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8話 上限突破と文字化け

『神に祈ること、いいこと。祈りの表現はいろいろあるけど♪』

「何の歌だよ」

『ぷーくすくす知らないんですか?ゴッドステーション、略してGステのポリコンランキング1位の名曲祈りの形ですけど』


 知らねぇー。

 何の曲だよ。


「なぁ」

『何です?』

「俺もそのふよふよ浮くのやってみたいんだけど」

『ばっかですねー。貴方にはこれは出来ませんよぷーくすくす』

「かっちーん」


 やばい。今珍しくイラッときた。


「やってやろうじゃねぇか」


 初めてやるけど問題ないだろう。

 足元に空気を圧縮して塊を作るようなイメージで魔法を使う。


 そうして


「そりゃ」

『や、やりやがりました?!』

「やりやがりました」


 俺はついに空中を歩くことに成功した。

 しかし


「意外と簡単だったな」


 こんなに簡単なのなら今まで出来なかったことが馬鹿らしいな。

 みんなに見せびらかそうかと思ったがみんなも出来るだろうし馬鹿にされるだけだな。


 そう思っていたら


「わーわーわー!!!浮いてますお兄ちゃんが浮いてますーーーーー!!!!!」


 その時ティアがギャーギャー喚きながら近寄ってきた。


「すごいです!どうなってんですか?!これ」


 俺の肩を掴んでグラグラ揺らす彼女。


「わぁっと、やめろって」

「私も浮きたいんですけど、えい!」


 そう言って俺にしがみついてくるティア。


「わぁぁぁあ私も浮いてますぅ!!!!」

「ただしがみついてるだけじゃないか」


 そう言って空気の段から降りた。


「どうやったんですか?さっきの?!」

「え?出来ないのか?」

「はい、出来ません!」

「お前は可愛いな」


 本当はできる癖に兄である俺に花を持たせようとしてくる妹のティア。

 それなら俺も合わせるか。


「こうしてさ空気の段を作るイメージだ」

「こうですか?!」


 そうして俺達の練習が30分ほど続いたが。


「で、出来ません」


 こんな簡単なことを30分も出来ないフリをしてくれたティア。

 うぅ………こんな俺にここまで花を持たせてくれるなんてお前はなんて良い奴なんだ。


「やっぱりお兄ちゃんは凄いです!」


 あまつさえ俺を褒めてくれる。


「ティアぁぁぁぁあ」


 俺はいい妹を持ったな。


「急に抱きついてきてどうしたんですか?まさかずっと王都にいて寂しかったんですか?」

「そうだよ。寂しかったよぉぉぉ」

「私もですよぉぉぉぉ。これからは一緒にいましょう」

「うん」


 そう、俺達は永遠になろう。

 シスコンと呼ばれても構わない。

 俺は妹と共にあろう。



 俺は村長の態度が変わったと聞いて村にある小さな酒場を訪れていた。


「くくくくく………」

「何がおかしいんだ村長」


 村長はギルドマスターに捕まっていた。

 過去に何かの犯罪をしていたらしい。


「何もかもだよ」


 捕まっていてなお不敵な笑みを浮かべるこの村長。

 まさか!俺はやはり何かを見落としていたのか?!


「まさかこの私を倒して終わりだとは思っていないだろうな?ゼロのラグナ」

「………」


 あれで倒せているとは思っていなかったためそっちの予想はやはり当たっていた。

 やはり強敵か。


「何が目的だ?」

「ここより東の洞窟に四天王の1人がいる。そいつにここを襲わせるつもりだ」

「何だって?!」


 そんなことさせられるわけが無い。

 だが究極雷帝竜(アルティメットサンダードラゴン)を5秒で倒せない俺にそれ以上の強さを持つ四天王を倒せるとは思えない。


「貴様何が目的だ?」


 ギルドマスターも村長を睨みつける。


「はははこんな世界終わっちまえよ」


 そう言って腕を広げる村長。


「新時代の幕開けだ。魔王様こそがこの世界の征服者に相応しい!」


 そう言うとくくくと笑い始めるだけの村長。

 くっ、魔王の手先だったか。


 俺はギルドマスターに目をやる。


「俺が行こうギルドマスター」

「無茶だ!」


 ギルドマスターが叫ぶが仕方ないだろう。


「四天王を放置してはいられない。それにこの村にはティアがいる」

「ティア?」

「俺の妹だ。こんなところで好き勝手やらせるつもりはないぞ」


 そう言うと俺は1発村長をぶん殴った。


「お前達の好きにはさせない」

「ふはははこうしている間もあの方は着々と世界を滅ぼす準備をしているぞ?」

「ゲスが………」


 ギルドマスターも村長を蔑んだような目で見る。


「ゲス………か」


 ふはははと笑い始める村長。

 話が通じないな。


「とにかく俺が行こうギルドマスター。曲がりなりにも勇者パーティで聖者を務めていたこの俺を信頼して貰えないだろうか?」

「………なら私も行こう」

「いいのか?」

「あぁ。君だけなら少し心配だ。私の名前はリンゼ」

「俺の名前はラグナだよろしくなリンゼ」


 よし。話はまとまった。

 俺は酒場の扉を目指す。


「パーティメンバーは決まっているのか?」

「いや、今からだな」


 俺はあくまでもパーティの補助だ。

 支援職だ。メインの戦力を貼れるような人間じゃないからパーティメンバーが必要不可欠。


 そこで、俺はいつものメンバーに声をかけることにした。


「やはりまずはお前だろう!な?!ティア」

「はい!やはり私ですよね?!」


 隣にいたティアに声をかけた。


「ゴブリン退治で鍛えたこのステータスで四天王もぶっ倒しちゃいます!」


 そう言って彼女は自身のステータスを開示する。


━━━━━━━━

【名前】ティア

【ジョブ】剣士

【レベル】6,325

【攻撃力】275,632

【体力】542,369

【防御力】258,963

【素早さ】223,698

【魔力】485,693

━━━━━━━━


「な、何だ?!このステータス!」


 ギルドマスターが悲鳴を上げた。

 これが上限突破できた奴のステータスだ。


 本来は9999までしか上がらないはずのステータスを俺は王都での修行でこんな風にしたかった。


「ゴブリン倒してたらいつの間にかこうなってました」


 テヘッと笑うティア。


「私ゴブリンしか倒せないんですけど毎日1ゴブリン2ゴブリンって増やしてたらいつの間にか1日5万ゴブリンくらい倒せるようになって気づいたらこうなってました!」


 流石だ。

 でも嫉妬してしまうぞ。


「これは頼もしい味方だな!ラグナ、次の候補はいるのか?」

「えぇ、いますよ!師匠です!」


 そう言って俺は2人を師匠の元に案内した。


「師匠?!師匠?!」

「何だ弟子よ」

「パーティに入ってくれ」

「私に頼る前に自分でやれと言っているだろう?」

「時間が無いんだ入ってくれ!」

「仕方ないな」


 そう言って立ち上がる師匠を不審な目で見つめるリンゼ。


「で、弟子よ」

「ん?」

「そ、そこの女が見てくるのでやめさせてくれないか」

「す、すまない観察してしまって」

「い、いや気にするな。初めて我が姿を見る者は皆そのおぞましさをだな………」


 いつもみたいに元気がない師匠。


「どうしたんだ?」

「災いが近付いている気がしてな」


 そう言った師匠をリンゼは驚いた目で見た。


「な、何故それを?!我々の誰一人として何が起きているのか伝えていないというのに!」

「師匠は日夜組織と戦っている。これくらい造作もないはずだ」

「組織?」


 代わりに説明したら胡散臭いものを見るような目で師匠を見るリンゼ。


「失礼、その組織というのは?」

「………」


 黙る師匠。

 流石だな、一般人を巻き込んではいけないと以前に言っていた。


「いつ頃から戦われているのだ?必要ならば私たちが」

「………」

「なるほど」


 何か分かったような顔をするリンゼ。

 しかし師匠は流石だな。あくまで一般人を巻き込まない。その姿に憧れる。


「このまま無言を通しても良かったが私のステータスを見せよう」


 師匠がステータスを開示した。

━━━━━━━━

【名前】シーア

【ジョブ】jpnuvt

【レベル】mpmtktv

【攻撃力】jpku

【体力】jpmt

【防御力】jptk

【素早さ】dkx

【魔力】mgptwm

━━━━━━━━


「分かった。濃い人だが文字化けする程のステータスの持ち主、か。戦力的に申し分は無さそうだ。このメンバーで行くことにしよう」


 こうしてパーティメンバーは決まった。


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