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 骨騎士こっきしは剣をソウタに降り下ろす。ソウタはなんとか盾で受け止めるが、今までとは違う程一撃が重い。剣技の速さも衰える様子もなくそれどころか次第に早くなる。

 やがて骨騎士こっきしの一太刀がソウタの肩に当たる。肩から鮮明な血が吹き出す。

「キュア」

 直後ソウタの肩の傷は瞬時にふさがる。

「ありがとう、ユーティリア。起動軸モジューラー 片手剣ブレード二刀流」

 ソウタの両手に剣が出現する。骨騎士こっきしは再びソウタに仕掛ける。先ほどと同じか、それ以上の速さで骨騎士こっきしの剣がソウタを襲う。しかし、二刀流になったことで骨騎士こっきしの剣にも反応し出した。それどころか骨騎士こっきしを押し始める。1本の剣で剣を受け流し、もう1本の剣で骨騎士こっきしを斬る。次第に骨騎士こっきしの体に傷が増え始める。

 このままではまずいと判断した骨騎士こっきしは、後ろに大きく跳びソウタと距離をとる。一度死んでいるミノタウロスを見る。すると死体の所まで行き、持っていた盾を捨て代わりに落ちていた斧を拾い上げる。二度三度斧を振り回すと剣と斧を構える。

「おいおい、まじかよ」

 気が付けばもう目の前まで骨騎士こっきしが迫っていた。降り下ろされる斧を紙一重で回避する。さらに剣は追撃してくる。無理やり左手の剣で受け止めるがその剣は弾かれ草むらの中に消えていった。それを見たユーティリアは剣の消えた草むらの中に入っていった。

「ちょっとどこ行くの !?」

「そういうことか。カレルさん、魔力切れを考えずに魔法での援護を頼みます。骨騎士こっきしは俺らに釘付けにします」

「仕方ない、ボルトスピア」

 ソウタは骨騎士に突っ込んでいく。なんとか骨騎士こっきしの猛攻を避け右手ごと肩から斬り落とす。すぐに伏せ頭上を雷の槍が通過しあばら部分に命中する。

 骨騎士こっきしは残った左手の斧をソウタに降り下ろす。ソウタは、斧を左にローリングして回避する。すぐに立ち上がり、剣をなぎはらう。骨騎士こっきしはすかさず斧を盾代わりにする。防御した直後にすぐさま攻撃を仕掛ける。だが、ソウタはステップで避ける。

「貫け ハイスピア」

 雷の槍と違って何倍もの速さで無属性の槍が翔んでいく。それも斧で弾こうとするが斧に当たることなく首に命中した。首の骨に少しひびがはいる。

「すまない、もう魔力が」

 カレルは、膝に手をつき息があがっている。

「いいえ、もう十分です」

 ソウタも手の力を抜き剣と盾が地面に落ちる。これを好機と見た骨騎士こっきしは一気にソウタとの間合いを詰める。斧を振り上げソウタにとどめをさそうとする。

「もう終わりだ。起動軸モジューラー シールド

 手をかざしシールドが現れる。斧はシールドに受け止められる。しかし、骨騎士こっきしはこの機を諦めずひたすらシールドを攻撃し続ける。

「俺ばっかり攻撃してていいのか ?少しは後ろにも注意を払った方がいいんじゃないか」

 骨騎士こっきしは背後に何らかの気配を感じ後ろを向くがもう遅かった。そこには、ソウタの剣を拾ったユーティリアがいた。

「これで終わりよ !」

 なぎはらわれた剣が骨騎士こっきしの首に当たる。次の瞬間、骨騎士こっきしの首は宙に舞う。やがて、重力に従い地面に落下した。

「終わった……のか」

 骨騎士こっきしの胴体はフラフラしながら地面に倒れる。

「「「はぁ~~ !」」」

 3人は大きなため息をつく。全員はその場に腰を下ろす。

「終わったな」

「そうだね」

 ユーティリアは剣を地面に置く。剣は光の粒子となって消えていった。

「なるべく早く戻るか、他のやつが心配するからな」

 カレルがそう急かすのでソウタとユーティリアは立ち上がり森の出口を目指して3人は歩き始めた。



 3人が骨騎士こっきしと戦っている頃、バルクは森を町とは反対側に抜けていた。

「ここまで来れば大丈夫だろ」

「何が大丈夫なんだ ?」

 バルクは驚き地面にしりもちをつく。バルクの背後には、山羊の頭に人間の体が黒くなり竜の翼と尾がついた禍々しい何かがいた。

「戒毒王様 !」

 魔物でも魔王のような知能の高い魔物なら人の言葉を可能である。バルクはそれを知っていた。

「冒険者の始末は大丈夫なのか ?」

「それは……わかりません」

 戒毒王の眉間にしわが寄った。

「我は貴様にチャンスを与えた。かつて、この森で死にかけていた所を我が助けてやったことを忘れたのか」

「申し訳ありません」

 バルクは、土下座をする。そこに、1匹の小鳥がやってくる。

「どうやら、骨騎士こっきしは失敗したようだ」

 その言葉でバルクの背筋に寒気が走る。

「それでは、貴様はもう用積みだ。どのみち、貴様はもはや人間ではない。所詮、死霊魔術師ネクロマンサーに造られた出来損ないが」

「え、」

 その瞬間、バルクの視界は黒く染まった。

「あーあ、殺っちゃった」

 木の上に腰かけた何者かが戒毒王に話しかける。

「そこで何をしている ?」

「何って、面白そうだから見てただけだよ。よっと !」

 木の上から颯爽と飛び降りてきた。

「そうか、まあいい。では、戻ろうか。我らの領域テリトリーに」

 そう言って戒毒王と何者かはカルディナの森のさらに奥にある森へと姿を消して行った。

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