表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/24

14話 試してみる

「付いたぞ。ここだ」


 バーンと開け放たれた扉。

 しかしそのすぐ後に


「おいおいおいおい」


 誰かが声を上げながら俺たちに近付いてきた。

 そちらに目をやると


「何だイラじゃないか」


 そこにはかつての仲間であるイラが立っていた。

 てっきり俺とはもう関わりたくないものだと思っていたが。


「何でてめぇが王様と一緒にいるんだよ踊り子」


 王様には目も向けずに俺に向かってそう聞いてきた。


「成り行き?」

「はぁ?」


 はははと笑い出すイラ。


「何が成り行きだよ」

「王様」

「何だ?」

「こんな奴追放しましょうよ。こんな奴に聖域を荒らされるなんて溜まったもんじゃない」


 そう言うとイラは俺を見てきた。


「幼馴染だからって手加減すると思ってんのか?目障りなんだよお前」


 そう言うとイラが親指で庭園を指さした。


「俺と模擬戦しようぜ踊り子」

「ふにゃっ?」


 何故そうなる。


「お前見てっとムカつくんだよ。俺が勝てばこの王都を出ていってもらう。ちゃんと来いよ。1時間後待ってる」


 そう言って庭園に向かって歩いていくイラ。

 何なんだ。


「はぁ………相変わらずな奴だな」


 王様も頭を悩ませているらしい。

 やれやれと首を横に振っているだけだ。


「ラグナ、頼めるか?あいつを黙らせて欲しい」

「いや、でも俺聖者だし?戦闘向きじゃないんだけれど」

「問題ない。負けたとしても王都追放にはしないから」


 そう言われたら断る理由もなかった。

 やってやりますか。




「逃げずに来たか」


 ニヤニヤと笑みを浮かべるイラ。


「俺が勝てばもう絡んでこないでくれ」

「いいぜ」


 よし、了承は取れたという事だな。

 正直イラに勝てるとも思えないが俺だけ何の約束もしていないのはフェアじゃない。


「俺が審判をやる」


 王様がそう言ってくれたので俺は杖を抜く。

 イラは剣だ。


「開始だ!」


 王様の合図では誰も動かなかった。


「踊り子?先にやってもいいぜ?」

「なら遠慮なく」


 丁度スキルも手に入れたところだ。

 大賢者の心得を使ってから魔法ウィンドウを立ち上げた。

━━━━━━━━

・ラストアルテマ

→ラストメテオ

・ラストホーリー

━━━━━━━━


 などが並んでいた。

 適当にラストメテオを選んでみた。

 しかし


「あれ?」

「どうした?踊り子?」


 何も起こらない。

 MPが足りないわけでもないと思うのだが


「そっちから来ないならこっちから行くぜ?!」


 そう言ってイラが突っ込んできたその瞬間。

 ドカーーーーーーーーン!!!!!

 世界が揺れた。


「「「「「「な、何だ?!!!!!」」」」」」


 ここに集まった人間の多くがその音の正体に目をやった。

 その多くが近衛騎士だった。


「おいおいおいおい………」


 それはイラも同じだったようでそちらに目をやった。

 俺もその光景を見て驚く。


「メ、メテオが降り注いでるぞ!」

「魔王領に降り注いでる!何だあの大量のメテオは!」


 ここに集まった兵士達の叫ぶ声で何が起きているのかを再確認出来た。

 メテオが魔王領に降り注いでいるのだ。

 1発で国を破壊できると言われているメテオ、それが何十発何百発も降り注いでいる。


 やばいな。

 確実に俺のせいではないだろうが、何か出来ないか?あんなもの放置していればこちらにも被害が出るかもしれない。


「師匠!」

「な、何だ!」

「あれを止めてください!」

「………」


 顔を真っ青にする師匠。

 まさか


「止められないんですか?」

「で、出来ぬわ、わけが、な、なかろう」


 相変わらず震えている師匠。


「な、なら止めてくださいよ師匠!」

「ま、任せろ!その代わりさっさと私を強化しろ!」

「は、はい!微力ながら手伝います!」


 師匠にバフをかける。


「アルマゲスト!」


 師匠がアルマゲストを使った。

 無属性最強魔法のアルマゲスト。

 するとギューーーーーーンとメテオが発生していた位置にアルマゲストが発生し全てを飲み込んで消えた。


「こんなもの、あ、朝飯前だ」


 そう言いながら少し肩で息をしている師匠。

 やはりあのメテオの数は師匠でも厳しかったのかもしれない。


「………」


 今の一連の流れを見て尻もちを着いていたイラと


「す、すごいでは無いか!」


 王様が逆に近付いてきた。


「見事だったぞ2人のコンビネーション!やはりお前たちを見込んで正解だった!」


 そう言って俺と師匠を交互に見てくる王様。


「気に入ったぞ。俺はお前たちを第2の勇者として認めよう!」


 そして俺達は第2の勇者として認められたのだった。



「お兄ちゃん凄くないですかー?第2の勇者ですってー」


 妹のティアとゴブリン退治に来ていた。


「凄く複雑な思いだがな。何故俺が」


 俺はただスローライフを送りたいだけなのに何故勇者などやらなくてはならないのだ。


「田舎に帰って雑魚間引いて生活したいよー」


 なんて叶わぬ願いを呟いてみる。

 今となっては本当に叶わない夢だ。


「俺の活躍見せてやる!とかってキャラじゃないしなー俺は」


 ただ家でゴロゴロ寝ていたいだけの人間なのに大変なことになってしまった。

 でもこうも思う。

 俺がちゃちゃっと魔王を倒しちゃえばそれで全て解決するのではないか?と


 それはいい。

 その時、俺たちの頭上に何かが現れた。

 ドラゴンだった。


「グォォォォォォォォォ!!!!」


 そいつは雄叫びを上げながら降りてきた。


「ティア!任せたぞ!」

「無、無理ですよ!」


 そう言って彼女はステータスを見せてきた。

 一気に下がっていく彼女のイカれたステータス。


 しばらく見ているとオール1になっていた。


「なんで?!」

「私ゴブリンにしか強く出れないんですーひぃぃぃぃ!!!!」


 そう言って俺の後ろに回り込んできた彼女。

 仕方ないな。


 杖を抜くと大賢者のスキルを使い俺は


「ホーリー!」


 を使った、すると


「グォォォォォォォォォ!!!!、」


 それで倒れるドラゴン。

 呆気なかったな。というより


「大賢者のスキルつええ………」

「お兄ちゃんすごいです!」


 そう言って俺に飛びついてきたティア。


「な、なんだよきゅうに」

「ドラゴンを1発で倒すなんて凄すぎますよ!みんなに自慢しちゃいましょうよ!」


 なんて事を言われた。

 それは勘弁してくれ。


 しかしこの大賢者のスキル。中々使えるな。

 とりあえず100にしておきたいところだが。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 上がり続けるハードルに対して青褪め……自信満々のシーアさま素敵です!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ