休日の柚月家
遅くなってしまいました
基本的に智久は部活に入っていないため、休日は暇人である
そして可憐、紅羽も同様に
「ねぇ、智久さん。ちょっと付き合ってくれない?」
「別にいいけど、何に?」
「紅羽姉さんと一緒にお買い物に行こうと思うんだけど……」
いつの間に可憐は紅羽姉さんと呼ぶようになったのだろうか
そして、俺が呼ばれた理由、それは
「荷物運びか」
「……うん、お願いできる?」
「まぁ、どうせ家にいてもやることないし荷物運びぐらいなら」
「じゃあ決定!紅羽姉さんに伝えてくるね!」
可憐もだんだん慣れてきたのだろうか
出会った頃よりかはいくぶん、明るくなった気がする
記憶こそは戻っていないが、それは少しずつ取り戻せばいい
「でもさ、可憐。今日は外……台風だよ?」
台風が来ると予想されていたため、少し早めに出発することにした
台風なんか来たら電車が止まっちまう
「台風が来る前に帰ろうな?」
俺は台風を警戒して急いで準備したのだが……
「智久、その格好はなに?」
紅羽姉さんの鋭い眼差しにさすがの俺も自分がどれだけ変な格好で来てしまったのか気づかされた
「帽子にマスク、そしていかにも引き篭もりのような服。流石にその格好はおかしいんじゃない?」
可憐ですらおかしいと思うほどらしい
確かに電車に乗っていた時も周りの人の視線が痛かったのだが原因はこれかな?
電車で三十分、ようやくデパートにたどり着いた
既に空模様が怪しいが仕方ない
どうしてこんな天気の日に限って出かけようと思ったんだか
「で、何を買いに来たんだ?」
「もうすぐ、夏休みでしょ?だから海に行く時のために水着を買いに来たの!」
可憐の言葉に俺は戸惑いを隠せなかった
「水着……だとっ……」
もともと二次元にしか興味の無い俺だが、思春期真っ只中の高校生
もちろんたとえ三次元の女子だろうと水着姿は刺激的なのだ
しかも可憐はかなり可愛い部類に入り、スタイルも抜群なため俺には耐えられる自信がなかった
あっやべ、想像してたら鼻血出てきてたわ
「だっ、大丈夫!?智久さん鼻血出てるよ!?」
「あぁ何でもないよ」
口が裂けてもお前の水着姿想像してたら鼻血出たなんて言えない
「ほほ〜ぅ!さては智久、お前可憐の水着姿想像してたな?」
紅羽姉さんがからかってくる
図星だから困る
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