★激動の映画~茜視点~
私は私の最愛の人—誠一君と映画館に来ていた。ついに念願だった初デートを果たしたのだ。
後はもう抑えられなくなった気持ちを誠一君に伝えるだけなのに、私の中からこの関係を捨てたくないという思いが沸々と湧き上がってくる。告白したい、でも失敗したらすべてが無にかえってしまう。
そんなもどかしい思いを抱えながら私はポップコーンに手を伸ばす。
そして二人の手が重なる
「ゴメン、すぐどけるから。」
「もう少しそのままにして」
咄嗟的に言ってしまったがもう止まれない。
私のあふれ出る思いを誠一君に聞いてもらいたい。
「わかった。」
「誠一君、私は誠一君が大好きです。」
「なんでだ?僕なんてお世辞にもイケメンといえるような顔でもないごく普通の男だし、茜にならもっとつりあう男はたくさん」
これ以上自分のことを卑下してほしくないから私は彼の言葉を遮った。
私の愛する誠一君は自己評価が低すぎるよ。
「絶対に誠一君じゃなきゃだめなの。ねえ覚えてる小学6年生の時?みんなに親がいない事でいじめられてた私に誠一君は言ってくれたんだよ。『僕だって親がいなくなって悲しい。それは君も同じだ。僕たちは親がいないという仲間だ。他にもぼくらの仲間はいるんだよ、だからもう心配し過ぎないでいいんだよ』誠一君はそう言ったんだ。私は誠一君の言葉に救われたんだよ、だから今の私があるの。最初はただのちょっぴりした片思いだった、でもね、高校に入って名前しか知らない私を助けて看病までしてくれる優しい所とかそういう誠一君が好きで好きで仕方ないの。誠一君ともう片時も離れたくない大好きなの。誠一君、好きです私と付き合ってください。」
ついに私は言いきった。
早く誠一君の答えが聞きたいような、聞きたくないような不思議な感じだ。
次回からは誠一君視点に戻ります。
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はたして、告白の結果はどうなるのか?
次回は3/3の9時投稿です。