22話 解決
俺は紫髪の言葉に乗ることにした。
「分かった。俺の実力見せてやる」
「ほう。強気なことで、可愛いよね。その自信へし折ってあげたいわ」
人を小馬鹿にしているような感じで口にしている紫髪。
「でもどうやって実力を見せればいい?」
「なーに。簡単な事だよ」
そう言ってパンパンと手を叩く紫髪。
ここに集まった医者達に目を向けた。
「君らはここに残って。今から俺と黒の聖者さんでちょっと出てくるから」
そう言うと紫髪は俺たちに目を向けてからこの部屋の外に通じる扉に向かって歩き出した。
「さぁ、行こうか黒の聖者さん」
俺は歩きながら気になったことについて聞いてみることにした。
「黒の聖者って何だ?」
「機嫌悪くしないで欲しいんだけどね。よく分からない治療法で治しているから黒いってことで黒の聖者って呼ばせてもらってるよ」
そういうことか。
俺は基本的にエリクサーで治しているだけだから、黒い部分はないが周りから見ればどんな治療法化は確かにわからないか。
紫髪の男が口を開いた。
「勿論エリクサー以外の治療も出来るんだよね?」
「出来る」
「なら、良かった。今回はエリクサーなしで治療して欲しいね。君の実力見たいから」
「分かった」
「これはどうも」
そんな会話をしていたらひとつの扉の前までやってきた。
「この部屋に患者が寝てる」
「どんな?」
って聞かなくても大体分かるが。
大きな扉の左右には騎士が立っているからだ。
「王女様だよ。お可哀想に、重い病にかかっていてね」
なるほど。話は理解した。
「普段なら俺が看病するところなんだけど今回は黒の聖者さんがいるから任せようかなって思って。実力見せてくれるんだよね?」
「俺の実力見せてやるぜ?」
「これはこれは頼もしい」
相変わらず人を馬鹿にしたような言い方をする男。
ギャフンと言わせてやる。
「じゃあ期待してるよ黒の聖者さん」
そう言って紫髪は片方の騎士と話をした。
そうして
「それじゃあ、期待してるよ」
俺は騎士に中に入ることを許可されたので入ることにした。
だだっ広い部屋にベッドが1つ。
ところどころに女の子を感じさせるぬいぐるみなどがあった。
その部屋の中を進んでいく。
「だ、誰なのですか?」
「ラグナ」
短く言葉にする。
「勇者パーティに入っていたというラグナですか?」
「そうだよ。いっちょよろしく」
そう言って王女と話をすることにした。
「どうやら肺炎だそうです」
そう言いながら咳をする彼女。
話を詳しく聞くと魔王が振りまいた呪いにより肺炎を患っているらしい。
そして現在のところ致死率100%とのこと。
「死にたくないです」
そう口に出す王女。
「アルスカ」
俺は女神様に相談することにした。
『ダンシング中なんですけど』
「治せるか?」
『治せますよ。祈れば。うーんそうですね。犬の真似が1番いいと思います』
最近気付いたことがある。
「女神様女神様よろしくお願いします」
『仕方ないですねぇ』
犬の真似をしなくても力を貸してくれることを。
「助かったー」
礼を言ってから力を使う。
「ヒール」
王女の体に手を当てる。
ポウっと緑の光が俺の手のひらに集まり、それが王女全体を包み込んでいく。
「あ、あれ?」
暫くしたら王女が上半身を起こした。
「く、苦しくありません。咳も出ません」
「それは良かった」
にっこり笑って立ち上がる。
「ら、ラグナ待ってくださいまし」
「ん?」
「そ、そのありがとうございます//////」
「気にすんなよ」
俺は聖者としてやるべき事をやっただけだ。
礼を言われる事のものでもないし。
さて、治療は終えた。
もうここに用はない。
「じゃあね王女さん」
そう言って外に出ようとしたところ
「お、お待ちください!へぶっ!」
立ち上がろうとしていたところ前のめりにこけてしまった王女。
「いた………くありませんわ!我慢できますわ!」
そう言って立ち上がる王女。
「あ、あのまた来てくださいますか?ラグナ」
「あぁ。王女さんが来て欲しいってなんなら来るぜ」
「あ、あの王女ではなく………クラリスと呼んで欲しいですわ//////」
「分かった。次からはそう呼ばせてもらうことにする」
そう言って俺は手を振りながらこの部屋をあとにすることにした。
※
「なっ………」
紫髪が絶句していた。
部屋から出てきたクラリスを見て口を大きく開けていた。
「まさか………本当に治すとは」
「言ったろ?俺の実力見せてやるって」
他のことに関しては言えないが治癒魔法に関しては専門だ。
死者蘇生も出来るようになったし大抵のものは治せる自信がある。
「しかしどうやって治した?黒の聖者」
俺が治したことで余裕が無かったのかついにパカにするような口調も収まった男。
「あれは治療法が確立されていない肺炎だ。どうやって、抗体もない。ワクチンもない。何も無い。そんな状況下でどうやって治した?!」
叫ぶような荒々しい言葉。
それを言い終えてからはっ!としたような顔をする男。
だがもう遅い。
「まるで、治されたら都合が悪いみたいな勢いだな?」
「お、王女様!そういうわけではなく!」
今更の弁明を始める紫髪の男。
必死に土下座して王女に許しを乞おうとするが。
「顔を上げなさい」
そう言われて顔を上げる男。
「貴方の知っていること全て話しなさい」
「お、俺は何も!」
「知っていますよね?抗体もないワクチンもない何も無い。これは貴方しか知らないことではなくて?」
「俺は………」
「連れていきなさい。話は後でたっぷり聞きましょう」
クラリスが扉の左右にいた騎士に命令した。
「や、やめてくれぇ!!!!!」
そうして連れていかれる紫髪。
俺の直感だが1枚噛んでるなあいつ。
叩けば何か出てきそうなやつだ。
「とにかく、助かりましたラグナ。礼を言います」
そう言って頭を下げる彼女。
「では、またお会いしましょう」
「あぁ。きっとまた会えるさ」
俺は部屋に戻っていくクラリスを見送った。
さてと。
『ラグナ』
珍しく真面目な顔をするアルスカ。
「どうした?」
『何か近付いてきています』




