ギルド
支度を終えた颯汰は急いで少女の後を追いかけ宿を飛び出した。あらかじめ宿の主にギルドの場所を聞いていたのが功を奏したのか、ギルドまで迷うことなく着くことができた。
ギルドは、この町の中央にあり数多くの冒険者が利用する。ギルドに着いた颯汰は、ひとまずギルドカウンターに向かった。
「あの、すみません」
「はい、なんですか ?」
「ええと、冒険者の登録をしたいんですけど」
「この町には来たばかりですか ?」
「ええ、そうですが」
そう言うと受付嬢は目を輝かせた。
「この町はですね、始まりの町と呼ばれる町なんです !主に冒険者に成り立ての人や冒険者に成って間もない人が住んだり生活をする町なんですよ !」
颯汰は彼女のあまりにもこの町について熱く語るものだから、少し困っていた。そんな颯汰の様子に気付いたのか彼女は顔を赤くした。
「すみません、町の話になるとつい熱くなってしまうんです」
彼女は頭を下げて謝った。
「今さらですが、私の名前はイル・リベリア。今後ともよろしくお願いします。では、冒険者登録に移りますので」
そう言ってイルは、カウンターの下から水晶のようなものを取り出した。
「今からこの水晶に手をかざしてもらいます。それにより、貴方の職業が決まります。職業は一度決まってしまうと他の職業にはなれないのでご注意を。それでは、どうぞ」
颯汰は言われた通り水晶に手をかざした。すると、水晶が青く光輝いた。
しかし、次第にその光は消えてゆきやがて元の水晶の色に戻った。
「これで終わりですか ?」
「はい、これでこのカードに職業が記載されたはずなんですが」
イルはカードを見ているがなんだか腑に落ちない様子である。
「どうかしたんですか ?」
「いえ、何でもありません。ただ、一つ気になることが」
「なんですか ?」
「この、創造者と呼ばれる職業は今まで受付嬢をしてきた中で、一度も見たことがないのですが」
「そうなんですか ?」
イルは、確認の為もう一度カードを見る。
「ええ、ですが決まってしまったものは仕方がないです。それでは、最後にお名前を」
「御国颯汰です」
「変わった名前ですね。では、登録はソウタ・ミクニでしておきます」
「分かりました」
「ではソウタさん、これからの冒険者生活頑張って下さいね」
「はい」
深く一礼し、ソウタはその場を去った。
ギルドでゆっくりしていると、宿の彼女の姿を発見した。ソウタはすぐに駆け寄る。
「もう登録は終わったの ?」
「はい、つい先ほど。貴方は ?」
「終わったよ。どんな職業になったの ?」
「私は、回復師です。ですから、パーティーを組まないとクエストには行けないんです。あ、私の名前はユーティリア・ファイフォンド」
「俺の名前は、ソウタ。よろしく、ユーティリア。一応俺の職業は創造者って言うらしい」
「創造者……聞いたことないですね。こちらこそよろしくお願いします、ソウタ」
二人はお互いに握手してその日は宿に戻った。