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12話 聖者はやはり頭アルテマでした

 先に行ったギルドマスターを追いかけて王都に戻ってきたらそれは既に起こっていた。


「なんじゃこりゃ」


 俺が声に出した瞬間。


「よう」


 空を飛んでいた男が降りてきた。

 この前倒したはずの四天王だった。


「よくやってくれたなお前」


 やはり生きていたか。

 俺なんかに倒せるわけもないと思っていたからな。

 さて


「アルテマ」


 俺は魔法を使った、するとその瞬間


「ギャァァァア!!!!!!」


 爆発する光。

 それが四天王を包み焼き尽くす。


「師匠!」

「任せろ!」


 師匠に魔法を使って強化する。

 それから


「喰らえ!ダークナイトローリンサンダー!」


 そう言って剣を持ってクルクルと回って切り刻む師匠。

 それで


「まだ、何も言ってねぇのに………」


 バタリと四天王が倒れた。

 師匠がやったのだ。今度こそ息絶えているはずだ。


「ふぅ………終わったな。ついでに空を飛んでいたドラゴンも倒しておいたぞ」

「流石だな師匠」


 さすが俺の師匠だ。

 毎日組織と戦っている師匠は流石に違う。


「こうはしていられまい。さぁ行くぞ弟子。組織の攻撃はまだ始まったばかりだ」


 そう言って1人で王都に入っていった師匠。


「追いかけないとですね」


 ティアにそう促され俺たちは師匠を追うことにした。



 道を歩いていたらモンスター達がいたがそのことごとくを師匠のシーアが圧倒的な力で殲滅していった。

 そうして王都を歩いていると俺は見たくないものを見てしまっていた。


「イラか」

「久しぶりだな踊り子。何をしに来た?」


 俺を見下ろすような目で見つめてくるイラ。


「というよりさっきの四天王はどこ行きやがった?」

「四天王なら私が倒したぞ」


 師匠がそう口にした。


「お前は、シーアか」


 直接の交流はないだろうが覚えていたらしい。


「あぁ。久しぶりだなイラ」


 シーアもきちんと挨拶をしている。


「何をしに来た、お前ら」


 イラが俺たちを睨むような目で見てくる。


「言ったろう?イラ」


 イラと一緒にいたギルドマスターが1歩前に出て話し始める。


「お前は勇者として問題があり過ぎるんだ。だから私は王にラグナの事を伝えに来た、と。そしてその話を通しやすくするために同行してもらった」


 ここに来るまでのことを説明してくれたギルドマスター。

 というより俺をここに連れてきた理由それなのかよ。


「でも俺弱いぞ?」

「そうだ。ギルドマスター、しょせんお前らは勇者である俺に頼らないとどうしようもねぇだろ?魔王は勇者にしか倒せない知ってるよな?俺の機嫌取っていた方が賢いぜ?」


 俺の言葉に便乗してそう口にするイラ。

 しかし


「いや、支援職としてのラグナは間違いなく優秀だよ。それは私が保証する。故に」


 彼女が俺たちに目をやる。


「ラグナを中心に新たなパーティを結束したいと思っている。それをお前たちの補佐として私は王に提案したいと思っている」


 この場に沈黙が訪れた。

 初めに口を開いたのはイラ。


「待てよ。そいつがパーティ?嘘だろ?踊り子だぞ?」

「確かに踊り子のように見えるが、ラグナの支援は──────最高レベルのものだ」


 ギルドマスターがそう言い放つ。


「ついに頭がいっちまったか?ギルドマスター?」


 ヘラヘラ笑い始めるイラ。


「そいつは踊り子だ。俺たちのパーティのミーナの方が踊り子としては使えるし有用なバフがかけられるんだよ。だが、そいつはどうだ?ただ遊んでるだけじゃねぇか」

「そう思いたいならそう思えばいい」


 ギルドマスターがイラをそう言って見つめる。


「とにかく、私はラグナを王に紹介する。それだけだ」

「待てよ!」


 ガっ!とギルドマスターの肩を掴むイラ。


「何だ?この手は」

「うぐ………」

「離せ。このままいかれては困るのか?」

「ぐ………」


 ようやく手を離すイラ。

 その後に


「踊り子?何をした?」

「何も」


 答えて俺はギルドマスターと共にイラの横を通り抜けた。



 そのままギルドマスターにギルドに案内された。


「とりあえずギルドカードを更新しないか?」

「ギルドカード?」


 聞き返す。


「あぁ。ギルドカードだ。持ってるだろ?」


 持ってたかなぁ?

 覚えてない。


「ごめんよ。覚えてない」

「覚えてない?!」


 逆に驚かれた。

 そしてハハハと笑い始めるギルドマスターのリンゼ。


「面白い人だ。無くすなと言われなかったか?しかも持ってるかも覚えてないって、作ってないなら失礼したが、うんまぁいい」


 そう言って俺に向き直る。


「とりあえず新規で登録という形で構わないかな?」

「別に構わないよ」

「OK。この水晶に手を当ててくれるかな?」


 そう言って差し出してきた水晶。

 美しい球体をした透き通るような水晶だ。


 俺は言われた通りそれに手を乗せた。

 するとボーン!!!!!


「わ、割れた?!」

「何だ今の音は!」


 ギルド内が騒がしくなった。

 騒ぎの原因は分かっている。

 俺の目の前に置かれたこれだ。


「なっ、馬鹿な水晶が割れた?」


 それにはギルドマスターもかなり驚いているようだった。


「水晶が割れるなんてこと有り得るのか?!」


 そう言って奥へ引っ込んでしまった。


「あ、あのー何だか凄くハードル高くなってませんか?」


 今まで黙っていたティアが口を開いた。


「流れからしてパーティメンバーの私もやると思うんですけど開幕破壊されたらどうしたらいいんですか?」

「ふっ………水晶の破壊も出来ないのか小娘」


 不安そうに呟いたティアにそう噛み付くシーア。


「水晶の破壊など我々グリガン族からすれば朝飯前なのだよ」


 ブツブツ言い始める師匠。

 いつもの過去話が始まったようだ。

 暇なので聞いていたら


「待たせたな」


 数十分後奥からギルドマスターが帰ってきた。

 その横には見たことの無い髭面のおっさんを連れて、だ。


 誰だこのおっさん。

 そう思いながら見ているとギルドマスターではなく、おっさんが口を開いた。


「貴殿がラグナ殿であられるか?」

「え、まぁそうだけど」

「私は近衛騎士団団長と言えば分かるか?」

「え、まぁ」


 確か王を守る騎士団の団長だよな?どうしてこんなところにいるんだろう。


「単刀直入に言おう」


 そう言って正面から俺の目を見る団長。


「私と決闘して欲しい」


 それは突然の申出だった。

 近衛騎士団団長と俺が勝負?

 そう思ったが


「別に構わないよ」


 もうなんと言うかスローライフから遠ざかってるけど、まぁいいか。


「ただし戦うのは俺じゃなくて」


 ガシッと師匠の肩を組んで口を開く。


「師匠だ」

「「「えぇぇぇぇぇぇぇ?!!!!!」」」


 色んな絶叫が響いた。



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― 新着の感想 ―
[良い点] そのグリガン族の女の子は高らかに絶叫した……
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