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月亮の輝きを……【破鏡の世に……第二章】  作者: 刹那玻璃
成長した子供達のそれぞれの日々(*´-`)
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梅花(めいふぁ)ちゃんは好奇心が旺盛です。

 最初、糜子仲びしちゅうの令嬢である梅花メイファを馬車にと考えていたのだが、


「ふえぇぇーん!!ガタガタ揺れて、気持ち悪いですぅ~!!」


悪路に白旗をあげた梅花に、金剛こんごうは自分の愛馬と、こうの愛馬に交互に二人で乗り走ることにした。

 そして、広は、


「兄ちゃん!!思い出したことがあるんだ!!ちょっと戻ってくるよ!!すぐ戻るから待ってて!!」


と、護衛の馬を一騎借り受け戻っていった。


「わぁぁーい!!面白ーい!!」

「えっと……怖かったりとかないですか?」

「全然ないです~!!景色がビュンビュン!!それに、お馬さんも可愛い!!」


 元気でその上気の抜ける発言の梅花に、さすがはあの両親と思ったのだが、不意に、


「若様!!敵が潜んで!!」

「解った!!梅花ど……のぉぉぉ!?」

「はいぃ?」


きょとーんとする少女は、一番上の衣を脱ぐと、袖が邪魔にならないように紐で縛り、そして、


「そ、その強弓ごうきゅうは!?」

「お父様に習いました!!大丈夫ですよ~!!……はぁ!!」


弓が大きくしなり、せんがものすごい勢いで飛んでいき、


「ぐあぁぁ!!」


隠れていた追っ手の呻き声が響く。


「えへへ!!一人!!後3人いますよ~!!金剛さま、どっちが強いか競争でーす!!」

「えぇぇ!?」


 競争ってどう言うことだぁぁ!?


一応破天荒な弟……特に、腹黒のじゅんと、ガキ大将の広に手を焼いていたが、暗殺者を捕まえる、もとい捕まえる競争など……あり得ない!!

 いや、とうなら有りうるか……大好きなきょうを苛めからかう輩を、次々に絞め、城壁に吊るしている……。

 しかし、この華奢な梅花が何で強弓を!?


「はーい、二人目~♪」

「わぁぁぁー!!」


 金剛は突進し、慌てて残りの二人をぶん殴り、縛り上げる。


「あらぁぁ……残念です。勝ちたかったのに……」

「勝ってどうするんですか?」


 疲れた……と思っていた金剛が次の一言に、一気に力が抜けた。


「えっ?えへへ……勝ったら、金剛さまにほっぺにチュッてして欲しかったのです~!!きゃぁぁぁ……お父様には言わないで下さいね?お父様にはそんなはしたないことを言うものではないって言われます~!!でも、お父様は見た目は文官ですけど、強弓の名手なんですよ~!!で、時々お母様と賭けをしてるんですよ」

「賭けを!?あの、子仲様が!?ど、どんなものを賭けるんです?」


 つい聞いてしまった金剛は本気で後悔する。


「えへへ……お父様が勝った時にはお母様のチュッで、お母様に負けたらお父様は苦手な瑟琴を合わせるのです!!」


 実の父はアホだが、育ての両親は本当にいつも傍にいるのが幸せ……の夫婦である。

 いちゃいちゃは見飽きているが、あの仕事に厳しい子仲も家ではそうだったのか!?


 唖然とする。

が、梅花は上目使いで、


「女の子が……ダメですか?それに……」

「い、いや、家の母は二人とも武将だし、気にならないけれど、す、すごい腕前だと思ってね」

「お父様が兄弟みんなに、身を守るすべを教えてくれたのですが、私はとろくさくて、小刀も危ないと言われて、後方支援と後ろから攻撃できる、強弓を習いました!!他は全くものにならなかったのですが頑張りました!!なので最近、弟たちに逃げられるんです。力持ちらしいです!!」

「あはは……」


 それはそうだ。

 普通の女性が扱うのは普通のきゅうか、もしくは、である。

 それなのに、かなりの膂力りょりょくの必要な強弓を扱うには、背筋や重心がぶれないように全身の筋肉をある程度鍛えておかねばならない、姿勢も美しくなる……が、それよりも……。


「頑張られたんだね……梅花どのは」

「はい!!勉強も頑張りました!!でも、本当に……鍛えるべきは心だと、父は繰り返していました。あ、ありがとう。自分でしまいますよ?」

「お嬢様は不器用ですから、こちらで。上をきちんと羽織って下さいませ」


 侍女兼護衛として同行していた女性が微笑むと、強弓を持って離れる。

 怪我人と捕らえた者のことを話し合うらしい。

 紐をほどき上着を羽織ると、俯く。


「私の父は、本当に琉璃りゅうり様に負い目を持っています。琉璃様のお母様を殺したのは甘夫人様で、父は祖父と伯父の言葉で叔母上を嫁がせることが決まった時、自分の誇りを忘れるな。徐州の豪商の令嬢としての自信と、非の打ち所のない所作と、心を凍らせた殿の心を癒す優しさ、強さを持て。琉璃様を大事にお守りせよと言い聞かせたそうです。でも……叔母上を嫁がせたことで、益々……。何度たしなめても叔母は解らなかった……。激しくなる虐待行為に、父は本気で妹や甘夫人様方を殺し自分もと思っていた……その時に琉璃様が……。泣き続け、母はきっと生きていると……そう励ますと『生きていたら、今以上の苦しみを与えることになるかもしれない……生きていて欲しい、でも……そう惑ってしまうんだ……姫を……大切に慈しめない、私の責任だ』と。生きていらっしゃって、父は本当に嬉しく……そして、哀しく凍りついた眼差しの琉璃様に心を痛められて……決意したのだそうです。自分は表向きは妹の夫の殿に仕えつつ、本心は、琉璃様とそのご夫君である孔明こうめい様にお仕えするのだと……」

「……!!」


 子仲はそこまで苦しんでいたのか……。


「で、本当は、喬さんの奥方に私の妹たちをと思っていたそうですが、どういう訳か私が金剛さまと。あらぁ?と思いましたの」

「あらぁってそんなに嫌だったとか?女性に引かれるよなぁ……そう言えば嫌われることをしたのかな?」

「いえ~。私は一番とろくさくて、それに、知りませんでしたの?」

「えっ?何が?」

「諸葛家のご兄弟はとっても女の子の憧れなんですよ~!!で、金剛さまは彫りが深くて綺麗な方。循様は中性的な美貌の持ち主、喬さんは柔和で可愛らしい上に、少し失敗すると照れ臭そうに笑う顔が!!と。で、喬さんといつも一緒にいる統さんは超絶美形!!将来有望!!と言われている上に、何故か、喬さんと二人でいる姿に、萌え萌えするのだと妹が言っていました」

「あはは……」


 笑うしかない。

 二人がいつも一緒なのは、喬がドジで危険なのと、統は逆に何でも出来るのだが、何か理由がないと動くのが面倒……喬を甘やかせているようでいて甘えているのだ。

 はっきりいって、統は独占欲が半端なく強い!!

 喬に危険が忍び寄ってきたら、他を全部投げ捨て、喬を担ぎ脱走!!確実である。

 何度か父にたしなめられたのだが、統は首を傾げ、


「お父さん、私は約束したんです」

「何を?」


と、軽く聞いた孔明は、心底後悔する。


「お兄ちゃんとずっといるって。だから、約束破るの駄目です。だからお兄ちゃんと一緒にいます!!」

「ず、ずっとって、結婚したり……」

「大丈夫です!!玉蘭姉さんと約束しました!!お兄ちゃんは玉蘭姉さんと半分こ!!そして、残りの半分で祐蘭ゆうらん大事にします!!お兄ちゃんは祐蘭と仲良しだし、私も玉蘭姉さんと格闘の練習面白いですから。ほら!!4人で仲良し!!」


 美貌だが、かなりずれた弟を修正は出来そうもないので放置している。

 喬のこと以外は、まともで冷静沈着なのだ……普段は……。


「それに、広くんはやんちゃですけど、とっても女の子に優しくて、大好きな女の子多いんですよ」

「へぇ……それは初耳」

「広くんは、女の子をからかう男の子を追い払って、にっこり笑って『大丈夫?泣いちゃダメだよ?あんなの、次から呼んでくれたら追い払ってあげるからさ!ねっ?笑ってよ。それに、送ってあげるよ。色々聞かせて?君の声可愛いよね~』って……」


 金剛は頭を押さえる。

 末弟は末弟で、タラシの素質あり……一回絞めるか!?


「金剛さま!!前方で大きな争いがあります!!」

「解った!!梅花どのは馬車の中にある木箱を寄せて、上に盾を置いて小さくなっているんだよ!!良いね!?」

「はい!!」


 危険がなるべく無いように厳重に準備をしてから、進んでいくのだった。

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