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月亮の輝きを……【破鏡の世に……第二章】  作者: 刹那玻璃
成長した子供達のそれぞれの日々(*´-`)
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循より強い月季ちゃんと、実は最高権力者の統ちゃんです。

 月季(げつき)は、将来的には父が4人、母が5人となる。


 ちなみに実父が曹孟徳(そうもうとく)、そして、表向きの父が司馬伯達(しばはくたつ)。

 将来的に義父になる二人が、孫公祐(そんこうゆう)と諸葛孔明(しょかつこうめい)である。


 実母は梅花(ばいか)と父の正妻が卞夫人(べんふじん)芙蓉(ふよう)。

 この二人は、芙蓉の妹である木槿(むくげ)と組んで、良く、父孟徳を滅多うちにするらしい。

 まぁ、木槿叔母の夫である夏侯妙才(かこうみょうさい)叔父に被害が広がらなければ、何よりである。


 月季にとって、妙才叔父は他の父の親族や臣下と言っても仲間に近い、将軍職の叔父達と共に可愛がってくれた大切な人である。

 浮気性の父をぶっ飛ばす母達の破壊行動に巻き込まれるのは、本当に申し訳ない。

 因みに父は、自業自得と言うことで、反省文を付けて貰いたいと思う。


 そして、表向きの母は、伯達の妻の夢見鳥(ちょう)夫人。

 親友の鳳蝶(ほうちょう)は、司馬家の娘だから、現在司馬姓を名乗っている月季の姉妹になる。

 将来の母は二人。

 婚約者の循(じゅん)の母達、公祐の夫人の喬木蘭(きょうもくらん)と孔明の夫人の黄琉璃(こうりゅうり)。


 自分は余り美人ではないが……本人はそう信じているが、整った顔をした19才の美女である……実母はそこそこの美人であり、芙蓉と木槿姉妹は笑顔が朗らかで可愛らしい。

 夢見鳥は、おっとりとした優しく笑う人。

 そして、将来夫になる循の二人の母は、他人が口を揃えて『絶世の美女』と称えるほど美しい。


 琉璃は本当に、自分よりも3才年上とは思えない可愛らしい美少女で、同じ武器を持つ人間だと言うのに、物腰は優雅で、言葉も声も同性ながら憧れ、聞き惚れる程……。

 それなのに、武器を持つと素早い動きで、気を抜くと喉元に棒が当てられる。


「駄目ですよ?この一瞬の気を抜く行為が、命を失うこととなるのですから、それに、月季さまは私の娘です。可愛い娘が怪我をするなんて……とても哀しいのです」


 その言葉に、月季は心底琉璃を敬愛し、このような強い人になろうと決めた。


 そして片や、循の実母木蘭は『江東の二喬』と呼ばれた美貌姉妹の妹。

 同じく物腰が優雅で、繊細なほっそりとした指で楽器を奏でる、楽の名手。

 微笑みも母性に溢れ、それでいて夫の公祐を愛し、影で支える人である。

 話をしてみると、知性もあり、自分の考えを持つ人……。


「月季さまは本当に、循には勿体無い方だわ」

「だ、駄目だからですか?わ……」


 頬に手をやろうとした月季の手を止め、柔らかい手で優しく包む。


「違いますよ。貴方程意思が強く、優しく思いやりのある女性はいらっしゃらないわ。私よりも本当に美しい人です」

「えぇ?あの、も、木蘭母上?」


 目の前の絶世の美女の唇から漏れた一言に驚く。


「貴方は本当に心の強い優しい人です。循はまだ貴方に釣り合う力がありません。年の違いではなく、思いの強さが違うのです。循は……あの子は、喬さんにも敵わない。まだ甘えがあるのです。これからきっと、あの子にとって厳しく苦しい葛藤が始まるでしょう……月季さま。お願いします。循を支えてあげて欲しいの。あの子の弱さを知っている貴方は、その強さを見つける道標となるでしょう。お願いします、循を……」

「はい、母上。私も循と共に歩けるように、強いものを手にしておこうと思います。武器ではなく、未来に花を……私はもう争いたくない。新しい道を見つけ、循と共に進みます。その時には、母上。父上と手をとって、私達と共に行きましょう。私は母上達がにっこりと笑う顔が見たいです。母上にはお姉さまがいらっしゃるとか?お姉さまと笑って再会できるように……」


 その言葉に、木蘭は目に涙を溜めて微笑んだのだった。




 木蘭の姉の花蘭(からん)は、現在の江東の主、孫尚香(そんしょうこう)の亡き長兄、孫伯符(そんはくふ)の夫人であり、数年中には尚香より後を譲られる紹(しょう)の母である。

 双子のようにそっくりと言われているが、循によると、


「伯母上の方がキリッとした眼差しをされていたよ。紹兄上は金剛(ダイヤモンド)兄上と同じ年で、私は知らないけど、噂では眼差しは伯母上に似てるけど、顔つきは精悍(せいかん)な伯父上に似ているそうだよ」

「あぁ、孫郎(そんろう)……孫家の若君、凛々しい美形の人を指すこともある……殿と言われていたそうだな。そう言えば父上が言っていた。彰(しょう)兄上に、『お前も孫郎殿を見習い、勉学に励むがいい』と」

「彰殿……と言うと……」


循は少々不満げな顔になる。

 年上の恋人が、他の男の事を話すのが気になるのだ。


「あぁ、私が13になるまでは知らなかったのだが、長兄の子脩(ししゅう)兄上の長子になられる。黄晶(おうしょう)が本名だと言われていた。父の先妻の丁夫人(ていふじん)が、兄上方を次々手にかけようとなされたらしい。子脩兄上に子楓(しふう)兄上……次兄の鑠(しゃく)の字(あざな)……を。子脩兄上の奥方の水晶(クリスタル)姉上は特に危険だったとか。それに、子楓兄上の奥方の明珠(めいしゅ)姉上は、元々兄上に忠誠を誓っていた屋敷に仕えるご夫婦の娘だったのだが、母上を亡くされた後、丁夫人の姪で嫁いできたもうお一人の丁夫人の不貞や、金銭をばらまく事を咎(とが)めた父上が殺されて……」


 その言葉に驚く。


「そ、そんなことが?」

「あぁ、姉上は元々お小さい頃から顔見知りだった」

「えっ?お二人は、江東との赤壁での和解の際に出てこられたとか……それまでは身を隠されて……」


 月季は首を傾げる。


「あぁ、身を隠されていた兄上達にはお会いしたことはないが、姉上は楽将軍(がくしょうぐん)の一人娘として、良く将軍が肩車をされて連れてこられていたのだ。私は自分の身を守る為に、武器を手にしていた。体が華奢だったから良く怪我をして、姉上に手当てして頂いたんだ。ふんわりとした愛らしい方で、本当に楽将軍が自慢されるのが良く解る程で、付きまとう男を将軍と共に殴り飛ばしていた」

「あはは……な、殴り飛ばしてたの?月季も?」

「あぁ。姉上には本当に親切にして頂いた。今も時々、月英伯父上を通じてお便りを頂いている。鳳蝶と一緒に。二人で良く子供の話をされるとか。それに……」


 クスクス笑う。


「どうしたの?」

「あぁ、彰……黄晶兄上は本当に私を可愛がってくれていたので良く解るのだが、子楓兄上は……子供を」


 プッと吹き出す。


「自分の子供を抱き上げるのが怖いのだと、おろおろされるのだとか。昔、彰兄上に聞いていた子楓兄上は、とても冷静沈着で穏やかに微笑まれているのだが、次々と気がつかぬうちに、周囲を丸め込んで……悪巧みに長けていたと。それなのに、子供が泣くと狼狽えて姉上に『めめめ、明珠!!な、泣いてる!!どうしよう!?何で?』と言われているのだとか。で、彰兄上は『何やってんだ、兄ちゃんは。褓(むつき)が濡れて泣いてるんだろ?全く』と手際よく代えられて……子楓兄上は落ち込んでいるとか」


 つい、循も笑ってしまったが、月季は、


「循は大丈夫なのか?私は弟がいるが、余り年は変わらなかったし……」

「……えっ!?」

「と言うか、桃花(たおふぁ)や祐蘭(ゆうらん)達も、余り面倒を見たことはないし、心配なのだ」


循はドキッとするが、次の瞬間台に額を打ち付けた。


「今度、滄珠(そうしゅ)を馬に乗せて、少し遠出をすることになっているのだが、滄珠が泣いては困るし、私は……循?何をしている?私の話を聞いているのか?」

「……えっと、聞いています……」

「ならば、ちゃんと私の話の返答をくれまいか?困っているのに!!」


 珍しく、拗ねたような口調に、


「えっと、聞いています!!それに月季は、滄珠をとても大切に可愛がっているから、いつも通りで大丈夫だと私は思います!!」

「そうか、それなら良かった……」


 ホッとする月季だった。




のだが、その後、いつになく落ち込んで家に帰っていった循である。


「お兄ちゃん、どうしたの?」


 月季は自分の実家におり、自分は現在父と長兄のいない諸葛家を守る為に……実際守るのは統(とう)と広(こう)だが……戻ってきていたが、すぐ下の喬(きょう)に問われて説明する。

 昔は統と同じ部屋だったが、広と同室だった喬が眠れないと大泣きしたので、統と広が部屋を変えた。

 替えてみて分かったのは、


「これじゃぁ、喬は無理だな」


である。

 基本的に喬は大らかそうに見えるが、実はとても繊細で、不器用だがそれなりに綺麗に整頓した部屋で書簡を読むのが好きである。

 その書簡は昔、荊州(けいしゅう)に住んでいた平穏な時代に、父孔明が書き溜めた学問書の数々で、父の姉たちが戦乱で散失しないように隠していたらしい。

 その後、伯母達の家族は北に逃れ、その間に一旦父の長兄、江東の子瑜(しゆ)の元に預けられ、最近戻ってきたものである。

 喬は父の流麗というよりも、大らかな文字が大好きであり、昔のことを思い出すのか、嬉しそうに読んでいるのだが、それを広が邪魔をしたり、騒々しく暴れるらしく、時々と言うよりもいつも、兄である自分ではなく統に抱きついて、


「ふわぁぁん、統!!統!!広が……僕の読書の邪魔するよぉ!!」

「お兄ちゃん、大丈夫?泣いちゃ駄目だよ、ね?……広!!駄目だろう!!お兄ちゃんをいじめない!!次やったら……」


と統は、大好きな喬には見せない凄絶なまでの凄みのある顔で、


「解っているよね?」


声は喬に聞こえるので柔らかいが、恐ろしい顔に、広だけでなく、丁度一緒にいた金剛と3人で、


「解りました。次から二度と致しません」


と頭を下げたのは記憶に新しい。

 それからは、統が喬の世話係と言うよりも、書簡を読み始めると時間を忘れたり、そのまま寝入ったりして良く風邪を引いていたのを管理するようになり、両親は安心し、しかし釘を刺した。


「統も気を付けなさい。体が大事。それと、喬を甘やかしすぎないようにね」

「え、甘やかしてますか?普通ですけど」


 真顔の息子に、父孔明は顔をひきつらせ、


「いや、甘いから。統?もし、広が喬と同じことを言って来たらどうする?『わーん、兄ちゃん。いじめるよー!!』とか」

「広は、私に言うよりも、やられたら100倍返しをちゃんと実行するから大丈夫です!!」

「いや、断言しなくていいから……じゃぁ、循が……」


言いかけた父に、


「循兄さんがそんなことしませんし、裏で悪巧みやって、広や苞(ほう)、紹(孫家のではなく張益徳(ちょうえきとく)の次男)を使って嫌がらせの数々で、後で公祐父上に動けない程、滅多うちですね」

「……ははは……」

「それに、前もって言うと、金剛兄上は私より強いので大丈夫です!!安心して下さい!!私は、諸葛家の家訓は守ります!!」


言いきった四男に、孔明は翌日、公祐達に、


「統が……こんなことを言うんですよ。真っ直ぐに育ったと誉めればいいのか、それとも……」


と嘆いたのを統は知らない。

 しかし統は、循のようにひねくれかかった事もないし、大丈夫だろう……と、周囲は慰めたのだった。

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