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転生

「はぁ~~」

 御国みくに 颯汰そうたは徹夜でしていたPCゲームが一段落終え大きなため息をついていた。ゲームをしていたPCの周りには、カップラーメンやペットボトルの残骸が散乱していた。机の上には、高校の教科書などが置いてある。しかし、どの教科書も新品のように綺麗だ。制服はハンガーにかけられクローゼットの奥に眠っている。

 そう、御国 颯汰は典型的な引きこもりである !


「そういえば今日って何日だったかな」

 颯汰はカレンダーではなくスマホで日付を確認した。日付を見た颯汰は次に時間を見た。


6月15日水曜日 午前7時49分


「まだ間に合いそうだ」

 颯汰は急いで部屋着を着替え始めた。手に取ったのは制服ではなくジャージだ。着替え終わると財布とスマホをカバンに詰めカバンを肩にかけ家を飛び出した。

 外出する時はいつも愛用の自転車を使う。向かう先は近くの家電量販店。もちろん、家電を買う為ではない。今日発売のゲームを買うのが目的である。


 自転車を全速力でこぎ、なんとか開店時間までに着くことが出来た。さすがに人気ゲームの発売だけあって、店の前にはすでに数人が並んでいた。

「この人数なら大丈夫そうだな」

 颯汰はほっと胸に撫で下ろし、最後尾に並んだ


「これで少しの間はゲームに困らなそうだ」

 颯汰は買ったゲームを見て上機嫌に自転車をこいでいた。

「ニャーニャー」

 突如猫の鳴き声が聞こえその方向を見てみると道路の真ん中に子猫が怯えた様子でいた。

 幸いここが都会と呼べる程都会ではなく朝早いこともあって車の通りは少なかった。それでも、全く車が通っていないと言うわけでもなかった。

「あー、もうっ!」

 颯汰は自転車を道の端に止め子猫のもとに行けるチャンスを待った。ようやく車が来なくなったのを確認し子猫のもとに駆け寄った。

「よしよし、もう大丈夫だぞ」

 颯汰は子猫を抱いて落ち着かせようとした。

「おい!そこの君!逃げろ!」

「え、なんて」

 周りを確認しようと顔を上げた時にはもう遅かった。もう目の前まで大型トラックが迫っていた。

「嘘……だろ」

 とっさに颯汰は子猫を庇った。次の瞬間、今まで体験したことのないような衝撃が颯汰を襲い10m近くも飛ばされた。頭がずきずきし、血も止まる様子がない。

「くそ……ゲームしたかったな……」

 朦朧とする意識の中、子猫が颯汰の懐から出てきた。

「(無事だったのか。良かった……)」

 颯汰は安心したかのように目を閉じた。



「うぅ、ここは ?」

 目を覚ますと何故か綺麗な青空が広がる草原にいた。服装も事故にあった時のままだ。

「おーい!何をしているんだー!」

 振り向くと馬車を轢いた男がこちらに手を振っている。颯汰はここがどこか聞く為にその男に近付いた。

「あのここはどこなんですか ?」

「あんま見ねー格好だな。おめーさんも冒険者になりたくて来たんだろ。さあ、乗ってけ」

「ちょ、ちょっと」

 言われるがまま、颯汰は馬車の荷台に乗せられた。そこには、数人の男女がもうすでに乗っていた。

「それじゃあ揺れるから気を付けろよー」

「嘘でしょ……」

 颯汰は訳がわからないまま馬車に揺られ謎の目的地に連れていかれた。

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