夢じゃないよ?
『あなたのことが好きです。付き合ってください』
『ごめんなさい』
こうして俺の人生で初の告白は無惨に散った。
~Fin~
「はっ!?」
突然意識が覚醒する。
周囲が先ほどまでの夕暮れの公園とは違うことにひと安心する。
「ふぅー、夢でよかった・・・・・・」
時刻は朝8時。余韻に浸る間もなく、朝食を済ませて身支度を整える。そして、朝イチの講義に向かう。
いつもの席に腰を下ろし、携帯を確認する。昨夜未読だったメッセージは既読になっており、返信もあった。
『じゃあいつもの公園で(^^)v』
『おk!』
返信すると同時にチャイムが鳴った。
講義中に今朝の夢が脳裏によぎる。
結局1日中、夢での出来事を考えてしまい集中できなかった。
そして、約束の時間。太陽も沈もうとしている夕暮れ時の公園。
デジャブ感に気持ちが悪くなるのを無理矢理抑え込む。
「ごめん、待った?」
入り口から手を振りながら駆けてくる女性。
「大丈夫、今来たところだから」
バクバクと心臓が脈打つ音がうるさい。
「ところで、今日はどうしたの?キミからのお誘いなんて珍しいね」
「あ、あのさ、」
大きく深呼吸をする。
「は、ハル姉、いや遥さん!」
呼吸を整える。
「あなたのことが昔から好きです!結婚を前提にお付き合いをしてください!」
「えっ!?け、結婚!?」
「あ、いや、その」
普段は落ち着いているハル姉が激しく動揺している。
(なんで"結婚"なんてワードを追加したんだ!!バカか俺!)
(これじゃ、夢と一緒じゃないか)
耐えられ切れなくて、その場でうなだれてしまう。
「は、ハル姉、今のは間違ーーーーーー」
「はい、私でよかったら喜んで」
「えっ?」
顔を上げるとそこには、夕日のせいか顔を赤らめた彼女が優しく微笑んでいた。