鳴り響いた終了の鐘を青春の真っただ中にあったワシは受け入れられなかった。
『いや、止めるよ。
これからは母として生きてくれってさ。』
この言葉でワシの覚悟が決まった。
『ワシより強いお前が!
天下無敵の風花が何であのハッタリ一族の為に剣を捨てにゃならんのだ!
ワシがあのボンボンの化けの皮を剥いでくれる!』
ワシは頭を沸騰させ大声で息巻くと風花に背中を向けて立ち去っていった。
顔は見ていないが恐らく風花は呆れて溜息をついておったんじゃろうな。
そして慈玄と風花の結婚式の当日
ワシは白い鉢巻を頭に締め白装束に白袴、腰には真剣を携えていた。