2.異常事態
目が覚めると...体が小さくなっていた!
なんて事はなく、普通に目が覚めた。
ただ一つ異常な点を上げるとすると、この部屋がどこか全く分からないのだ。
寝落ちする前の記憶を辿っていくと、どうやらあの大きな部屋からここまで運ばれたみたいだ。
このまま待っているのが、得策だと思うが、もう私は我慢出来ない。一刻も早くここから出たい。
というわけで、部屋から出てみようと思う。
その前にこの部屋の探索をしなければ。
さすがにどこかも分からない場所で丸腰で移動したくない。
今自分がいる場所にはベットと小さな丸机、あと引き出しとクローゼット。全て一つずつある。
特に何もおかしな点はなかった。
引き出しを除いては。
引き出しの中は大きく、中には眠る前に
見た魔方陣と同じようなものがびっしり
書き込まれた箱が入っていた。
「ひゃっ...。」
意を決して触れてみるととても冷たかった。
何も無いよりかはましだと思い持ち上げようとするが、固定されているのか、動かなかった。
扉は外に繋がっていると思われる扉が一つだけ。
結局は無駄骨になったと落胆しつつも、切り替えて扉を開けようとするが、ふと扉に貼ってあった紙に目がいった。
今までずっと貼ってあったのだろうか。
全く気がつかなかった。
書いてある字を読んでみると、
「目を覚まし次第待機を。すぐに向かいます。」
と書いてあった。
それでは待っているだけで人と会えるのだろうか。
しかし、どれだけ待てばよいのか分からないし、ずっと待つのも性に合わない。
────────やはり移動しよう。
扉を開くと廊下にでた。
周りには今私が開けたような扉が左右に
広がっており、まるでホテルみたいだ。
これが王が言っていた寝室だろうか。
ということはここの部屋の人たちは私と同じ境遇
ということだろうか!
早速中に入って話をしなければ。
私より詳しく状況を知っている人がいるかもしれない。
一番近くの扉に手をかけ、インターフォンがないのでそのまま開けようとするが扉は開かない。
横の扉にも試してみたが、結果は同じで扉が開く事は無かった。
途方に暮れていると視界の端に白い物体が過る。
・・・兎、だろうか。どうして廊下にいるのだろう。
もしかしたら誰かのペットが脱走したのかもしれない。
兎を捕まえる事ができれば、ペットを探しにきた主人に出会えるかもしれない。
この場所でペットを飼っている人なら色々知っているだろう。
跳びながら廊下を進む兎を急いで追いかける。
歩幅はこちらの方が大きい筈なのに中々追い付く事ができない。
あと少しという所で兎が廊下を曲がる。
そして、私も同じ曲がり角を曲がったが、兎はその先にはいなかった。
廊下はしばらく直線に続いており、隠れる事ができそうな物はない。
ならば一体どこに兎は消えてしまったのだ。
その時、部屋の一つから眩い光が発せられた。
その周りは私が最初に出た場所とは雰囲気が違っていた。
何というか、用具入れというか物置小屋というか。
端的に言ってボロかった。
しかし、他に行く場所などないので仕方なくドアノブを掴む。
本当は他の部屋と同じ様に開かない事を期待していたのだが、私の思いを裏切るかの如くドアノブが回る。
こうなってしまったら覚悟を決めるしかない。
それにドアが開くなら兎もここに入ったのかもしれない。
意を決してドアを開けると、そこには驚きの光景が広がっていた。